「相手依存の自己規定」 鈴木孝夫 | |||
◎ 「求心的に収斂する固い自我」、あるいは西欧人の自己主張 西洋人の固い自我、自己主張の強さ、自己防衛の強烈さについての例。 中島義道が「私の嫌いな10の言葉」( 新潮社 \1200 )の中で「ウィーン交通局101の言い訳」というものを紹介している。これが笑える! ウィーンの市電、地下鉄では駅構内にも電車内にも切符を検査する駅員、車掌、機械は存在しないそうだ。ドイツの地下鉄もそうだった。乗客は駅構内のあちこちにある機械に切符を入れて乗車時刻と場所をスタンプするが、駅には改札口がない。だから切符が無くても基本的には電車に乗れるのである。ただ時々車内で検札があり、その時切符がないことが判明したら相当な罰金を支払わされる。しかし乗客は不正を指摘されるとありとあらゆる弁解をして逃げようとするそうだ。そこでウィーン交通局が「次のような言い訳は成り立ちません」というビラを作り、交通機関の至る所にぺたぺた貼ったのだ。その言い訳の 例がふるっている。 (並) ・さっき風で券が飛んでいった ・機械に入れたけどインクがきれていた ・父が検札はどうせ来ないから(大丈夫だ)と言った (上) ・(ガチャンという)音が恐くて機械に近寄れなかった ・今日は特別無料日だと思った ・犬が券を食べてしまった ・昨日も不正乗車したが捕まらなかった ・まだ昨日だと思った ・十年乗れば無料になるかと思った (特上)・歩こうと思ったけど電車が来たので仕方なく乗った ・私は券を持っていないけど不正乗車ではないのだ ・あなたは私が券を持っていることをただ信じればいいのだ う〜ん、ここまで言うか〜。 “人間の「誠意」に過剰に期待しないてはならない。人間とは他人をだますものであり、自己利益を追求するときは絶え間なく嘘をつくものだ”という割り切りの上に立つ「弁解の文化」。これも西欧の「独断専行型の固い自我」の産物だわ、と納得。(笑) |
|||
|