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ART NUDE 2000.12.15 Zepp Osaka


この日は石井さん、昨日と打って変わって完璧なるパフォーマンスを披露されました。
記録に残したいほどの素晴らしいアートヌードでした。


登場してきたときから何かが違う。
胸の前で両手を握ってワクワクって感じで飛び跳ねたりなんぞして、えらい弾けてます。
客に手拍子を要求したり、出だしからとっても楽しい感じ。

オブジェのマンとを取るとき、前日とは違って後ろから回ってそっと取りはずすされました。
それは予想通り、女性の体のオブジェでした。

前日同様、「もしも」「予感」「OCEAN ROAD」の3曲でスタート。
今日は昨日より声の調子が良いような。ちょっぴりハスキーな声。
でも高音域にさしかかると張りのある声に変わる。この微妙な声の変化がたまらなく好きだぁ。

そして、MC。
第一声は(多分…)「ようこそいらっしゃいました。私がウワサの石井竜也でございます。」
続けて「師走の忙しい中、いろいろと散財の多いときですね。男性はプレゼントをあげないといけないし、女性は待ってるだけかも知れないですが、……そんな中で1万円(チケット代)、ありがとうございます(笑)。」
そして、昨日の失敗をいち早く披露。
「昨日は大変もりあがりましたねー」
と、言えば、会場は拍手喝采。
「昨日はちょっと違ったメニューでお送りしました。」だって(爆)。

この日のMC。トークが冴え渡っていました。次々に繰り出されるネタの洪水。昨日と同じところも多いけど、また聞いても笑えてしまう。
昨夜一人で落ち込んで反省してたんかしら。それですべてを吹っ切ってことさらハイにやってる感じ?
内心くくーーっておかしかった。
受けたのは、「今日はみなさん正装(精巣)してますねぇ。乱装(卵巣)の方もいらっしゃいますけど(爆)。」
いきなりのジャブでした(笑)。

それから、アートヌードをやろうと思った理由についての説明。2つの理由があるんです。
なぬなぬ?と身を乗り出したところで、「2階席の方〜」と外してくれる(笑)。
「私ときどき2階にふりますから、そのときは少〜しだけ、前へのめってください(笑)。」

で、その理由とは、1つは、「プロセスを見せたかったから。」
NHKのアトリエ訪問などを見ていて、作品が出来上がる過程を見ると飽きない。これをステージに上げられないか? と思ったのがきっかけとか。
2つめは、米米の頃から見てくれているファンとソロになってからのファンがいる中で、絵を描いている石井と、歌を歌っている石井がファンの中で分離してしまっているような気がして、それをうまく一つのところへミックス出来ないか。と、思ったとのこと。最初反対されたけれど、「僕のファンなら分かってくれる」と確信してやったんだそうな。そうそう、分かってるよ〜ん。と、心の中で呟きました。恐らく、ファンはみんな……。

石 「たとえ寝ている人がいてもいいんです!(笑) 寝られるっていうのは、それだけ心地いいってことですから。その人はつまらないんじゃなくて、『疲れてんです!』(笑)。
でも『いびき』は止めてくださいね(爆)。『いびき』と『分娩』だけは……(笑)」

そして、ここから森総理ネタ。ひとしきり会場を笑わせておいて、
「今日のコンサートは、日本とは何ぞや。世界の先行きは?
そして『ITとは石井竜也の略なのか』ということをですねー。(ここからえらいキバリ口調に)
……私はねぇ、がんばってるわけですよぉぉ。
何しろうちはレコード界の隙間産業ですから(爆)。」

まだまだMCは続きます。文字に起こすと長いわぁ。(笑)

石井さん、「日本文化は古来からいろいろなものを吸収して出来てきたけど。日本人は混ぜ合わせるのが上手いんです。日本人はコツコツ型だといわれるけど、あれは、自分たちの器用さを抑えているんです。だから、僕たちは色んなことをやった方がいい。」
と、マジトークに差し掛かったところで、客席からお約束の「サングラス取ってぇぇ」の声がかかる。
石 「ああ、コレはねぇ。賞取ったから外せなくなったんです。
俺アガリ性だから、これ取っちゃうとダメなんです(笑)。だいたい、歌詞見ながらでも間違うんだから。
このサングラスにも見えませんけど、裏側に歌詞が書いてあるんです(爆爆)。
昨日来てた方はよくお分かりのハズ。昨日はボロボロの石井が見られたんですけども……(笑)」

そして、ようやく次の曲紹介。自分の好きな曲だけを集めたとのこと。
ファンの聞きたい曲と自分のやりたい曲で構成されたアートヌード。
インターネットで統計とったら、自分のやりたい曲とファンが聞きたい曲は同じだった。と仰せでございました。

そして、曲へ。1曲目「それぞれの理由」。
イントロのとき、前列の客席に向って、何があったのか「ベロベロバー」をされてました〜。
子供でもいたのかも知れない。
今日は肩の力が抜けていい感じ……。

お次は「2918か?」と思いきや、曲を変えてきてましたー(爆)。
この日はアルバム「ACRI」から「CROSS OVER THE RAINBOW」。

3曲目は、最新アルバムから「DAMAGE」
金ちゃんのソプラノサックスの音色が素敵。とてもメロウな感じがでていて良かった。
バラードだけど思わずリズムを取りたくなるようなビートを感じる曲です。
実際石井さんの左足のリズムのとり方も大きくなって、膝をコンガのように叩きながら歌っている。
歌い方も感情がこもっていてカッコいいったらありゃしない! やっぱりこの曲はポイントです。

次の「天使の標的」にかけて、このリズムにしばし陶酔……。
そうそう、私のツボは、「天使の標的」で ♪指さき〜の記憶〜♪ の歌詞のところの石井さん。
両手の人差し指を1本、男女に見立ててそれを歌いながらゆっくり近づけていき、
♪二人の影は近〜づく〜♪のところで、指と指を寄り添わせたかと思うと、
そのまま絡めてしまったんですー。ああ、もう……(壊れ中)

再びMC。。
次のMCでは、大阪では外せない。「HEP FIVE」の子クジラちゃんネタ。
この前石井さんが見てきたところでは、まだ粘土の状態だそう。
母親同様、動きのある形に仕上げたいとのこと。ということで、このクジラは女の子だったんですね。
石 「しかし、物を作るって大変なんですよ。僕は立体にこだわっていきたい。
こんなセットだって俺が作ってることを知らない人も多いけど、自分で粘土をこねて作ってるんです。
自分の作ったものの前で歌う……。これが大事なんですね。
そうでないと自信が持てないんです。何もないところで歌えっていわれると、ダメなんですよ。」

それから、話は暮れのイタリア旅行の話になり、バチカンのご開帳。ジャンヌダルクの聖人選定。
など、展開していき、BSデジタルの話へ……。

世の中、進歩していっても、進歩しないのは男と女の愛。
生物は細胞のころから少しでも強い種族になるために自分より強いものと結びつくことを選ぶようになった。
それが、性差につながったそうな。
だから、違うものに惹かれあうのは生物として当たり前のことなんだとか。
今回のアートヌード。テーマは「生命の賛歌」そしてその生命に花を添える意味でフラワーアレンジメントとのコラボレーションを思いついたとのこと。
なるほど、そういう意図だったのか。

この日は心に響いた言葉が多かった。とってもマジトーク!
というわけで、ここからMCの聞かせどころです。
人間諦めないことが大切。
自分もそうだけど、やっていくうちに物になる。
ギターでも最初は上手く弾けないけど、やっていく内に曲が弾けるようになったりする。
だから、趣味といっても一生懸命にやる方がいい。
そして、何が実を結ぶか分からないから、趣味はいっぱい持ってる方がいい。
◎□%▽?◇ という画家は、50歳になってから画家になったんですからね。
だから人間の可能性ってすごいんですよ。
みんなもあまり自分をもう何歳だからとか、才能ないからとか、決め付けない方がいいですよ。
ビルをいっぱい建てる人だっているし、子供を立派に育て上げる人だっている。
人の持っているパワーってすごいんですよ。(これはHPでも書かれてましたが)。

石井さんが米米の頃から心がけていることは、「少し無理なことをする」ことだそうです。
少し無理なことを、そして、それが出来た今度はそれよりまた少し難しいことをやる。
そうすることでものになっていくらしい。
さすがにおっしゃることに深みがでてきましたねぇ。
このお言葉はとても力づけられました。「がんばろー」って素直に思わせてくれるようなあったかい言葉でした。
MCの端々に"本家"や"お題"(公式サイト)での内容がチラチラ垣間見えます。

そして最後の曲は「オータム」。
テーマはセンチメンタリズムだそうです。
アーティストってセンチメンタリズムを嫌うんらしい。それを上手く曲にできないかと考えて作ったそうな。
秋の情景とほのかな恋心と人生とが織り込まれた、このアコースティックな名曲で、第1部は終了しました。


第2部──。
休憩が終って、石井さん登場。
「いよいよ来てしまいました。お絵描きの時間が。これはみなさんのイメージですからね」
みたいなことを話していると、
遅れて入ってきた客が前列の席に座ろうと……。
すかさず石井さんが、その人が座ろうとするのを気遣って、
「大丈夫ですか?」
そこまでは紳士的だったけど、次に、トーンを落として、「……トイレですか?(爆)」
<<あっはっは>>
昨年に引き続き〜! どうも大阪ではこのネタ外せないみたいです(笑)。

この日は前日と打って変わって、塗り方がとっても優しかった。
色合いもとっても優しくて、塗っていくときの繊細な感じに陶酔しそうでした。

まず、赤の絵の具を皿に入れ、水を混ぜて塗っていきます。
右胸からお腹へ流れるようなライン。
それは脚へと続き右脇、背中へ移っていく。
背中もまた右肩から斜めに流れるようにラインが続く。
ヒップのところを大きく迂回し、左脚へ。
そうやって一通り塗っていくと、今度は紫色の絵の具を出して、残された部分を塗っていく。
前日と打って変わってオブジェを回転させるのもとても静か。脚立の乗り降りもハラハラしない……。
<<しかし色は激しいなぁ。>>などと思いながら見てました。
ところがこれは下塗りで、この後どんどんやさしい色になっていくのです。

今度は、絵の具を混ぜ合わせて黄色を作り、赤の上へ塗っていく。
ところどころ、下塗りの赤を残しながらとても厚みのある感じになっていくんですよね。
大方塗り終わったところで、筆を大きく払って飛沫を吹き付ける。
飛沫がピシャッてかかる音がしてなんだかワクワクしてしまいました。
今度はグレーを作って紫の上へ重ねていきます。
さらにそれより白っぽいグレーを作って、最初のグレーの上からところどころ重ねていく。
オブジェは最初の色合いは隠れてしまい、とても優しい感じの色使いになっている。

今度は細筆を取り出し、黒で境目に丁寧に線を入れていく。
段々と仕上げの段階に差し掛かり、小さ目の筆で微調整を繰り返している。
腰のあたりを手でなぞってみたり、絵の具の中蓋でこすってみたり……、
今度は金色を取り出して所々に塗っていく。
淡い色合いなんだけど、すごく厚みがある感じ。
そして小筆を取り出し、左側のヒップ側面あたりにサインをされました。

石井さんの第一声「こんな感じですね。みなさんは。」(キャッ^^)
今回の色合い好きかも……こんな感じだなんて嬉しいゾ。
「僕は油絵から始めたんで、どうしても下塗りをしたいんですよね。アクリル絵の具という画期的な絵の具が出来てそれが可能になったんですけども……」
<<ふむふむ……アクリル絵の具っちゅーんや。(笑)>>

そこへかりやざき先生が登場!
石井さんがステージを先生に明け渡して袖へ入っていく。
またもやかりやざき先生、石井さんの落とした絵の具の皿を丁寧に拾われました。
今回の花材は金色の松葉のようにピンと立った……これも蔓なのかな。
それを四方八方に放射状に入れ込んでいく。
この激しい形状に私の前の3人組みが私語を開始。笑いあったり相手を叩いたり、
「アンタら、ちょっと黙っときぃ」と言えるものなら言いたかった(笑)。
後ろのカップルもお喋り開始。あっちでもこっちでも。
これが声が大きくなったら係員を呼ぼうと思っていたけど、なんとか我慢できるボリュームだったので思いとどまってました。

かりやざき先生は、巨大金色松葉を活け終わると、今度はその根元に柔らかい緑の・・・霞草のような感じの葉っぱを活けていく。そのあとに黄色い小さなぼんぼりのような花を活けられました。出来上がると圧倒されるような迫力のあるオブジェに。

そこへ石井さん登場。
「今日はまたすごいですね。私、袖で見てまして、超新星っていうんですか?
アレを思い浮かべてました。それで、星ですから……そのぉ……
『星の踊り子』っていうのはどうでしょう?」(爆)。

そして、最後にもう1曲。
石 「ここで、十分休まないとダメだということに気付きましたねー。これ、面積にしたら大変なもんですよ。
それを1時間こうやって描いてみなさい(笑)。結構きますよー(爆)。」
確かにかなりの筋力使うわなー。石井さんが胸とか腕とか落ちないのはそのせいなのかも知れない。
「さ、それでは座らせてもらって、私の年齢がどうしても座れ座れって要求するんです(爆)。」

そして、その曲は、「愛してる」でした。(「想い」ではなく……爆)
石井さんも会場も心地いい余韻に浸っているような、とてもほのぼのとした空気が漂う。

彼がステージを後にすると、アンコールの手拍子が。
妙に張り切って大きな音で手拍子してしまうんよね。私って。指輪が痛くて痛くて……(笑)。

ほどなく、現われた石井さん、
「やっぱり題名変えます。(爆)『月の聖母』にします。こっちの方がいいでしょ。」
なるほど、決まったネ。会場からは賛同の拍手が。
なんのこたぁない、次の歌のタイトルからひらめいたと思われるが(笑)。
「クリスマスも近づいてきましたから、外人さんの歌を……。タイトルは『外人』っていう歌です(笑)。」
その歌は、「ムーンリバー」でございました。

雰囲気たっぷりに歌い上げた石井さん、
「おやすみなさい」の一言を残し、2000年大阪最後の公演は静かに幕を下ろしました。


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