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EXPO ISHII 1999
『昇展 SHOW-TEN』

- レポート -

 

とにかく広い。
そのフロアーに整然と展示された作品がすべて一人のアーティストから
生み出されたものだというのはすごいことだと思いました。
そしてその広い会場の隅々にまで「どうぞゆっくり見ていって下さい」という
心遣いが感じられて、とても居心地のいい空間でした。

エンタランス付近に聳えるのは石井さんのブロンズ像。
「PARALLEL WORLD 石井竜也 空想美術館」でも展示されていたものです。
まずは、そこで記念写真をパチリ^^

中へ入るとGALLERIA HATI で使用されていたBGMがゆったりと流れています。
これを耳にしただけで懐かしさとともにゆったりした気分になっていきます。

まず目に飛び込んでくるのは、ART NUDE 1998 の女性像たち。
私が参加した大阪二日目は修正されて白い飛沫が消えて黒一色になっていました。
あの時テッペイちゃん一生懸命白を吹き付けていたっけなぁ、、などと思い出しつつ
全会場のオブジェを初めて見ました。各公演ごとにいろんな作品になっていて
とても面白かったです。

中央にはTRANSのセット。これは後にとっておくことにして、順番に端から回っていく。
河童の宇宙船を見て、錆びや朽ちかけた細部までがリアルに表現されていることに感動!
こんなに精巧にできていたのかとびっくりしました。
感動というのはいつどんな時にやってくるか分からないものでして、事実私は、宇宙船の
細かな錆びを見たときに石井さんの河童にかける思いが感じられ、ぐぐっ〜と来てしまいました。

要所要所で、イヤホンガイドからテッペイちゃんの声が流れ、作品について解説してくれます。
作者自身の解説なのでとても思い入れがこもっています。

一通り回ってから、真中に展示されているTRANSのセットのところへ。
確かエンジェルショータイムの時に使われたものだったか、胎児のオブジェと、歌ち台がありました。
歌ち台には見物客も乗ることができます。
上に乗ってみてしばしスターの気分を味わいました(笑)。

Workのコーナーを見終わると、今度は Art のコーナーへ。
その前に、ソファーやHATIで展示販売されていた、ランプや空へのオマージュ、
水の行方などのインテリア製品が並んだ一角がありました。
うーん、懐かしい。

Work はどちらかというと工業製品という感じですが、Art は絵画やブロンズなどの
オブジェが中心です。

オブジェの一角は、不思議な土偶のような人面オブジェなどが並んでいます。
これは解散直後に作ったもので、本人もこの頃の作品を見ると胸が痛むという。
確かに、Trouble some、 Booroなどのブロンズたちは悲痛な顔をしていました。
元々こういう不気味な作品を作る人だったので、初めて見たときも取り立てて
強い印象はなかったのですが、改めてじっくりとその表情を見てみると、
ほとんど顔が潰れかけていて、絶望的な思いみたいなものが感じられました。

その他、学生時代の自画像や、油絵、米米時代の製作物。
うさぎのような猫のようなキャラクターのシリーズ。
浪漫飛行のジャケットになった水彩画。
「未来遺跡展」や 「PARALLEL WORLD 石井竜也 空想美術館」で目にした
ことがある作品もありますが、"また会えましたねぇ" 、という気持ちで
一点一点ゆっくりと見て歩くのはとても贅沢な時間でした。
印刷物を見るのと違って、一筆一筆のタッチが見えるのがとっても嬉しい。
何か不思議と描いているときの気持ちとか息遣いなんかも感じられるような
気がしてきます。

ここで休憩のため、Tea Room へ。休むスペースがあるのはありがたい。
そこにはHATIで、ポストカードなどを展示していたオベリスクがありました。
大事に保管しこういう機会に展示してくれることが嬉しかったです。

さて、私は龍屋に行ったことがなかったため、初めてここのお菓子を口にする機会となりました。
きな粉アイスと胡麻のアイスを食べて、素材の味がしっかりとしていて
その美味しさにえらく感動したのを覚えています。
アイスの地方発送サービスなどもしていて、なかなかええ商売してるやん? と
受けつつ、よっぽど注文しようと思いましたが、受け取りが難しいため断念しました。

傍らにはWCVコーナーもあり、TRANSツアーで石井さんが撮りためた
プライベート写真で構成された「H-Life」を公開してました。

さて、休憩して元気も回復したので再び鑑賞。
海シリーズは恐らく映画「ACRI」を撮っていた頃の作品で、
前述の「PARALLEL WORLD 石井竜也 空想美術館」でも展示されていましたが、
胎児などを連想させ、どこか不気味な感じがする絵です。

解散当時に描いたという「顔のないシリーズ」は、冷たい色彩や
ひび割れた構図の絵などを見ながら、当時の石井さんの辛さが伝わってくるようでした。
人の顔が怖くて描けなかったという石井さん。
当時の作品はほとんど顔が描かれていません。
イヤホンガイドで石井さんは、
"この当時の自分は、自分がどこか消えていってしまうんじゃないか?
別に死のうと思っていたわけではないだけど、ふとした瞬間に、
ああ自分は死んでしまうかも知れない、、なんてことを考えてました。"
というようなことを語っていました。
その当時の私は石井さんがそこまで思いつめていたとは露知らない呑気なもんでした。

オブジェといい寂しい絵といい、"そこまであなたは苦しんでいたのぉ…"という
何ともいえない気持ちになりました。

でも、そういう辛かった時期の内面を含めてすべてを公開したというのは大きな意味が
あるように思いました。
ひとつ大きな苦しみを乗り越えたという自信もできたでしょうし、これだけの仕事を
してきたという達成感もあるでしょう。
自分の今までを一度整理して、また新たなステージに向かって歩いていく
石井さんの"これから"を予感させるものでした。

 

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