school life ex 
I'm with You xxx10.07 


隣に眠る顔をみつめていると、夏の終わりを思い出す。
オレには少し小さい感じがするベッドと、まだ慣れないコットンの感触。
軽やかな羽毛布団を素肌の肩にそっとかけてやると、小さく身じろぎをする。
自分よりも一回り小さい身体に強いた疲労を思うと、申し訳ないと思いつつも、とめられるものでもない事くらいは不二も百も承知な訳で…。
それでも事後承諾とはいえ、こうした夜を迎えていることに不思議な感覚だった。
誕生日が訪れた瞬間を自分以外の誰かと共にしたのは、初めてだった…。
いつもは翌日になって、母が朝食の席で誕生日の訪れを告げる。
それを聞いて、オレはいつも自分の誕生日を思い出す。
学校にいけば、確かに思い出してみると…誰とも知らない相手までがオレの誕生日をしっていて誕生日プレゼントをくれた。
どうしてそんなことをしたいのか、不思議だった。
だって、そうだろう?オレは彼らの中の、誰の特別でもないはずだ。貰ったものの1つを特別に思うわけでもないのに。
オレは特別なもの以外には、なにもしたくない。もうオレはとっくに特別を見つけてしまっていたから、ほかに何をされようとも、なにを貰おうとも
何も感じられなかった。形が欲しいわけでもない。それは存在していてくれれば、それでいいんだ。

眠りについた、その柔らかい手が無意識にオレの背中を伝う。
温もりを求める本能は抗いがたいもので、その身体をそっと抱きしめる。その眠りを妨げないように、そっと腕に力をこめた。
汗のひきかけた肌から伝う香りはどこかいつもと違っていて、こうして抱きしめている自分の心の中を暖かく掻き乱す。
不二はいくつもの顔をもっていて、オレはそのすべてに惹かれている。そのすべてをオレだけがみたいと思うほどに、執着している自分が
いることも知っている。けれど、相手もそうだとは限らない。ずっと…そう思っていた。
でも、いつも見透かされていた気がする。自分の中に生まれる思いに戸惑うオレの感情に、いつも「名前」をくれるのは不二だけだ。
こうして大切なものをいつも教えてくれるのはキミだけだ。
だから、いつも祈らずにはいられない。あの時、花火をみつめていたキミの横顔を…どうしても離せなかったのはオレ。
自分が思っているほどに冷静沈着な訳でもなく、酷く脆い自分の存在を見出したのは、あの瞬間が初めてだった。
だから、こうしてキミが眠りについた後に祈っている。
キミだけの為に祈ったことが、これから先、どう変化していくのかは想像することができない。でもどこかで確信できるものもあるんだ。
去年までのオレの中には存在しなかった定義が自分の中に、はっきりと存在している。
こうして抱きしめる瞬間。
自分の中のどこから沸きあがるのかも判らない、この激しい愛情っていうものと…誰を傷つけても守りたいという思いを…。
この思いがすべてを失わせたとしても、今のオレならば何の躊躇いもないだろう。でも、それは理想でしかないことも判っている。
現実は厳しくて、お互い大切なものは沢山あって、そのどれもが捨てられるものでもないし、優劣のつくものでもない。
オレは酷く利己的で自分自身の理想のために、キミを傷つけるときもあるだろう。それでもキミはオレを許すだろう。
そしてキミとの距離も、きっといつも縮んでは広がる。その繰り返しだろう。オレもキミも曲げられないものがあるだろう。それはお互いに譲らないだろう。
でも、それでいいと思える。
思いは終わることなく円を描いて廻っている。
そしてこうして夜を迎えて2人だけが世界の中に存在していると感じる瞬間……今、回帰する場所はひとつしかないから、それでいいと思うんだ。
お互いに傍にいよう。

いつもキミの隣に…。

口にしてしまえば、きっと『それだけでいいんじゃない?』と不二は静かに微笑むだろう。
だからこそ、オレはただ心の中で思っていよう。
こうして費やしていく日々を、いつか2人で振り返るときが来るように。こうしている2人をただ忘れずにいよう。

少し長くなった、乱れた前髪を指でかきあげてやる。幾度となく触れ、額に口付けると温もりが伝わってくる。閉じられた瞼に口付ける。
この腕の中の温度がオレを包むように…オレもキミを守れるように。

キミが幸せであるように…。
キミだけのために…


ありがとう。

thank You for my best…xxx





手塚部長のbirthdayをうっかり先に書いてしまった為、ちょっと変わった形で…こんなんにしました(^o^;)
あの後、1人でどう思ってみていたのかなぁ…と思いまして…。ま、当然、この後で不二は起きちゃうんだけどね。
そりゃ何度もkissされりゃ、目醒めるって(笑)
とにかく手塚部長〜♪お誕生日、おめでとう〜♪
お願いだから、元気で復活してね!勝ってね!(泣)

本当の誕生日ネタは say the word になります(笑)