1989年4-5月号 No.23 「POP IND'S」New British Late 60's Pop Scene
「80年代後半はタテノリのビート・バンド・ブームだった。今、主流のバンドはそういう元気なバンドばかりだが。傍流と言っては言葉は悪いが、ルーズな60年代後半のブリティッシュビートを感じさせるバンドも出てきていることは確かだ。そのビートを感じさせるコレクターズ、シャムロック、篠原太郎、フレデリックの4組に話を聞いてみた」

  

〜CASE 2・The Shamrock〜

コレクターズに比べ、ビートよりもメロディにこだわっているシャムロック。コーラス・ワークのこだわり方はこの4組の中でピカいち。

「いや、でも僕らはコーラスが入って当然って感じだから」(高橋一路)

「コーラスはメロディと同じくらい価値があると思っているから、作る時から入れる場所決めたり、逆にコーラスのためにメロディ変えちゃうくらいだからね(笑)。でもそこまでやって作曲だと思っているから」(山森正之)


コーラスにこだわるというのは、モータウンを初めとする黒人音楽とビートルズが彼らのフェイヴァリットだからであろう。

「モータウンってコーラスの音量が小さいから、それをメロディと対等にもってくると、ビートルズとシャムロックになる。並べるのはおこがましいかな(笑)」(山森)

今回の特集の4組の基本になっているのは、ビートルズ、キンクス、ザ・フーであるというのは、この特集のタイトルでもおわかりだと思う。

「ビートルズは自分の家みたいなものですね。2泊3泊よそに泊まったとしてもそこに戻ってくるというか。あるいは空気。意識してないけど気がつくとあるという。キンクスもスモール・フェイセズももちろん好きだけど、ビートルズは別格。ビートルズってヴォーカルが他のバンドとは違う。ザ・フー等は演奏でいってる感じだけど、ビートルズは歌でもってる」(山森)

「ヴォーカルと対等なコーラスって初めてなんじゃない。その辺の影響はモロに受けてますね」(高橋)

また彼らは同時代的にジャムを聴いている。

「高ーくらいで初めて聴いて、ずっとシャムロックと一緒に育った感じですね。ジャム、ザ・フー、キンクス、ビートルズという正統派の流れですよね。出てきた頃はパンクと言われたりしたけどね(笑)」(山森)

「波長が一緒だったよね。だからスタイルカウンシルになった時はちょっととまどったからね。好きなんだけど、これならホンモノの黒人音楽聴いた方がいいなと思ったからね。僕にとってポール・ウェラーってビートルズと好きな位置が違う感じがするんだよね。ビートルズは教科書で、ジャムはあんちょこ」(高橋)

ビートルズといえば「タックスマン」の独特なベース・フレーズ。あのフレーズが日本で似合うといったら、この4組の名前があげられるだろう。

「ビートルズが始めて、ジャムが再確認して、ボクらがひきずってる(笑)、黄金のフレーズだよね、チャック・ベリーと同じく。ポール・マッカートニーのベース・アレンジって、ストリングスアレンジと同じくらい重要というか目立っている」(山森)

「最近のビート・バンドってパンクから出てるからあのフレーズではなくてルート弾きばかりだね」(高橋)

あと見逃せないポイントは?

「3コードのR&Rが一番最初に影響受けたものだから、一番のルーツですね。僕らの8ビートのノリ方はパンクのそれではなく、R&Rのソレであるっていうのが一番基本だね」(山森)

最後にシャムロックのポップ感を。

「ルーツをわかっていて音楽をやっていたいね。基礎を固めておいて、あとは枝をどう拡げるかってことですね。流行ではなくて、「永遠」というのがポップ、一生胸がときめく音楽というかね」(山森)

「他の人たちの呼ぷポップと違うかもしれないけど、僕らが思っているのはキャッチーだけどスルメのように味が出てくる」(高橋)

「トラッドってことかな。永遠にガンコという理由でね」(山森)

 ←同誌のディスクレビュー

「コレクターズ、シャムロック、篠原太郎、フレデリック、って愉快だね。全員デビュー前から知ってた仲間(東京MODSシーン出身)だし、今でも友達だもんね。特に太郎君とは家が近かったから、新譜ができたら聞かせあったりしたなぁ。それにしてもインタビューって恥ずかしいよね、特にこの頃のは。」By 山森

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