大通地区観光カレー食い倒れガイド1

文 村上義明

 最近、店にやってくる観光客が増えた気がする。東京でのスープカレーの盛りあがりが影響しているらしい。

 しかし、色々カレー本を見てもあくまで店やカレーを羅列しただけのものが多く、面白みに欠ける気がしてならない。

 それなら、わしがやってしまおうというのが、この企画である。しかも、最近 大通地区のカレー屋が驚くほど増えているのである。それもこれも、スープカレーブームに乗って飲食チェーンがカレー屋にも手を出してきているからである。最近の大通地区のカレー屋は、大体が飲食チェーンの経営である。少々淋しい気もするが、商業地域へ進出するには、それなりに金もかかるし、大変なのである。個人が進出するのは、難しいのである。

 地下鉄大通り駅をおりたら、そのまま地下のコンコースを西へ向かうとしよう。そうするとカレーの看板が立っているではないか、道東の有名店Kの札幌店があるのである。ビルの地下の奥にその店はある。

 入り口の看板を見るとインドカレーのほかに、スープカレーも有る。珍しい所で、ヨーグルトのホワイトカレーや、あんこナン・・・などがある。

 ここでは、定番のインドカレーのセットを注文するのがベストだと思われる。なぜなら、単品のカレーは量も多く値段も張るからだ。お得なのはサラダやドリンクがついたセットである。

 お薦めは、チキンかラムのセットである。辛さの選択であるが、一番辛い極辛はかなり辛いのでマニアでも躊躇した方が良さそうである。少なくとも、わしはいつもヒーヒー言いながら完食する。

 道東の名店Kを後にしたら、そのままコンコースを西の突き当りまで行って欲しい。そこには昭和ビルというビルの地下飲食店街がある。昭和ビルの地下は近隣のサラリーマン達の昼食街なのである。平日の12時過ぎともなれば、そこはサラリーマン達が行列を作るほどの込み具合になるのである。大抵の事業所は12時〜13時が昼食のための昼休みである。この1時間をどう使うかがサラリーマンにとっては、重要なことなのである。

 そんな、昭和ビルの地下に、小樽の名店Kのカレーを出すKsがある。定番のチキンカレーの外、珍しい所でカレー粥なども評判である。バーのような作りの店内で、スープカレーが食えるのである。いや、食えるなどという言葉は使ってはいけない。食べさせていただけるのである。ランチタイムの値段は値引きがあるにしても少々高めの設定では有るが、普通にスープカレーを食べるには良い料金設定かもしれない。

 さあ、Ksを後にしたらいよいよ地上に出てみよう。狭く傾斜のきつい階段を上ると、大通り公園が目に入るはずである。

 大通りに面した歩道に出たら、そのまま今度は東へ向かうとしよう。まちがっても大通り公園で一休みなどしては行けない。回るべき店は他にもたくさんあるのであるから・・・。

 東へそのまま歩いて大通地区のメインストリート4丁目まで進むとしよう、そこには北海道銀行本店があるはずである。いやあるはずであるは、失礼である。北海道銀行の本店が有る。

 その道銀本店の南の小路にあるのが、Mである。中小路のしかも二階にあるので、わかりずらいのであるが、駐車場の横の階段を上って行くとたしかにカレー屋Mはあるのである。味的にはS狂に近い味である。

 ドアを開けると広い店内と余裕を持ったテーブルの配置に驚くかもしれない。入り口の階段からは予想もつかない広さだからである。メニューはそれほど多くは無いが、値段は手ごろである。ここは、チキンカレーが無難なところである。最近のチキンカレーの流行りなのか、表面をあぶったチキンレッグが出てくるはずである。辛さは、メニューに無い辛さを注文出来るらしいが、ニンニクやショウガが利いている性か、普通の辛さ5番くらいでも十分堪能出きるはずである。

 Mを後にしたら、再度4丁目通りへ戻るとしよう。そのまま南下すると、4丁目プラザが見える。そして4丁目プラザと、ピブォの間の通りを西へ少し入ると、目的の店がある。

 ピブォは、その昔、ダイエーだった。その4丁目プラザとダイエーの間を西へ向かう通りは、オヨヨ通りと呼ばれていた時代があったのであるが、現在その呼び名は無い(と思われる)。あえて旧オヨヨ通りと呼ぶ事にしよう。

 目的の店はビルの地下のSである。ビルの地下であるがビルの入り口から入るのではなく、S専用の入り口から入るのである。その専用の入り口から入るとドアを開けてビックリしてしまうかもしれない。少なくとも、ワシはビックリした。ドアの向こうはどう考えても、バーなのである。ここでカレーを食うのか?いつもなら、間違いなくカウンターの席へ向かうわしであるが、カウンターがわしを拒絶するのである。なぜか?カウンターがきれい過ぎるからである。カウンターといってもバーのカウンターとカレー屋のカウンターは質が違うのである。バーのカウンターではボトルがずらりと並び、内側にはバーテンダーが居てカクテルやら何やらをおしゃれに提供してくれるはずである。しかし、ここはカレー屋である。カレー屋であるが、バーそのものなのである。

 ここのカレーは、MSやMM系のカレーである。値段もそこそこな値段であるが、それに見合うだけの具材がたっぷりと入っているのである。チキンは最近流行りの表面をバリッとあげたチキンである。こんな場所でこんなカレーである。似たような店を思い出した、というか忘れていた。近くにスパイスバーTがあるではないか。そろそろお腹が膨れてきたところでは有るが、そのスパイスバーTへ向かうことにしよう。

 Sを出たら、もう一度4丁目通りへ向かい、今度は北へ半丁行くと、市電の始発駅が有る。その市電の通りに有るのが、スパイスバーTで有る。ここもビルの地下に有る。ビルの地下へ降りて行くとドアの向こうはバーのような作りである。ここのカレーは、スープカレーよりもインドカレーと言った方が良いかもしれない。いや、最近はスープカレーも出していたかもしれない。ここもお薦めはセットメニューである。辛さは結構辛くしても行ける筈である。

 さあ、Tを後にしたら、旧オヨヨ通りの5丁目に向かうとしよう。電車通りを西へ半丁歩き、そのまま南に半丁歩くと、もう旧オヨヨ通りである。そのまま西へ向かうと室蘭焼き鳥の店があるが、わしは未だ入ったことが無い。昨年の夏に見つけていつか行こうと思いながらも、未だ行けていないのである。ああ、あこがれの室蘭焼き鳥。

 そのとなりに小さな店が沢山入ったビルがある。SMの下は元々駐車場だったのであるが、そこが全て店舗になってしまったのである。その中に目的の店Cがある。店内はちょっと窮屈ではあるがくつろげる雰囲気である。ここは、バリッと上げたチキンが売りの店である。値段も手ごろでなかなか良い感じである。

 チキンカレーを注文したら、音を気をつけて聞いていよう、ジュッバリバリバリと言う音が聞こえてくるはずである、美味しいバリバリチキンを上げている音である。暫くしたら、バリバリチキンのカレーが出てくる。この手のチキンを出す店の中ではここが一番バリッと上がっていると思われる。しかも、こんな所にも納豆カレーがあったりするのである。ここの納豆カレーは、R系とでも言おうか納豆も挽肉も控えめな納豆カレーである。

 さあ、Cを出たらそのまま西へ行こう。東急ハンズの裏を通ると、その次のビルの中に目的の店がある、目的の店はDである。

 Dは、味的にはSの系列になるだろうか、あっさりスープの店である。ビルの中の廊下を歩いて行くと中ほどにDはある。和風のスープでその名も「和風」のカレーがある。ほとんどおでんである。値段もそこそこするのでは有るが、その分具材が凝っていたりするので、OKである。揚げた小玉葱が楊枝に刺してあったり、視覚的にも面白い店である。

 ここで気がついた人も居るかもしれないが、実は旧オヨヨ通りには、1丁ごとにカレー屋があるのである。4丁目のS、5丁目のC、6丁目のD。ほんとにラーメン屋ぐらいになって来たかもしれない。恐ろしいものだ。

 Dを後にしたらそのまま西へ向かおう、通りにでたらそのまま1丁南下しよう。M’sスペースなる雑居ビルが見えるはずである。目的の店はそのビルの1階の奥に有る。Bである。売りきれていなければ、ビルの奥から行列が見えるはずである。とにかくスープが美味しいのである。ご飯に乗った目玉焼きが泣かせてくれるのである。ただし、売り切れる時間が早いので注意が必要である。売りきれなければもっと良いけど、仕込みも大変なので・・・。残念なところである。

 Bを出たら、そのまま狸小路を西へ向かおう。アーケードがあるのは7丁目までである。その7丁目の角には昔からの食堂がある。この食堂にもカレーはあるのであるが、お薦めは食堂の2件南側にあるOカフェである。結構狭いが、カフェである。カレー屋ではない、カフェである。インドカレータイプのカレーとサラサラスープカレーが有る。お勧めは当然サラサラスープカレーである。値段もなかなか良心的な値段設定なのでお薦めである。インドカレーの方が安かったような気がするなー・・・。

 Oカフェをでたらアーケードの無い狸小路を更に西へ向かう。9丁目の角には三角山五右衛門ラーメンがあるはずである。天気がよければ行列が見られるかもしれない。五右衛門ラーメンを更に西へ向かうと井上米穀があるはずである。近くに焼き鳥の金富士狸小路店があるが、金富士まで行くと行き過ぎである。ちょっと戻る必要がある。その井上米穀の横の小路を北へ半丁行くと、目的の店がある。

 1階には、美容室とハンバーガー屋さんが有るビルが見えるはずである。入り口はビルの西側に有る。ビルの地下へ向かうと奥のほうから、レゲエが聞こえてくるはずである。納豆カレーのPである。

 店に入ると店員が大声で「いらっしゃいませ」と脅かすはずなので、ワザとビックリしてみよう。店員の機嫌が良ければ喜んでもらえるはずである。機嫌が悪かったら・・・、どうなるか判りません。

 店員の指示に従い席についたら、メニューを見せてもらおう。始めての方にはチキンベジタブルがお薦めである。何の変哲も無い、普通のスープカレーである。始めての店ではスタンダードなカレーを頼むのが良いとされている。その店の普通が見えるからである。で、もし二人連れなら、もう一つはナット・挽肉ベジタブルがお薦めである。

 ナット・挽肉ベジタブルはこの店の看板メニューである。このメニューが無かったら、こんな店が有名になる事は無かっただろう。しかし、ここで間違ってもこんな頼みかたをしてはいけない。

 始めての店だからチキンカレーを注文する。納豆カレーの店だから、納豆をトッピングしてみよう。

 明らかに別の料理である。鍋焼き饂飩のうまい蕎麦屋で、そばを鍋焼きにしてくれと言っているような物である。頂けないのである。

 Pの納豆カレーは、挽き割り納豆と鳥の挽肉の混ざり具合が受けているのであるから、むやみやたらと納豆をトッピングするのはどうかと思われる。

 Pを出たら。今度は南に1丁ほど歩いて電車通りに出てみよう。そろそろ体中にカレーが行き渡って、針でも刺そう物なら、ピューッとカレーが吹き出てきそうになっているはずである。いや、もう喉元までカレーがあふれ出てきているかもしれない。そう、なんだかんだ言って既にカレー屋を10軒も梯子しているのであるから・・・。

 わしなら、3軒でダウンです。

 普通、10軒も梯子しません。しかし、今日はもう1軒回らないと、終わらないのである。

 さあ、気を取りなおして11軒目へ。

 電車通りに出たら、そのまま西へ1丁歩くと、通称「石山通り」にぶつかる。その電車通りと石山通の交差する交差点に、目的の店がある。そう、北海道資本のカレーチェーン店Lである。

 カレーマニアならずとも、誰でも知っているであろう、このL。今日はこのLで締めるとしよう。

 Lでは、ご飯の量と辛さを選びトッピングを選ぶという注文の方式が採用されている。最初は、複雑な券売機で不評を買っていたが、注文の仕方を単純にする事で、間違いを無くし、注文をしやすくしている。さすがチェーン店、見習うところは大きいね。

 これだけカレーを食ってきてご飯の量をSで頼むと・・・、それでも多そうである。しかし、Sの下は無いのである。仕方なくSを選択。Lの辛口は結構辛いので、なれていない人はハーフ&ハーフで少しやさしめの辛さを注文した方が良いかもしれない。トッピングは・・・、もう勝手にしてくださいって感じですか・・・。

 これで、大通りから西11丁目の間が、カレー屋で埋め尽くされていることがよく判ると思う。

 昔、店を出す前にS狂のM夫妻と、「カレー屋もラーメン屋と同じくらいになると楽しいね。」って話していたのであるが、もうそれに近い状態になって来ています。ワシ的には、かなり楽しいです。

 しかし、この企画タイトルに「1」って書いてあるけど、「1」って何だ?。

 「2」が有るのか?「2」も作るの?

 どうしよう!!!!

 それじゃ、また。

2005.6.24