Column ・・・10月のヒマワリ

 

 今回の美瑛訪問で一番驚いたのが、キガラシとヒマワリの畑でした。これまで訪問した中でもキガラシが一面に咲いている畑はありましたが、10月にこれほど沢山見られるとは思いもよりませんでした。まして、ヒマワリ畑は夏の美瑛では全くといっていいほど見かけなかっただけに、衝撃的でさえありました。

 まず、なにゆえこの10月の寒い時期に---私が訪問したとき、朝の気温は氷点下になりました---夏の象徴のようなヒマワリが咲いているのでしょうか?

  キガラシが緑肥として畑に栽培されるということは、すでにこの当サイトのコラムでも紹介しましたが、ヒマワリも同じように、畑の肥料として栽培されます。地元の方に伺ったところ、ヒマワリやキガラシはカリウム分が豊富で、土壌に有用な細菌を繁殖させやすいという特徴があるため、収穫と植え付けの間などに栽培されるのだそうです。

 一斉に花が咲きそろうと、それは見事な眺めなのですが、たいていは花が一番きれいな時期にトラクターでガーっと踏みつぶされて畑に鋤き込まれてしまいます。もったいないように思ってしまいますが、花が終わるのを待ってからだと種を結んでしまうので、それが芽を出して、今度は作物の成長の妨げとなってしまいます。それを防ぐために花の盛りに畑に鋤き込んでしまうのだそうです。この緑肥用のヒマワリは50cm位の背丈しかなく、小さくて可愛らしいヒマワリでした。夏に各地で迷路になるほどの背丈にまで伸びるような大きなヒマワリではなく、切り花用サイズといった感じです。

 おそらく夏に麦を収穫した後の畑に、ヒマワリやキガラシの種をまくと、この10月ぐらいに花を咲かせるタイミングになるのではないでしょうか。農家の方にとっては、作物の育成にふさわしい時期に、なにも一銭にもならない緑肥を育てる必要はないわけで、夏真っ盛りの時期に美瑛でヒマワリを見かけない理由も、分かってみれば納得なのでした。夏の美瑛でもヒマワリは見かないわけではありませんが、どちらかといえば、北西の丘や新栄の丘の花畑のような観光スポットに、観光客用に植えてあるという感じで、今回遭遇したような丘を一面に覆い尽くすような広大なひまわり畑は初めてでした。

 今回は、宿泊したペンションのオーナーさんに、少し足を伸ばして西神楽という地域へひまわり畑を見に連れて行っていただきました。地元の方でなければ、なかなか入っていけないような林道や農道を通っての、とっておきのひまわり畑です。本当に見渡す限りのひまわり畑で、美瑛より畑の面積が広く感じました。夏の北海道では北竜町のひまわりの里などが有名ですが、花は小さくとも、丘一面に広がるヒマワリ畑を見渡したときの迫力は10月の西神楽が勝るのではないかと思えました。

 季節外れのヒマワリとキガラシの丘、みなさんはどのようにご覧になりますか?やっぱり夏のまぶしい太陽の下で咲くヒマワリのほうがお好きでしょうか?もしも、10月の美瑛を訪れる機会がありましたら、この不思議な秋色のコントラストを楽しんではいかがでしょうか?

 高い丘の上から眺めると、大地の色、秋まき小麦の緑色、そしてわずかですが、黄色い畑のパッチワークの丘が拡がっています。一番濃い黄色がヒマワリ、黄緑がかった黄色がキガラシ、そしてもう一つ、黄色と黄緑がまばらな感じのアスパラ畑があります。そして、白樺が黄葉して、カラ松も先の方がほんのり黄色く色づいています。そして青空と、雪化粧をした大雪の山並み!本当に素晴らしい眺めです。機会があればぜひ、あらゆるものが黄色く色づく10月の美瑛を体験してみてください(^^)

 

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