カレー屋のラーメン

文 村上 義明

 カレー屋のラーメンといえば、琴似の「札幌カリーP」である。スープカリーに麺というのは、スープカレーブーム後半に、スープカレーラーメンとかいって、マスコミが新しいブームにしようとしたが、失敗した経緯がある。しかし、Pのスープカレーラーメンは、元々従食で、メニューにしたら人気が出て、今年の夏(秋)ついにメーカーから製品が出ることになったのである。さすがー。

 しかし、カレーラーメンといえば、大御所「味のD」である。

 カレーラーメンを、ラーメンから行くとDであるし、カレー側から行くとPである。

 またしても、最近カレー屋で、ラーメンを扱う店が増えてきている。原因としては、やはり原価上昇によるコストダウン商品の投入と思われる。米がいらないラーメンは、麺が値上がりしているとはいえ、米をといで炊飯するという手間もかからず、注文が入ってから茹でるのでロスが少なくて済む、こんな時代に最適な商品である。

 しかし、わしの意見では、カレー屋のラーメンはラーメンとして見たときに、やはり一ランク落ちている気がしてならない。理由としては、一皿¥1000以上のカレーと、ラーメン¥800を同じメニューの中で見ると、ラーメン安いジャンと思うのであるが、出てきたラーメン¥800を見ると、明かに貧弱なのである。それは、長年ラーメンを食べてきているので、ラーメン側からカレーラーメン¥800を評価してしまうのである。我に返って、カレー側からカレーラーメン¥800を評価すると、カレー¥1000−ライス¥100=¥900 > カレーラーメン¥800となり、カレーラーメン良いジャン!!となるのである。

 ちょっと小腹が空いたときのカレーラーメンは、量もちょうど良いのかもしれないが、本格的な食事としては、やはりスープカレーを食べるべきである。

 そんなときに、SBに麺特集。

 石山通の南12条のM。ここのスープカレーヌードルは、いわゆるフォーと言う「米の麺」である。平べったいほとんどきしめん状のヌードルである。スープはMそのままで、少々はねる事を覚悟して食べなければ成らない。麺のコシも充分で、スープとの絡みも中々なものである。ただし、他のMのメニューと比べると、重量感がやはり足りないのである。値段も安くていいのだけれど、もう一品欲しくなるくらいのボリューム感である。メインはスープカレーなので、これで良いのかもしれない。

 白石のOR。おしゃれな店内のORであるが、まさかラーメンをやってしまうとは・・・。使われている麺は太目の縮れ麺である。店内の雰囲気から行くと、パスタで攻めてきそうなのであるが、太目の縮れ麺である。四角い皿に、カレースープと縮れ麺が入って、ラーメンなんだけれど、なんとなくパスタ風味なのである。で、食べてみると、ラーメンなのに何故かリゾット風味?なるほど、ラーメンなのにラーメンぽくないのである。更に、焼きチーズon小ライスである。小ライスにチーズを乗せて、目の前でバーナーで炙ってくれるのである。これで、この値段は、お得かもしれない。しかし、全部食べてみて思うのは、やはり少々物足りない感が、漂うのである。料理のワザとアイデアは、充分であるが、その分が値段と量に関して、マイナスされているのである。仕方が無い事なのかもしれない。

 T屋、中央店。元のCMの跡地にT屋がオープンした。T屋は、木曜日が休みなので、行けないでいたが、近くに中央店が出来て、定休日も違うので、いつでも行けるようになった。良い事である。あと木曜休みで行けないでいるのは、大好きなGのアナグラとMSくらいである。カレーラーメン¥800小ライスつき。割と普通のラーメンである。スープはT屋のスープそのものである。麺は、割と太目。バジルの効いたあっさり系のスープである。具材もスープカレーらしいキャベツやチャーシュー(豚の角煮?)が乗って、スープカレー屋らしいカレーラーメンである。ちょっとラーメンとしてはうす味であるが、麺との絡みも充分で、カレーラーメンファンは必食である。ただし、出てきたときに器が小さいのでは、と思ったのが難点かもしれない。やはり、T屋では、スープカレーを食べた方が良いのかもしれない。

 狸小路のBB。濃厚スープのBBである。タイの麺が入ったBeraBeraNO.5.サラサラスープのカレーヌードルである。確かに、いつもの濃厚なスープよりもあっさり感のあるスープである。このスープにタイの麺が入っているのである。麺は、短めのきしめんのような物である。具材は、BBの普通のメニューと同じである。つまり、BBの具材+麺である。これは、満腹系のメニューである。これでもかというほど、野菜や肉が入っている。チキンを頼んだのであるが。小チキンレッグが2本入っていた。知っていたら一本にしてもらうんだった。野菜も、あちこちから、ちょっとずつ、これでもかと涌き出てくるのである。食べ終わったら、ちょっと満腹で気持ちが悪くなりそうであった。(ビールも飲んだからか?)BBのヌードルは、通常メニューと同じ値段なので、量が少ないとか、物足りない感があるということは、まったく無かった。

 白石のR大サーカス。言わずと知れた大御所である。パスタのスープカレーである。本当は、ジャージャー麺を食べに行ったんだけど、売りきれてました。残念。今年は残暑が長いので、こう言うメニューも、まだ人気が有るのかな?仕方が無いのでパスタのカレーを注文。出てきたカレーは、確かにパスタのカレー。味はRそのものであるがチーズリゾットのような風味である。人気が出るのは確かに、わかる気がする。ところどころにベーコンが入っていてなかなかのバランスである。Rのメニューはいつも思うのであるが、もう少し食べたい。もう少しこれが入っていればもっと美味しいのに!というところで無くなってしまうのである。これは、多分「もう一回食べたい効果」を知り尽くした、I氏の技である。あー、このワザに「はまった人」が何人いることか、わしもその1人である。ただし、これはパスタメニューである。ヌードルとかラーメンではない。特集にはR大サーカスとLLが乗っているが、これは違うんじゃないの?と、わしは思うのである。

 最後に、Aの大王である。

 言わずと知れた、室蘭カレーラーメンの大御所である。太目の縮れ麺に、カレーで粘度がやや上がったスープが良く絡む。上に乗ったネギやチャーシューもいかにもラーメンらしい。太めの麺が食べ応えが有り、満足感をUPさせる。トッピングのキトピロも試してみたかったが、今回は止めにしておこう。やはり、ラーメン屋のカレーラーメンは、満足感が違う。カレーラーメンに関して言えば、西野のS軒も独特なカレーラーメンである。普通のルーカレーではなく、スパイス感の有るカレーラーメンである。ただし、こちらのカレーラーメンは値段も安く量も少なめなので、満足感という点では、今一つではあるが、T屋みたいにライスをつけるとちょうど良くなるかもしれない。また、東区ファイターズ通りのラーメンMの限定メニューのカレーラーメンも普通のルーカレーベースではなく、スパイス風味なのであるが、こちらはちょっとスパイス控えめである。スパイス控えめであるがその分ラーメン側に倒してあって、濃厚なスープが太目の麺と絡み、おいしいラーメンとしていただける一品である。チャーシュウが厚くホッキ貝としなちくのコリコリ感がたまらない一品である。当然満足感抜群である。(ちょっと脂っこいかもしれないけど?)また、西24丁目のスパイシーラーメンTは、カレーラーメンではないが、スパイシーラーメンである。こちらもスープカレーに近いというか、スパイシーなラーメンである。食べてみると判るのであるが、スープカレーファンにも納得のラーメンである事は間違い無い。スープも良いけど麺がまたいい感じなのである。何よりも、スープ、スパイス、麺のバランスが最高である。

 このように、ラーメンに関しては、やはりラーメン屋の勝ちである。やはり、歴史がある分だけラーメン屋の勝ちだと思う。しかし、歴史の浅いスープカレーでも、今後色々な麺を試して面白いメニューが出てきて欲しいところである。札幌名物のラーメンに限らず、米の麺だったり、パスタだったり、うどんだったり、そばだったり。今後スープカレー屋で、当たり前に食べられる麺のメニューがあってもおかしくは無くなるかもしれない。(そんなわけは無い?)

 スープカレーと麺は、これからもっと面白くなると思う。これは、我々スープカレー屋がどれだけ挑戦的なメニューを考えられるかに掛ってきていると思う。因みに、スープカレーラーメンがブームに成り掛けたときに出来たすすきののスープカレーラーメンGは、未だに健在である(失礼)。美味しければ、充分やって行けるという証明である。

 こんな厳しい状況の中、経営を続けるのも大変だが、スープカレー屋はやはりチャレンジャーであって欲しいと思う。因みに、経営の苦しい村上カレー店も、人員削減とスタッフ全員の努力とお客様の支援のおかげで、何とか乗りきれる状況まで、復活しました。(と思うけどな?)何とか税金(消費税やら事業税やら労働保険料やら色々)も払ったし・・・。やれやれ。

 さあ、新しいスープカレーのチャレンジに期待を込めて、スープカレーラーメンの食べ歩きを続けよう!!!!!!

 それじゃ、また。

2008.10.2