いとしのダメイモちゃん

文 村上 義明

 店で使用する、にんじんやジャガイモは、極力 道内産を使用するようにしている。と、言っても市場に出向いて買っているわけではないので、正確には「極力 道内産を使用するように 野菜屋さんにお願いしている。」と言う表現が正しくなるかもしれない。にんじんもイモも、スープで茹でている。ニンジンは茹でるのに時間が掛るので、圧力鍋を使用している。イモは圧力鍋を使用すると、煮崩れしてしまうので、普通に茹でている。

 「にんじん」にしても、「イモ」にしても野菜なので一つ一つの性質が有る。硬いのもあれば芯が入っているのも有れば、色々である。にんじんは、それほど個性が激しくは無いのであるが、「イモ」は本当に色々である。芯があるのもあれば、「あんこ」と言って、芯の部分に茶色の部分が出来ていたり、茹であがりが堅かったり、やわくて崩れてしまったり。それらは、現在すべてデストロイヤーで茹でられている。この個性が激しくてお客さんに出せないような「イモ」は、スタッフが選別して「良いイモ」と「ダメイモ」に分けられている。この時、ダメイモがあまりに多いと、スタッフが怒って「このダメイモめ!!」といって、ごみ箱にダメイモを投げ入れる光景を見る事が出来る(余り見たい光景ではない)。「良いイモ」はタッパに詰められ、製品としてカレーになる日を冷蔵庫で待つ事になる。「ダメイモ」は、どうなるか?実は、「ダメイモ」も冷凍庫に、保管され、製品になるのを待つ事になる。

 かつて、「ダメイモ」は、デストロイヤーの冷凍庫の10%ぐらいも占めるまでになったことがある。その年のイモ=メークインの、出来/不出来にも因るし、サイズによるものも大きい。また、プルプル/デストロイヤーで消費するイモの量にも左右されるのである。ブームの頃には1週間に1200食以上出ていたので、大体ダメイモになる確率を5%としても60個以上の「ダメイモ」が生産される事になる。ひと月では240個の「ダメイモ」が生産される事になる。

 しかし、現在700食/週も出れば良い方である。その上、メークインのサイズを落としてダメイモ率が下がったので、2%位としても、14個/週である。しかし、最近、イモの出来が良い性か、ダメイモが出てこないのである。ダメイモが出てこないと、ちょっと困った事になるのである。

 ダメイモが、大量に生産された時期、当時のデストロイヤー店長が、苦肉の策として、ダメイモを製品として提供する事を考えた。一つは、ダメイモのスイートポテト。もう一つは、トルカリである。

 スイートポテトは、当時の店長のマー君が、ネットで調べてダメイモ用に手直ししたものである。トルカリは、インド料理のアルラジをアレンジしたものである。現在、ダメイモの在庫が「0」になってしまい。スイートポテトもトルカリも生産できない状態になってしまいました。スイートポテトやトルカリのファンの方には、申し訳ないが、当分生産できない状態が続きそうです。「良いイモ」を使えば良いのですが、どうでしょうかね?

 スイートポテトやトルカリを自分で作りたいと言う人の為に、レシピを公開します。

ダメイモのスイートポテト

 材料 ダメイモ(茹でたジャガイモで代用可)  250g

     砂糖(グラニュー糖)            80g

     卵黄                      2個分

     バター(溶かす)               30g

     牛乳                     一匙

     レモン汁(もしくはオレンジジュース)  一匙

 @ダメイモを細かく砕きマッシュポテトにする。ダメイモは、特に固い部分が残りやすいので、念入りに「これでもか」と細かくする。気にしない場合は、荒く潰しただけでもOKとする。

 A@に砂糖、卵黄、溶かしバター、牛乳、レモン汁を加え、滑らかな生地を作る。

 Bケーキ用、または弁当用のアルミカップに、Aを分け入れる。

 CBをオーブンに入れ、弱火で25分から30分焼く。

   焼け具合を確認し表面に焼き目が出来ていれば、出来あがり。

   焼き目が出来ていない場合、更に5分ほど焼きます。

 トルカリは、元々はアルラジというインド料理で、直訳すると「イモ」「クミン」と言う名前である。この料理は、非常にシンプルで、茹でたイモをマスタードオイルとクミンで炒めて塩で味付けたものである。結構美味しいのであるが、製品として出すなら、もっと手の込んだ、味の有る物にしようと言う事で、結構複雑なものにしました。因みに、トルカリは、「惣菜」と言う意味で、かなり広範囲の意味なので、他の店でトルカリと注文すると、変な顔をされる事、間違い無しである。それじゃあ、レシピを。

トルカリ

 材料 ダメイモ(茹でたジャガイモで代用可)   250g

     クミン                       2gくらい(小匙2)

     マスタード                     2gくらい(小匙2)

     玉ねぎ(スライス)               1/8個

     ニンニク(針状)                1/4個(3gくらい)

     ショウガ(針状)                 1/4片(3gくらい)

     キャベツ(千切り)                1/2枚くらい

     ピーマン(千切り)                1/3個

     かつおぶし                     1つまみ

     ターメリック                    小匙1

     ヨーグルト                     小匙1

     ナンプラー                   好きなだけ

@鍋に油を引き、クミンとマスタードを入れる。パチパチとスパイスが跳ねてきたら玉ねぎを入れて炒める。

 更に、ニンニク、ショウガを入れ、玉ねぎが透き通るまで炒める。

Aキャベツとピーマンを入れ、更に炒める。キャベツとピーマンがしんなりしたら、ダメイモを投入し、

 ほぐすように、火を通す。

Bかつおぶし、ターメリックを入れ、全体をなじませて、ヨーグルトを入れて更に全体をなじませる。

Cナンプラーで味をつける。混ぜながら、味見をして、ちょうど良い所で、出来あがり。

 ナンプラーが苦手な場合は、ナンプラーを少なめにして、塩で味を調節する。

 さあ、これでトルカリも君の物だ。

 こんな風に、製品になったダメイモであるが、昔は余りに大量に残っていたため、ワシの夕食にも登場していたのである。ダメイモといっても、イモである。お客さんに出すのは無理でも、普通に食うには充分なイモである。ビンボーなワシには、貴重な食材である。

ダメイモのサラダ

 材料  ダメイモ            1〜2個

      冷凍ミックスベジタブル    少々

      キャベツ(千切り)       少々

      ヨーグルト            大さじ1

      塩                 少々

 @ダメイモとミックスベジタブルを皿に入れ、ラップをしてレンジで3分加熱する。

 Aキャベツ、ヨーグルト、塩を入れて混ぜる。

 これで、ちょっとライタ風のサラダが出来あがってしまう。おんなじ方法で、ヨーグルトの変わりにマヨネーズにすれば、普通のイモサラダになるし、チキンやシーチキンを加えれば、立派なおかずになりうるのである。

 ここ半年くらい、ダメイモちゃん不足のため、ワシの夕食にダメイモちゃんが上っていない。

 最近、ワシの夕食は、貧弱である。

 こんなに便利な「ダメイモちゃん」なのに、現在在庫が0である。

 ダメイモちゃんが、いないのは、店的には、ロスが無くてバン万歳なのではあるが、全然無いのも、これはこれで困り者である。あー、いとしのダメイモちゃん。

 それじゃ、また。

2011.3.17