カレーでTシャツ

文 村上 義明

 Tシャツは、仕事着である。夏も冬も、厨房の中では、Tシャツにエプロンである。夏は、暑い。朝、厨房に入ると、既に30℃を超えている事が有る。これは、夜の間にいくらか涼しくはなるものの、業務用冷蔵庫が、必死に仕事をするために、冷蔵庫が出す熱で、厨房自体の温度が上がってしまうのである。冷蔵庫にしたら、劣悪な環境である。

 そんな環境の中で働くためには、Tシャツである。しかし、スープカレーブームが去って以来、客足は減る一方である。当然、生活費も切り詰めなくては成らない。ブームの頃は、当時プリビィの上の階のイーグルトレーディング(今は4プラの上に移転)で、おばさんと話をしながらTシャツを買っていたのだが・・・。いまは、そんな余裕は無い。普通なら、食費を切り詰めて、着るものを切り詰めるのであるが、わしの場合、食費は基本的に夜の酒代(プルプルの近所のK富士)くらいである。K富士では、ビールと焼き鳥と酒を頼んでも、二千円ちょっとである。ので、切り詰めるといっても、先ずは着るものに成ってしまう。

 わしの「着るもの」と言えば、Tシャツくらいしかない。上着は、おととし買ったジャージともらったジャージがあるので、とりあえずは困らない。その上に着る皮ジャンは、20年前に買ったものがボロボロであるが、まだ着ることが出来る。ジーンズは、まともなE社のが1本あるので、そんなに困らない。しかし、Tシャツは1週間に6枚は、必要である。しかも、Tシャツは、消耗品である。着て、洗って、また着て、更に洗って。そうこうするうちに、生地が薄くなり、ほつれてきて、破れて、着れなくなってしまう。

 今年の夏、暑い中、冷たいカレーを食べ歩いているときに、有る事に気がついたのである。カレー賛昧のスタンプラリーのカレー賞が、なんとTシャツではないか。カレー3皿で、Tシャツが貰えるのである。わしにとって、こんなにお得な事は無いのである。

 よし、来月のスパイスビーチが出たら、計画実行だ!!!

 待ちに待った、スパイスビーチの発行。ティーツーワイジャムのH氏が、スパイスビーチ(Vol9)を店に持ってくる。わしは、喜んで受けとって特集を見る。ニューオープンのカレー店特集である。先日行った美園のRや、豊平のRPや、モハンさんのRIなどが、載っている。C平岸店とl千歳以外は、既に行った事がある店ばかりである。

 まー、再訪でスタンプ押してもらうのも良いか、と思いながら。スタンプラリーのページをチェック!!!

 しかし、スタンプラリーのプレゼントがTシャツでは、無い

 そーなのである。プレゼントはタオルハンカチの月と、Tシャツの月が交互にやってくるのである。

 ガッカリ。

 計画の実行は、一月待たされることになる。

 しかし、その間に、デストロイヤー店長であるマー君が、友人からTシャツを貰ってきてくれたのである。

 その中から、キッコーマンTシャツとキューピーTシャツを貰い、なんとか夏を乗り超える事が出来た。ありがとうマー君。

 そして、待った1ヶ月後、再びスパイスビーチの発刊。いつもの様に、H氏が、スパイスビーチ(Vol10)を持って、店にやってくる。今月こそはと、スタンプラリーのページをめくる、やったー!!!Tシャツだ!!

引き続き、特集ページをチェック。スープカレー店のルーカレー・・・・。かなり微妙である。しかし、やるしかない。TシャツGETのためである。内容を見てみると、南郷通りのG、大谷地のMなどが乗っている。スープカレー店だっけ?(函館弁?)と首をかしげる。

 まず、内容のチェックから入る事にしよう。まず、南郷のG、ここは、元々本郷通りのカレー屋だったはずで、スープカレーとルーカレー両方を出す店だったと記憶している。だから、スープカレー屋のルーカレーとは言えないような気がする。そして、カレー&ペプシのP、キーマタイプのカレーであるが、果たしてこれはルーカレーか?ルーカレーとは、カレールーもしくは、カレー粉+小麦粉でルーを作ってからカレーにしたものを言うのではないか?Pのカレーは、分類としてはインドカレーの部類に入るのではないのか?大谷地のM。ここはM屋プロデュースのルーカレーの店だったように記憶しているが、いつの間にスープカレー屋になったのであろうか?豊平のCMは、スープ&ルーカレーの店だったような気がする。しかし、スープカレーしか食べた事が無いので、このカレーは「食い」である。元祖札幌カリーPのカツカレー。Pは正真正銘のスープカレー&ルーカレーの店である。BC札幌本店もスープカレー&ルーカレーの店である。しかし、記事に出ているのは焼きチーズカレーである。未食である。これも「食い」か?しかし、以前西13丁目のPで、焼きカレーを食べた時に、腹だけが膨れた思いがあり。ちょっと微妙かな?パルコのC、ここはスープカレー?未食ではあるが、オープン当時から食べる気がしないのでパス。中島のAS、師匠の店であるが、ラジャスタンカレーは、ルーカレーではない、インドカレーである。これをルーカレーというならば、インドカレーのMや、TMなどもルーカレーの店ということになってしまう。ガンソトンコツスープカレーH、ここのスープカレーは、ほとんどラーメンである。食べ始めたときに、「あれ、麺が入ってないよ、このラーメン」って言ってしまいそうなくらい、トンコツの風味が効いている。Hのルーカレー、これは絶対「食い」である。最後に、北15条のP、Pのスープカレーは、さらさら系である。元々Sの基本を作った人なので、その人が作るルーカレーは、絶対「食い」である。

 以上のチェックにより、豊平のKM、BC札幌本店、ガンソトンコツカレーH、北15条のPが候補になった。

 木曜のデストロイヤーの休みがきた。朝起きたら、1週間分のTシャツとエプロンとジーンズを洗いながら、朝日新聞を読む。デストロイヤーによって毎日新聞を読み、新聞を2つ持ってプルプルに向かう。木曜日は、プルプルに新聞が2つある。それは、デストロイヤーの新聞を、わしがプルプルに配達するからである。プルプルのスタッフと軽く打ち合わせをして、銀行へ支払いへ行く。さあ、ここからTシャツGETの旅のはじまりである。まず、CMに向かう。

 CMの前に駐車場が、2台。空いていたので、難なく駐車。店内に入ると女性のお客が1人。店の中は空いていた。カウンターに座り、メニューを見る。目的のナスと挽肉チーズが、見当たらない。スープカレーの定番メニューと、ルーカレーが乗っているだけである。仕方が無いので、スパイスビーチを出して、「これ有りますか?」と聞くと、ありますよと店内の黒板を指差した。そうか、そっちだったか?「なすと挽肉チーズのカレー」を注文する。

 暫くすると、熱々になった「ナスと挽肉チーズのカレー」が運ばれてくる。一口食べると本当にルーカレーである。いや、ルーカレーを頼んだのであるから、当たり前であるが、スープカレーとは全くの別物という感じである。挽肉とナスが入っているが、チーズがまた更にコクを増している。いや、どちらかというと「くどい」方かもしれない。最近年のせいか、くどいのが苦手になってきた。ただし、カレーは熱々である。そのままパクリと口に運ぶと、口の上側をやけどするのは間違いない熱さである。

 話は代わるが、最近の新しいスープカレー屋で、スープがぬるい事が良くある。先日有る店で、ぬるい理由をあからさまに見てしまった。カレー自体を熱々で器に盛るのであるが、他の揚げ物の上がる時間との差があるために、具材が上がるまでに、熱々のカレーが冷めてしまうのである。特に粘度が低いカレーの場合、表面に油でも浮かべていない限り、放熱してぬるくなりやすいのである。気をつけなければイケナイ。

 CMでは、熱々の「ナスと挽肉チーズのカレー」を堪能して、次へ目指すことにした。

 次に目指したのは、北15条のPである。ここは、今年移転オープンしたばかりである。但し、新しい店には駐車場が無い。すぐ近くに、コインパーキングがあるが、台数が限られていて、ちょっと難しい所である。

 Pの前まで行くが、コインパーキングが一杯である。Pは、大きな交差点の近くにあり路上駐車出来る場所ではない。どうしようかと迷いながら、ぐるぐる回りながら、カレー食堂Kの前を通る。駐車場は一杯である。こっちも込んでるな・・・。もう一度コインパーキングの前に行くが、やはり空いていない。しょうがない、諦めよう。

 次に向かったのはBC札幌本店、「焼きチーズカレー」を目指すことにした。しかし、ここも駐車場が一杯である。

 こうなると、ルーカレーなんてどうでも良くなる。CMでは、辛さが不足していたので、辛いものが食べたい。時間も14:30と良い時間になっている。もう車を置いて、家の近くにCに行こう。

 わしは、車を駐車場に戻し、Cへ向かった。実は、Cの基本の味を作ったのは、元AAのO氏だったはずだったが、O氏はいつのまにかCから居なくなっていた。ちょっと残念である。Cでは、納豆カレーを食べる。Cの納豆カレーは未食だったのだが、納豆は小粒の丸大豆であった。そう言えばAAも丸大豆だった様な気がした・・・。

 支払いをする前に、スパイスビーチをチェックすると、Cもスタンプラリーの対象になっているではないか。ここぞとばかり、スタンプをお願いする。

 とりあえず、スタンプ2つGETである。

 次の週、Hを狙うべく、北区へ。Hは、店の横が駐車場になっている。3〜4台は止められるので、困る事は無い。

 Hで「トマトンルーカレー」を注文する。わしの前に、お客さんが1人居たが暫くして帰ってしまった。店内はわし1人である。出てきたトマトンルーカレーは、見た目は普通のルーカレーである。ナンだか、学食のルーカレーのような、懐かしさが漂う。一口食べると、割と旨いね。2口食べると、やはり、割と旨いね。トンコツベースに完熟トマトと聞いていたので、もっと濃厚酸味系の味を予想していたのであるが、どちらもいい加減に押さえられていて、なかなか良い感じである。しかし、この味を求めて再来店するだろうか?と聞かれたら???となってしまうに違いない。そう考えると、再来店の魅力としては、やはりトンコツバリバリのHのスープカレーの方が魅力的といわずに居られない。

 支払いのときに、スタンプを押してもらう。これでスタンプ3個GETである。もう2つスタンプ集めれば、カレー讃昧賞で、プルプルのレトルトが当たるかもしれないが、わしが出した景品を、わしがGETしてどうする、と言う事で、Tシャツのカレー賞に応募する。

 抽選は1ヶ月後である。

 いよいよ抽選である。と、ティーツーワイジャムのH氏から、携帯にメールがきた。当選です。

 やったー!!!!!

 TシャツGETである。カレー3杯で、Tシャツである。

 マー君に自慢すると、サイン入れてもらったらどうですかとのこと。

 早速H氏に、二人のサイン入りでお願いしますと、メール。

 待つこと、半月、H氏が、恥ずかしそうにサイン入りのTシャツを持ってきてくれました。

 ありがとう、スパイスビーチ。

 スパイスビーチ万歳!!!!

 下が、貰ったTシャツです。

 それじゃ、また。

2007・12・13