評論
「看護―ベッドサイドの光景」  増田れい子  岩波新書 :\700 
難易度★☆☆
告知、ターミナルケア、心の病への癒し、さらに人間ドックや救急医療の現場からみえる社会の断面。人間だれしも病むことに遭遇する。そのとき入院加療はどのようになされるのか。24時間、患者のもっとも身近にあり激務の日々をおくっているナースたちへの数多くのインタビューから、生死のドラマ、現代の医療のありかたが浮かび上がる。看護、医療系を志望する生徒はぜひ読んでほしい。
カギつきのカルテ、看護婦(士)への道、救命救急センター、緩和ケア病棟の日々ほか。
「科学の現在を問う」  村上陽一郎    講談社現代新書 \660
難易度★★☆
科学と技術の発展は人間を幸福にしたか?原発・医療・情報化など様々な角度から問い直す。科学研究の変質、技術と安全、医療と現代科学技術、情報と科学・技術、科学・技術と倫理、科学・技術と教育などについて。
「DNAとの対話―遺伝子達が空かす人間社会の本質」
                ロバート・ポラック  ハヤカワ文庫:\680
難易度★★★
DNA研究はこの50年で飛躍的に発展したが、その実情は意外に知られていない。
..世界的に著名な分子生物学者による、現代人がDNAとつきあうための必読入門書
「食卓の上のDNA―暮らしと遺伝子の話」中村桂子 ハヤカワ文庫:\560
難易度★☆☆
組換えDNA技術を利用した作物が食卓に並び始めた。クローン動物に薬をつくらせたり、赤ちゃんができない夫婦の手助けをしたり、難病治療においても、DNAは重大な役割を果たしている。もはやDNAに目を向けずにはいられない時代なのだ。
食べもの、医療、環境という生活の基本とDNAの関わりを、誰もが理解し評価できるようになるための、暮らしのなかのDNA入門。
「豊かさとは何か」  暉峻 淑子       岩波新書:\700   
難易度★☆☆
モノとカネがあふれる世界1の金持ち国・日本。だが一方では、環境破壊、過労死、受験競争、老後の不安など深刻な現象にこと欠かず、ゆとりも豊かさの実感も薄いのが現状だ。
日本は豊かさへの道を踏みまちがえた、と考える著者が、西ドイツでの在住体験と対比させながら、日本人の生活のあり方を点検し、真に豊かな社会への道をさぐる。
福祉、人間関係、環境等に関心のある生徒には示唆に富む一冊になるだろう。
[身体感覚を取り戻す―腰・ハラ文化の再生]  斉藤孝
                          NHKブックス \970
難易度★☆☆
日本の20世紀を、身体をなおざりにした100年と総括する。
身体文化の中心軸としての腰・ハラ文化に着目し、行動プログラムとしての「型」と身体の精妙な動作規範としての「技」の再生を提唱する。
“作戦を練る”“体を絞る”“期待を背負う”などの「からだ言葉」を具体的に取り上げていて読みやすい。著者による「割り箸割り」の授業の話などはちょっと笑える。イチローやスピードスケートの清水の話の引用しながら、身体感覚をいかに取り戻すかを論じる。
いずれ教科書や入試問題に採用されるに違いないと思わせる一冊。
このページの先頭へ
平安時代通になれる小説

「この世をば」     永井路子                  新潮文庫

「むかし・あけぼのー小説枕草子ー」   田辺聖子      角川文庫   
このページの先頭へ
韻文関係
「短歌パラダイス」   小林恭二    岩波新書   
難易度★☆☆
現代を代表する歌人達を招いて熱海で行われた歌合わせの記録。筆者のわかりやすい解説と実況中継を追っていくうちに、短歌の楽しさが分かってくるはず。なるほど、こうやって短歌は読むのかと、身にしみて分かる一冊。きっと、あなたも歌合わせがしたくなる!
このページの先頭へ
その他
「沢田教一ベトナム戦争」 リバティブックレット4 ¥500 大阪人権歴史資料館   
難易度★☆☆
アフガニスタンへの空爆や特殊部隊の映像などで、空母からどぉっと戦闘機が飛び立つのが戦争だと思ってはいけない。この写真集は戦争の姿を教えてくれる。顔面を包帯で覆われ病院へ運ばれる米兵のヘルメットに下がった荷札。人ではなく物なのである。巻き添えで死んだ女性の周りで悲しむ家族の様子は、民間人○人が巻き添えに、という数字の後ろにある命の重さを伝える。、収録作品は少ないものの、厳選されたいい写真集だ。入手しにくいのが難点だが、紀伊国屋書店で扱っているそうだ。講談社文庫で「泥まみれの死・沢田教一写真集」(600円)というのも出ているので入手できない場合はそちらでどうぞ。
「ソロモンの指環―動物行動学入門 」   コンラート ローレンツ  
                              ハヤカワ文庫NF  ¥580
(5/12) 難易度★☆☆
愛すべきローレンツ博士の古典的名著が文庫で出版されていることを初めて知った。
著者は動物行動学の草分けでノーベル賞の受賞者。而してその実体は、鳥たちの言葉をしゃべり、マガモの子供達を連れてアヒル歩きで「グゥエッ、グゥエッ、グゥエッ」と鳴きながら2時間も庭を散歩する(しかも観光客が奇異の目で見る中を)おじさんなのである。その彼が自宅で育てている動物たちとの交流やその生態、魚やウサギをはじめとする動物たちの闘い、動物園で一番可哀想な動物などについてシンパシーとユーモアあふれる筆致でしかも冷静に書いたのがこの本である。
「生後まもないハイイロガンの雌のヒナは、こちらをじっとみつめていた。私のふと洩らした言葉に挨拶のひと鳴きを返した瞬間から、彼女は人間の私を母親と認め、よちよち歩きでどこへでもついてくるようになった…」
動物好き、わけても鳥好きにはこたえられない一冊だろう。私は鳥には縁がないが、それでもここに登場する鳥たち、ハイイロガンのマルティナやコクマルガラスのチャックの愛らしさには心惹かれる。著者自身の手になる挿し絵もチャーミング。
このページの先頭へ  
読書案内(生徒向け)

評論

平安時代通になれる小説

韻文関係

その他(5/12追加)

ホームへ戻る