札幌スープカレー2007

     副題:プルプルの新店チェック2007

文 村上義明

 毎年、正月には前年に出来た新店に関して、あれこれ書く様にしている。これは、現在の札幌スープカレーの動向を知る上で、非常に為になっている。プルプルもいつしか、中堅(中には老舗の部類に入れる人もいるが)の店として位置付けられるようになった。スープカレーマニアのワシとしては、ちょっと恥ずかしい気がする。それでは、プルプルの新店チェック2007のはじまりはじまりー。

 2007年ではないが、南8西14のO商店、民家を改造した「かなり雰囲気の有る」店である。駐車場も店の前に3台ほどと、すぐ横には、コインパーキングも有る。値段も辛さやトッピングの追加をしなければ¥1000以下で食べる事が出来る。しかし、O商店の真髄はトッピングのエビスープにある。最初ノーマルスープを食べた時は、良くまとまった美味しいスープだなという感覚であったが、エビスープをトッピングすると、旨み成分の相乗効果で、抜群に美味しくなる。但しエビスープをトッピングすると¥1000を越えてしまうので注意が必要である。つまり、美味しいものを食べたければ、金を払えということである。(厳しいねー)

 O商店がオープンするちょっと前にオープンしたCM。住所は南8西15とO商店と1丁しか離れていない。スープの種類が3種類有り、どの種類のスープもかなりレベルが高い。値段も¥800前後とかなりリーズナブルである。注文の仕方が独特で、席の前においてある伝票に自分で注文をチェックして、オーダーするというやり方だ。このやり方だと、オーダーに関するわずらわしさが、解消されるが、客と店の関係が接近しないのが難点では有る。この店は、高級オーディオ専門店のAMの系列の店らしく、店内には高そうなオーディオが小さな音量で鳴らされている。ちなみにプルプル、デストロイヤー共にオーディオは中古のちょっと良い目のアンプとステージなどのモニターで使用する頑丈なスピーカー(当然中古)を使用している。CDチェンジャーは、消耗品に近く、デストロイヤーでは3ヶ月に一回壊れる。それでも修理して使うのであるが、やはり3ヶ月程度しか持たない。プルプルのほうのCDチェンジャーは、昨年オープン以来使用していたS社の10枚入りのチェンジャーがとうとう修理不能となってしまった。プルプルでスープを取っていたときは、やはり3ヶ月に1回修理に出していた気がする。お疲れ様でした。デストロイヤーのファックスも3年で壊れた。精密機器は、湿度が嫌いなのだ。

 わしは、南5西12に住んでいるのであるが、南8西13のCを含めて、この辺も1丁ごとにスープカレー屋が有って、結構な激戦区になっている。サバイバルである。

 北32西4のR。スープカレーではないが、スープカレーも有るインドカレー屋さんです。本店は本州にあって、支店ということですが、店主のRさんはネパール出身で、RRなどで働いていた人だそうで、味は保証します。始めての方は普通にインドカレーを食べる事を進めます。ランチは¥800位でドリンクもついていて非常にお得です。スープカレーも有るけど、インドカレーを一通り食べてから、食べる事を薦めます。多分、スープカレーを食べても、やっぱりインドカレーに戻ると思うので・・・。ワシ的には、今年一番通った店かもしれない。

 南3東1ののれん横丁にオープンしたS。N屋で修行したK氏が独立してオープンさせたのがSです。K氏は、バンド友達(わしは今バンドやってないからこう言う表現は当てはまらないかな?)なので頑張って欲しいです。味は、N屋の味が好きな人なら全然OKです。N屋にないメニューもたくさんあるので、是非。場所柄「観光客目当て」と思われがちですが、そろそろ観光客のスープカレー熱も下がってきているので、あくまでも地元の味として、受け入れてもらいたいと思います。

 何せ、2条市場周辺も、強烈な激戦区になっているのだから。TT、Y、老舗のD、村上カレー店出身のP、有名店のY、SB、いかに人がいるかもしれないといっても、この周辺に7軒もあるというのは、ちょっと異常かもしれない。北24条周辺と同じである。ここもやはり、サバイバルである。

 麻布のQ。麻布のちょっと住宅街に入った所に有る。駐車場は3台分有り、アクセスは良さそうである。スープカレーとは言っているが、玉葱の多いかなりインドカレーよりのスープカレーである。味付けも素朴な味で、値段もそう高くは無く、なかなかのものです。ただし、近くにS麻布店があるので、かなり独自性を打ち出さないと、難しいかもしれない。

 美園4条2丁目のS。本当に路地裏にあります。路地裏カレーS、小さい店です。見つけ難いが、広い駐車場があり、お薦めです。いわゆる札幌スープカレーの、ど真ん中当たりを突き進んでいるのではないだろうか?味はそんなにトマトは強くは無いが、しっかりとしたスープがカレーを支えていてなかなかのものである。契約農家から仕入れているという野菜も、うれしい。ただし、値段はちょっと高めで、基本は¥1000くらいであるが、トッピングや辛さの追加をすると、見る見る値段が上がるので、注意が必要である。最近の傾向としても、基本のカレーの値段はある程度押さえて、トッピングやスープの大盛りやご飯の大盛りで利益を出していく方法、生き残っていくためには必要な手段かもしれない。お勧めの店ではあるが、やはり場所柄サバイバルである。ガンバレS。

 白石のBB白石店、BBの4号店である。短期間のうちに4号店、凄い限りです。多店舗展開しているLLやHHやCやT屋など、凄いと思います。ウチにはそんなパワーは無いです。スープカレーのチェーン展開は、「勢い」という点で有る意味業界の後押しをしてくれるので言いのですが・・・。他の店にもお客さんが流れてくれるのであれば、良い展開なのですが、お客さんを囲い込む方向に流れてしまっているようで、少々残念です。まー、企業である以上、利益を出さなければ成り立たないわけで、当然の事かもしれない。んー、サバイバル。

 同じく白石のインドレストランRI。北24条のMDで、最近Mさんを見ないなーと思って、新店情報をキャッチして、RIに行って見たら、なんとMDの姉妹店でした。Mさんのカレーを食べて、「あー、これこれ」と1人で納得して帰って来てしまった。ホテルの1階のレストランだが、場所的に微妙だなーと思いながらも暫くして再訪してみたら、近隣のお客さんでごった返していた。恐るべしMさんのカレー。

 RIでカレーを食べた後に、タイ屋台料理のRへ行ってみた。本場のタイ料理は、現地で食べた事が無いので何とも言えないが、それなりに美味しいのだと思う。行って見て驚いたのだが、店内は割と音が大きく、何故か店の奥にベースが掛っていた。しかも、店に入った途端に、「ワシ」だとばれてしまった。調理をしている人をもう一度良く見てみると、山の手のGで働いていた彼ではないか?そうです。実は彼もベーシストである。タイ料理はあんまりメジャーにはなっていないので、頑張って欲しいところである。味付けと値段で納得のいくものが出来れば、十分商売になるとは思います。

 以前、銭函にFと言うカレー屋さんが有って有機野菜とか使ってなかなかの味を出していた店が、札幌に戻ってきたのが、大通り西20のJJである。Fは昔3条通り(プルプルの近く)で、サーフショップをやっていた人が出した店であった。そのFが今度はデストロイヤーの近くに引っ越してきたのである。ライスも10穀米とかにして、店の中もちょっと小奇麗な感じである。近くにオフィスが結構あるので、期待が持てる。これで、デストロイヤー周辺も、M、LL円山店、JJ、HH本店、Kなどなど、気が付くといつのまにか激戦区。これじゃ、デストロイヤーの客の入りも悪くなるはずだ。頑張らねば!!サバイバル!!

 石狩のK一家。駐車場が広い。なんと10台。BC札幌本店の姉妹店として、オープンしたらしいです。食べてみると、いかにもBCらしいカレーでした。でも、メニューを見るとBCには無い、新しいカレーも。一家総出でカレー界に進出してきて、ちょっと期待したいところである。

 中央区北1東2のH男爵。この辺は、割とビジネス街であるはずなのに、今まであまり「カレー屋が進出していないエリア」だった。元々、飲食に適した物件が無かったのが原因かもしれない。髭の人は割り引きになると言う制度がある割には、ホールは若い女の子だし、キッチンからのぞく顔にも髭が無かったので、ちょっとガッカリである。H男爵とネーミングするからには、髭のやさしそうなおじさんが注文を取りに来て、キッチンに伝えると、中から強面の髭男爵が出てきて、客がビビルと言うような店であって欲しかったんだが・・・。きれい過ぎでした。カレーの方は、割と無難な味でした。

 東札幌のR。環状通りからちょっと内側に入ったマンションの1階にある。周りに駐車場は無く、駐車スペースも1台分しかないので、車で行く分には、ちょっと厳しいかもしれない。カレーとケーキの店である。ワシは、甘いものも好きでは有るが、ケーキまでは手が出なかった。(本当に好きなのは餡ものである。)カレー自体はトマトの風味が結構効いた、パンチ力のあるカレーである。店内は結構広く、落ち着いた雰囲気。近所のおばさん達に人気が出れば、十分生き残れるはずである。

 以前、環状通り沿いにRPと言う店があったのだが(環状通りを挟んでTもあった。)、気が付くと無くなっていた。ところが、いつのまにか平岸4条8丁目に、移転オープンしていたのである。さっそく車を走らせて、住所を目指すが、見つからない。どうやら通りに面していないのではないか?と思いスピードを落として再チャレンジ。あった!!通りからちょっと、入った所にカレー屋らしき店が・・・。良く見るとRP!!見つけたぞ!早速店に入り、カレーを注文する。出てきたカレーを見て、ちょっとなんか違うぞ?RPは鍋でグツグツしたカレーじゃなかったかな?フライパンの上でグツグツはしているけど・・・。味も微妙に違う。しかも、フライパンのそこに目玉焼が入っている。底の方からコーンがブツブツ。移転して若干の変更が有ったのだと思うが、昔のRPとは違う気がした。今やカレー業界も何でもありだから、今後どう変化していくか、楽しみでもある。

 移転といえば、以前 伏古にあったHが1年以上の歳月を経て、ファイターズ通りに復活。スパイスの効いたパキスタンカリーが復活。頼もしい限りである。店には、パキスタンカリーのほかにスープカレーも有るので、出きれば2人で行って、パキスタンカリーとスープカリーの両方を食べるのがベストではないだろうか?ワシとしては、スープカリー+パキスタンカリーのセットが有れば、それを頼みたいところであるが・・・(これだとご飯もスープも全部スパイスまみれになれる)。無理かな?

 平岸街道を南下して行くと、真駒内方面と澄川方面に分かれる道があるが、その道を澄川方面に向かうと、入り口当たりにスープカリーKがある。どうやら中央区のCDでカレーを作っていた人が独立して出した店らしい。ちょっと怪しげな外観とテラスのような店内が特徴的である。カレーの味はさすがKと名付けるだけの事は有る。と万人が納得するかどうかは知らないけれど、かなり良い線です。CDよりも、スープが太いような気がしたのは気のせいかな?最近はやはり、どこかの店でカレーを作っていた人が独立というパターンが多くなってきている。みんなそれぞれの店で培ったノウハウを活かして、カレー屋を経営しているのだと思う。ある程度のノウハウがあれば、半年で閉店なんて事は無くなってくるとは思う。

 今年は、スープカレーよりもインドカレー系に良い店が増えた気がする。東札幌のDも、その一つである。インドカレーは、かなりシェフに左右される可能性が高いと、以前も書いた気がするが、ここのシェフもかなり美味しいシェフである。まだ、1回しか行っていないが、一回食べただけで、もう一度食べてみたいと思わせるのは、美味しい証拠である。Dは、特にナンが、美味しい。ひょっとしてO泉食堂と関係が有るのかな?TM系のナンには無い、軽さと香ばしさが満点なのである。もちろんカレーもちょっとスパイスが立っていて、そそる感じです。北32条のRとどっちを取るか、悩むところである。難点は駐車場かな・・・。

 白石区役所の近くのOR。オレンジ色の新感覚スープが特徴の新店である。ただ、新感覚スープに期待しすぎると、ちょっとガッカリします。あまり尖ったところの無い、基本的なあっさり系スープカレーでした。ただ、出来立ての店内は綺麗で、カウンターで食べていたワシが、周りから浮いていたのは、事実である。こう言う綺麗な店は嫌いなんだよな、小汚いおじさんは、どうしても浮いてしまうので・・・。

 今年の夏当たり、狸小路の4丁目に、GMというカレー屋があったのを憶えている人はいるだろうか?その名前だけを見て、もしかしてパルコ裏のGMが復活?と勘違いした人も居たのではないだろうか?当時はカレーとワインの高級な店だったはずである。所が、店の前の電光掲示板には、ランチ780とか言う文字が流れたりしていたのである。ワシは、恐る恐る階段を上って行った。それにしても急な階段である。ギーと音を立ててドアを空けると怪しい店内で、インド人が1人、客を待っていた。「いらっしゃいませ」インド人は、言った。周りに他の人は居ない。インド人1人、客はワシ1人。ランチの「ムンバイランチ」を注文する。インド人は、厨房へ戻り、カレーを調理して戻ってきた。普通のインドカレーにナンとサラダが付いて¥780。いいんじゃない?リーズナブルで・・・。ちなみにムンバイは彼の故郷だそうだ。

 と思っていたら、いつのまにか、店の名前が代わっていた。TM?????タイ?とおがらし?そうGMは、TMに売られてしまったのでした。TMはタイカレーとインドカレーのお店、本店は岡山らしい。オーナらしきインド人がそう説明してくれた。とりあえず、¥780のタイカレーランチを頼む。厨房の中にはインド人数人と東洋系のアジア人が1人、客はワシ1人。暫くして、タイカレーと長粒米のご飯とサラダがオーナーらしきインド人の手で運ばれてくる。この値段で、これなら良いんじゃない?オーナーらしき人物は岡山に4店舗あると自慢気に話す。まー、これでお客さんが入れば、OKだよね。ガンバレTM。

 ここで上げただけでも、20件の店がオープンしている。ブームが去ったとはいえ相変わらず新店は、増え続けている。閉店している店も10軒以上あるにしても、ますます、スープカレー屋はラーメン屋に近くなってきているような気がする。

 今年の傾向としては、最近のスープカレーブームの中でカレーを作ってきたいわゆる若手の人達が、どんどん独立してきているということ、これにより、スープカレー業界も新たな次元に入ったと思わえる。みんな若いから、新しい事も好きだし、新しい挑戦もしてくれるだろう。あとは、それぞれの店にちゃんとお客さんがついて、更にスープカレーが一般市民の生活の中に入りこんで、ブームから安定期へと遷移して行ってもらえれば嬉しい限りである。

 また、スープカレーが去って、インドカレーの逆襲が始まっているのかもしれない。ネパールの政情不安も一因になっているかもしれないが、インドカレー好きには、第3次インドカレーブームが起きるのは非常に嬉しい事である。しかも、今回は市の中心部よりも、住宅街などに小さなインドカレー屋が増えてきている。近くの居酒屋の感覚でインドカレーが食えると成れば、これは、嬉しい限りである。

 カレー屋なんかやってる場合じゃないかも・・・・。

 それじゃ、また。

2008.1.2