北海道修学旅行 「ニングル」と「アイヌ民族刺繍の心」 | ||
本校では2年生の野外活動として、3泊4日で富良野、小樽方面へ行くことになった。 第一日目は、二風谷のアイヌ博物館の見学と講話。二〜三日目は、富良野に連泊してのグループ活動。4日目は移動と小樽市内の観光という計画である。 2年現国担当者で話し合い、野外活動にリンクする形で投げ込み教材をやろうということになった。7月初めに野活に出発するというスケジュールであるため例年より五日期末テストが早まることもあり、2〜4時間しか時間がとれなかった。かなり無理があるのは分っていたが、アイヌ関係、富良野関係、どちらも捨てがたいということで、二つの教材を取り上げることにした。 ◎教材と指導 1、「アイヌ文様刺繍のこころ」チカップ恵美子 (岩波ブックレット) P33〜P46 傍線で指定した語句の意味、読み、書取を期末テストに出題することを予告。限られた時間なので生徒に集中させるため。まぁ、一週間後に迫ったテストを餌にしたわけです。 ★生徒達は二風谷でアイヌ民族の生活の中で使われてきた様々な道具を見るはずである。その時に、この教材から学んだ視点を持って受け継がれてきた民族の生活や文化に思いをはせて欲しいという願いをこめた。 2、「ニングル」倉本總 SCENE 1 初め〜P22 とりあげた部分は、ニングル(麓郷の樹海の中に住むと言われている小人の社会)伝説を紹介した部分と、チャバと呼ばれるニングルと人間の初めての出会いを描いた場面である。森の奥でひっそりと自足していたニングルの世界に人間が科学・文明の名の下に土足で踏み込み、彼らの社会と自然を破壊したのではないかという問題が提起されている。 本文にでてくる地名を地図にマークさせた。富良野での活動場所とほぼ重なっているため、野外活動用の地図を利用し、興味を持たせるよう工夫した。 ★生徒達の自然破壊や環境問題への関心は深い。そのせいか、多くの生徒が興味を持ち、テスト前にも関わらず「ニングル」を読んだ生徒も数名いた。後で野外活動の体験を短歌にしたときにも、ニングルをテーマに詠んだ生徒が多くあった。 ◎反省点 @ やはり時間が足りなかった。各教材それぞれ3時間の配当が少なくとも必要であった。特に「アイヌ文様刺繍のこころ」は馴染みのない語やアイヌ語もたくさん出てくるため、簡単に言葉の説明をしながら読むだけで1時間いっぱいかかった。 A 富良野での活動は、グループ活動であり、生徒がグループごとに活動内容と場所を選択する。投げ込み教材の企画を決めたのが遅かったため、生徒が活動計画を立てた後で授業を行う事になった。(実際は野外活動直前)。そのためせっかく「ニングル」に関心を持った生徒がいても、実際には麓郷の森はグループの活動コースに入っていないというケースが多々あった。グループ活動の企画を立てる前にやればよかった。 |
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