ホットプレートマニア

文 村上義明

 ホットプレートが、また駄目になってしまった。今年はこれで何台目だろうか?

 わしは、またホットプレートを探しに、ホームセンターへ行くのである。

 某大手ホームセンターHの安売りホットプレートは、過酷な使用には耐えられないのである。

 わしは、いつも二十四軒の某T館というホームセンターにホットプレートを買いに行くのである。このT館にホットプレートが無い場合、他のホームセンターを何軒もはしごすることになるのである。何故ならホットプレートの大きさや、プレート部分の形状や値段など、条件に合うホットプレートはなかなか見つからないものなのである。

 このホームセンターの安売りホットプレートは、¥1980という安さでしかも、かなり過酷な使用に耐えられるものが多いのである。この多いのであるというのが実は曲者である。

 ここで手に入るホットプレートは、メーカーがその都度変わるのである。何時も同じホットプレートが手に入ると言うわけではないのである。長く使えるホットプレートも有れば、一週間でダメになるホットプレートも有るのである。

 ホットプレートが一週間で駄目になる?

 変に思われる方が多いと思う。実は、うちの店では、ホットプレートは必需品なのである。

 何に使うのか?うちの店の厨房を見たことがある人は知っているが、ガスのコンロが5口しかないのである。

 5口のコンロで全ての仕込をするのである。スープを取ったり、挽肉を炒めたりするには5口では足りるはずもないのである。

 そこで、ホットプレートの登場である。スープを取るのには時間がかかるが、常に全開で沸騰させる必要は無いので、一度沸騰したスープはホットプレートに移して、ぐつぐつ煮こむのである。これにより、ガスの口をひとつ確保するのである。

 これ以外にも、チキンレッグの鍋をホットプレートに乗せて保温するとか、ホットプレートは一日中使い倒されるのである。

 小型のカセットコンロでも良いのではという意見もあるが、33CMの寸胴をカセットコンロに乗せるのは、危険なのでちょっと無理である。

 ホットプレートは本来こんな使われ方をするものではないので、すぐ壊れてしまうのである。

 一度、厨房機器の会社の人に相談してみたが、業務用のホットプレートはないと言われてしまったのである。

 その後、インターネットなどで調べてみたが、業務用と言うか研究用と言うか、温度を一定に保つホットプレートの類は有るが、頑丈な作りの業務用ホットプレートは、ついに見つからなかったのである。

 それはそうである。普通のちゃんとした店なら、ガス台を増やしたり厨房を広くしたりするところである。

 しかし、プルプルではスペース的にガス台を増やすことが出来ないのである。ガス台を増やすためには、ビルに穴をあけて排気口を確保しなければ成らないのである。厨房を広くしたいが、客席は減らせない。穴でも掘るかということに成るのである。シクシクシク・・・。

 このため、仕方なくホットプレートを使っているのである。

 クッキングヒーターと言うのも有るが、アルミの寸胴が使えないので論外である。

 使い倒されるホットプレート、プルプルの店の裏には、必ず新品の予備用のホットプレートが、準備されているのである。

 今回も、予備のホットプレートを買うためにT館へ向かったのである。今、T館に売っているホットプレートはS製である。今まで使っていたI製とはちょっと違うタイプである。

 ホットプレートは大体の場合、3ピースで出来ている。ホットプレートとコントローラー、そして蓋である。最近は、ホットプレート部分が色々着けかえられたり、折畳式があったりと色々有るが、そう言う高級ホットプレートは別物である。

 ホットプレートとコントローラーの接合部分は大体の場合仕様が統一されている。このため、気に入ったホットプレートに違う会社のコントローラーを刺しこんでも、大体の場合動作するのである。

 ただし、これも大体の場合と言うことである。相性が悪い場合、温度が上がらなかったり、加熱しすぎてコントローラーが焼けきれてしまったりするのである。思ったようにチューンナップする事は出来ないのである。

 今回使い始めた、S社製のホットプレートは、なかなか使い勝手が良いので、これで耐久性も有れば良いなと思っているところである。

 T館でホットプレートを買った後、新しいカレー屋へと立ち寄った。

 中央区の電車通りのRである。

 店内へ入ると、テクノがかかっていた。しかも、厨房の入り口の近くに何故かターンテーブルとパソコンが置いてある。

 この店は何?不安がよぎる。店内を見ても、ちょっと飲食店らしくない内装である。

 メニューを見ると、「チキンカリー」の他に「きのことベーコンの梅しそカリー」「チキンのタイ風カリー」がある。

 梅がカレーに合うのは琴似のRで実証済みである。迷わずに梅しそカリーを頼む。

 辛さは、2辛を頼む。辛さは、全部で10段階有り、2辛は、普通の店の一番辛い辛さの半分くらいであると言う。普通の店とはどういう店だろうか?疑問が残ったがそれ以上に突っ込みは、悪いと思い止めておいた。

 梅しそカリーは、2辛までしか作れませんということだった。

 暫くしてカレーが出てくる。一口スープをすすると、梅の味がビシバシと利いた美味しいカレーである。

 辛さは、適度な辛さでカレー自体の味を壊さない限度かもしれないと思った。梅しそカリーが2辛までと言った意味がここで理解できたのである。

 具も、イモやインゲンやヤングコーンにオクラ他と多彩である。

 梅の酸味が気持ち良く口の中に広がって行く。最近オープンした店の中では、味的にかなりのレベルである。

 但し、梅干によるものかベーコンによるものか味付けによるものか判らないが、塩味がきつめに感じられた。チキンカレーを食べてみれば、判ると思うが、同じ店で2杯食うのは止めているので、諦めた。

 食べてはいないが、チキンカレーの方も期待して良いと思う。

 但し、メニューが3種類と少ないので、物足りないところである。

 また、値段も安いので原価が気になってしまう。

 今後に期待したいところである。

 この店では、ホットプレートなんて使っていないだうなーと思いながら店を出た。

 それじゃ、また。

2003.11.9