今年は少ないかも?2019

文 村上 義明

 今年は少ないかも?と思っていたら、今数えてみたら、24件もありました。中には、移転オープンとか、新しくは無いカレー屋さんもありますが、昨年の13件に比べたら上出来ではないでしょうか?

 昨今の傾向として、スープカレーや、ルーカレーに比べて、いわゆるスパイスカレーのお店が増えてきています。新店の店主の中には、以前スープカレー屋で働いていた人も何人かいるのですが、結構スパイスカレーだったりしています。実際、新店中のスパイスカレーの比率は、11/24と45%とほぼ半数です。

 札幌が、スープカレーの本場として考えられていることから考えると、ちょっと残念ですが、これからこういったスパイスカレーの新店たちが、札幌のカレー業界全体を盛り上げてくれるのであれば、それで十分という気がします。

 逆に、スープカレーの「かつての栄華」の上にあぐらをかいている店などは今後厳しくなっていくのかな?などと心配になります。

 それでは、2019年新店レビューの始まり始まり。

①豊平のゲストハウスのP
 豊平のゲストハウスWAYAの1階で、間借り営業しているのがPです。南インドベースのカレーを2~3種類くらい日替わりでミールス形式で提供してくれます。
 基本のカレー(1種類から、3種のあいがけまで)とラッサム+アチャールなどおかずが数品で¥1200~。割とリーズナブルな値段で提供してくれます。 チキンカレーは、ココナツが強めで、ポークカレーはスパイス強めでした。日によってラムカレーやポークビンダルーなんかもあるらしいです。全体的にバランスのとり方が上手なので、何を食べても安心です。料理教室なんかもやっているらしいので、そういうのが好きな人は、是非!!

②南2西22裏参道の「カリーと肴Mr.N」
 石山通のカラバトカレーにインスパイヤ―されたカレーが食べられます。カラバトカリーよりショウガを利かせているようで、よりシャープなカレーになっています。
 カレーとサラダとソフトドリンクがついて¥880。ご飯の他に、自家製揚げピザや、ニョッキとの組み合わせでも¥880。でっかいザンギも1個¥150。
 庶民の味方のお店です。夜の飲み放題も¥980らしいので、カレーでベロベロになりたい方向けです。(べろべろになるとお店が困るか?) 

③南3西6Cafeサーハビーの間借りK
 本日のカレー(日替わりカレーの1種盛)とスペシャル(日替わりカレー+カレーもう一品の2種盛)があります。スペシャルで¥1250で5種類の総菜(アチャールやらサブジやら、良く判らないおかずやら)が付いてきます。見た目も豪華でインスタ映えするように、盛られています。辛さの指定はありませんでしたが、頼むと辛みスパイスを出してくれるはずです。夜の営業では、ビリヤニなんかのプレートが登場するので、目を離せないお店です。 

④平岸通りの34の向かい欧風カレーD
 牛タンカレーの専門店です。欧風牛タンカレー¥800(彩野菜付きで¥980)、牛タンスープカレーが¥1350。
 どちらのカレーも柔らかく煮込まれた牛タンがゴロゴロと入っています。牛タンの値段を考えると、コストパフォーマンス高いです(原価が高いかもしれないが・・・)。
 辛さの指定は、ルーカレーの欧風牛タンカレーで4段階、スープカレーで10段階、どちらも最高の辛さを指定しても、食べられる辛さに設定されているようです。
 ルーカレーは、ちょっと甘めで濃厚な感じです。スープカレーは、クローブ・シナモン・クミンを利かせた、スパイスカレー系のスープです。
 牛タン好きは是非!!

⑤Kカリー飯店山鼻
 いわずと知れたKカリー飯店の、新店舗「山鼻店」です。本店で食べられないスパイスカレーパイタンが食べられます。スパイスカレー+パイタンスープの組み合わせのカレー+ご飯の上にキーマカレーが載っているいわゆるダブルカレーです。昨今のカレーの合いがけに対抗するには、こういった手法が当然必要になってきます。アチャールの使い方も絶妙です。今後さらに、本店、山鼻ともに新しいスパイスカレーを切り開いていってくれることを望みます。

⑥クマデの間借りカレーH
 イベント等でカレーを提供してくれているYAUYAUさんの間借りカレーイベントカレーH。電車通りのクマデで、不定期に開催されます。1回目は、パンジャブ風チキンカレーと、花椒の効いたラムキーマ。2回目は、ラムキーマと、ダルカボチャカレーの合いがけ。不定期ですが、質の高いスパイスカレーと、おかずもの(アチャールやサブジやポリヤル)が、提供されます。特におかずものに女性らしいアイデアが盛り込まれていて、勉強になります。

⑦北14西3のカレー魂D
 西線14条のカレー魂Dからの、スピンアウト。西線14条のカレー魂Dが、分裂して北14西3にも、カレー魂Dができました。北大周辺のカレー屋さんのローテーションの一つに入れてもらえたらと思います。西線のDもプルプルも同じレシピなのですが、微妙にみんな違います。それぞれを比べてみるのも面白いかもです。

⑧北15西5のカレーP
 あらとんの隣にオープンしたスパイスカレーのお店です。冬は、うどん屋さんになるらしいので、別の場所で営業するのかも?トマトやクミンやコリアンダーがしっかり効いたシンプルなスパイスカレーです。基本のトマトチキンカレーが¥500から。チーズチキンや、ダルの入ったベジタブルカレーや、ダルとチキンのカレーなどがあります。ご飯は、ターメリックで色付けされたイエローライス。辛いのが食べたければ卓上に辛みスパイス(カイエンペッパー)。ビールも¥350。と、何から何まで北大生価格。お金は無いけどカレーが食べたいという方には超おススメです。その後、支店の話なんかも聞くけど、この値段で大丈夫かと不安になります。

⑨移転オープンのSカレー
 北10の東1から場外市場に移転したSカレー。チキンカレー、ポーク、キーマ、ラム、など数種類のカレーを1種盛2種盛、3種盛(あった気がする)など、カレー数種といくつかのおかず類(アチャールやサブジなど)がワンプレートで食べられます。スープカレーもあるらしいが、食べたことはありません。カレー、おかずともにレベル高めです。(本物のインド人かネパール人が作ってるのだから当然か?)辛さは、卓上の辛みスパイスで調整します。お勧めは、ラムキーマです。

⑩北7東4のカレーキッチンO
 無水チキンカレー¥850、和風キーマ¥850、 ビーフカレー¥750。和風キーマはスパイス控えめでカツオの効いたカレーで、ビーフカレーは通常のルーカレーです。辛さは3段階ですが、辛くしてもたいして辛くありません。辛いのが食べたい方は、卓上の辛みスパイスで。

⑪南1西13のスープカレーN
 円山の和食店プロデュースのスープカレー屋です。スープカレーはどれも¥1400以上で、金持ち向けになっています。具材はどれも手の込んだつくりになっていて、さすが和食店プロジュースと思わせます。辛さは5まで無料で、6~有料(¥100増し)です。6でも、辛くありません。かなりあっさり目のスープで、バジルは浮いていません。スープカレーと言うよりは、カレー汁浸しと言った方がいいのかもしれません。これが新しいスープカレーの形となるかどうかは、食べた人によるのかなと思います。

⑫発寒のスパイシーラボT
 スパイスラーメンで有名なT乃虎のカレー屋さんです。元マタレの店舗にオープンしています。駐車場は4~5台分あります。食券を買うラーメン屋方式です。
 コク旨とサラ旨の2種類のスープがあります。コク旨は、濃厚なラーメンスープの感じです。サラ旨はあっさり系のスープカレーに近いけどやはりどこかラーメンスープです。具材は色々と細かく刻んであり、豚汁の様です。チャーシューの量とご飯の量で値段が違います。チャーシュー一枚で¥780~と、ラーメンに近くかなりリーズナブルです。辛さは、一番辛くないお勧め、中辛、激辛(無料)、超激辛(¥60)、超激辛でカレー好きにはちょうど良い辛さかと思います。大体、辛いのだめならカレー屋なんかやらなきゃいいのにと思います。ラーメンベースの為か結構ニンニク強めです。

⑬北35西4のEカレー35
 こちらも言わずと知れたスパイスカレーの名店Eカレーの北35条店。濃厚なルーカレーと、フルーティーなスパイスカレーの他に、35条店限定の無水のパキスタンカレーが食べられます。単品メニューの他に、それぞれの組み合わせで合いがけもできます。ワシ的には、スパイスカレーとパキスタンカレーの合いがけがおススメです

⑭Sカレーの円山S
 円山の花屋さんの中にSカレーが、カレーのカフェSをオープンさせました。店内は花屋さんなのですが、奥の厨房にはタンドールが入っているそうです。
 ピザのようなナンが売りです。ナンとカレーのセットで¥1350(税別)。ピザの様なナン(マルガリータなど4種から選択)とカレー(4種から選択)にサラダが付いてきます。ナンのセット(¥1000)にカレーの追加(¥300)もできます。辛さの指定はありません。(辛みスパイスをもらって辛くします)

⑮南7西11のN
 シンプルなチキンカレーにアチャールなどのおかず3品がついて¥830円。安っ!更にトッピング用のおかずも¥50~。
 夜もカレーとつまみと酒でちょっといい感じっぽいです。ただ一人でやってるので、気を使って入店した方がいいかも?
 お勧めしたいが、混むと大変なので、おすすめは控えることにします。

⑯北1西4のS蔵
 地下歩行空間直結のビルにあるのがS蔵です。羊骨スープカレーのお店です。スープの種類が3種類、羊骨、牛骨、煮干し。辛さは10段階くらいで7以降はピッキーヌが入ってきます。7でそこそこ辛いです。ご飯は、五穀米と白米があります。入っている野菜の種類で値段が違います。9品と13品があり9品で¥1100~1400くらいです。羊骨スープは、かなりヒツジくさいです。煮干しスープでスープカレーラーメンもやっているようです。

⑰琴似のらっきょの隣のビルの間借りカレーC暮らし(仮)
 週末限定の間借りカレーです。スパイスカレーで、ワインを使ったカレーと日替わりの野菜入りカレーが食べられます。辛さの指定はありません。
 全体的に薄味で、スパイス使いも控えめです。辛い物好きにはもうちょっとパンチが欲しいくらいです。昼酒を進めているところが好感度アップです。

⑱白石栄通9丁目の穴場のカレーカフェC
 ルーカレーのお店です。カレーライス¥500、ビーフカレー¥850ポークカレー¥830(税別)。やみつきスパイス¥30、からみスパイス¥30(両方の)ミックススパイス¥50。小麦粉を使った正統派のルーカレーです。濃厚なルーの向こう側からブイヨンや、野菜や果物の味が見え隠れします。なかなか美味しいルーカレーです。
 難点を言えば、具材とルーを別々にあっためていて、具材とルーの一体感が無いことかな、ちょっと残念。

⑲BRANCH札幌月寒のO&Tカフェ
 BRANCH札幌月寒のカフェでスープカレーを出しているとのことで、食べてきました。チキンカレー¥1000(税別)。スープの種類はスタンダードとバジルスープ。スタンダードでもバジルは入ってきます。辛さは7段階で、激辛でも普通に食べられます。ご飯は小盛100g~。穀物入りご飯です。カレーとしてはカレー粉にスパイスを足した上でブイヨンで伸ばした感じで、悪くはない感じです。カレー粉ベースでスープカレーを作るのであれば十分お手本となるようなカレーだと思います。

⑳西野7条7のネパール料理RT
 西野の住宅街の中にポツンとあります。注意していないと通り過ぎてしまいます。(ワシは通り過ぎました)店舗前に駐車場が2台分くらいあります。(2台は確実に停められますが、3台目停めていいのかどうかわかりません)チキンカレーが¥900、他のメニューも大体¥1000くらいです。メニューが割と少なめで、ナンはタンドールではなくフライパンで焼いているようです。辛さは1~4で4は割と辛いです。チキンカレーの器が、そばのどんぶりだったのが気になります。

㉑南4東3のHD
 クリームソーダの向かいの元スリ狂にオープンしたのがHDです。プルプルのレシピを元にしてカレーを作っているはずなので、そこそこちゃんとしたカレーが食べられます(のはずです)。まだオープンしたばかりなので、ゆっくり期待したいと思います。本来は、 パストラミのお店なので、カレーはそのあとで。

㉒南9条通西15丁目のカレーU
 讃岐カレーうどん専門店です。辛さの調整ができるのは、激辛カレーうどん¥980だけです。他のメニューは辛さの調整ができません。
 激辛カレーうどんの辛さは、1~5ですが5でもそれほど辛くはないです。結構濃厚なルーカレーです。麺もそこそこ腰があって、讃岐って感じです。麺の量が少なめなので、ご飯(100円/90g)は必須です。

㉓北14条の北大病院前のNスパイス
 蕎麦屋さんプロデュースのカレー屋です。雑誌ではルーカレーと書いてありますがルーカレーではありません。今流行りのスパイスカレーもしくはインドカレーです。
 カレーの具材とカレーは別々に提供されます。券売機で、カレーの量、ご飯の量、具材の量を選択して食券を買います。最安で¥570と近隣のPと、ほぼ同じ価格帯になります。辛さの指定はありません、卓上の辛みスパイスで調節します。具材は、チキン、ポーク、牛すじの3種で、それぞれの量が選べるので、3種一遍に注文することも可能です。

㉔36号線沿いの美薗3条2丁目のff
 バジルの浮いたトマト風味の札幌スープカレーです。辛みつけにデスソースを使っているので、辛くすると酸味が増します。辛さ1~3は無料で3以降+100になります。辛さ5にするとデスソースの酸味がカレーの味を壊してしまいます。(要注意です)カレーは、チキンカレーで¥1000(税別)で、最近にしてはリーズナブルです。席数は12ですが。一人でやっているので、混むと間に合いません。

 去年と比べると、数もそこそこありますが、暴れる系のカレー屋さんが少なくて、さみしい感じです。
 スパイスカレーの店が増えるのはうれしいですが、特出したところが無いのが難点かと思います。
 もう少しスパイスカレー自体の層が厚くならないとそういうお店は出てこないのかな、と思います。
 今後に期待ってところでしょうか?

 それじゃ、また。

2020.1.2