introduction
connect on the wave EXPANDED



パソコンとデジタルカメラがこんなにも普及しているにもかかわらず、ネットのなかの「写真の見せ方」には、なんか不満を感じていました。

 「データ容量」
 「表示速度」

これが、一番の壁でしょう。

 「定型化されているので動きのある編集ができない」
 「見せ方(=テンポ)が単一になりがち」

ちょっとリサイズしたりトリミングをかえるだけで写真に動きがでてくるはずなのですが……。ソフトにめぐりあうこととか、加工手順のなれがいるかもしれません。「フリーの写真専用サイトを利用する」という方法もたしかに一般化していますが、「見せ方」が工夫できないので、いまひとつ魅力に欠ける気がします。

 「画像とテキストの調和」
 「OSに左右されないで見ることができる」

ときには画像を偏重したいと思うこともあれば、その逆もあるはず。そして出来上がった作品は、Mac だ Windows だなどと限定することなくたくさんの人に見てほしい。

 「ウェブに依存すること」

ウェブならばたくさんの人に見てもらえる。ページの作成も比較的容易。しかしここで、一番最初の「表示速度」や「定型・画一」という問題へもどってしまいがち。それを逆手にとって、横長のコンテンツというアイデアもおもしろいけれど。

 「ページをめくること」
 「めくるときのストレス」

スクロール形式・巻物形式が「わるい」とか「劣っている」というわけではありません。けれども、次のページをめくるリズムが、その作品をいきいきと見せることがある。わくわくさせてくれることがあります。ウェブに不満を感じるのは、別のページへ移動するときのちょっとした待ち時間でしょう。それがつもりつもって、不快なストレスを感じてしまう。


すべてが満たされるのは難しいとすれば、どれを優先するか?

 画質?
 速度?
 量?
 互換性?
 快適性?
 編集?
 普及率?
 表現力?
 効率性?

ずっと悩んでいたところでめぐりあったのが、「エキスパンドブック」というソフトであり、その後継ソフトである「T-Time」でした。ページをめくる感覚で読むことができます。横書きから縦書きへの変更もかんたんにできます。Windows でも Mac でも同じデータが利用できます。

「ポシブル堂書店」には自由に閲覧できる作品がたくさん登録してあります。そのなかには写真集や画集もいくつかあります。「六角文庫」にも、かわいらしい画集や詩集、はっとするような作品が公開してあります。

閲覧したいひとには、機能限定版のソフトをインストールしてもらうか、製品版を購入してもらう必要があります。はじめての人にとってそこだけが唯一めんどうな作業でしょうが、その壁さえのりこえられればあとは。

作成ソフトがフリーになれば、T-Timeはもっと作り手も増えてメジャーなソフトになるのでしょう。いまのところ作り手が限られているため、当初期待されたほどフリーで読める作品の数は多くないのも実情のようです。

作成は比較的容易です。ベースがHTML形式なので、ウェブページをつくる基礎知識さえあればできるでしょう。

デジタルカメラは、フィルム撮影とちがい、ばちばち気兼ねなくシャッターを切ることができます。質はともあれ、作品の量は爆発的に増すはずです。

そして、ということは、デジカメユーザーの撮影技術は比較的短期間で飛躍的にアップする可能性もまたある、と考えます。

表現方法に「正しい正しくない」ということはないでしょう。まずはこの「T-Time」をつかってグラフィック・マガジンの創刊をすることにします。


 公開:2002.7.16
 加筆:2002.7.19
 作成:PoorBook G3'99