宇宙世紀0079年1月、スペースコロニー「サイド3」はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に
対し独立戦争を仕掛けてきた。ジオン軍は開戦と同時にスペースコロニーを地球に降下させる
「ブリティッシュ作戦」を決行。その目標は連邦軍の本拠地、南米ジャブローであった。
しかし、コロニーは大気圏突入後、アラビア上空で崩壊。もっとも大きなコロニー先端部がオー
ストラリア、シドニーを直撃。町を巨大な湾へと変貌させた。

 スペースコロニー国家であるジオン公国は長期戦に耐えるだけの資源を持たなかった。
ブリティッシュ作戦の失敗により戦いの長期化を予想したジオン軍はただちに資源確保の為
地球効果作戦を決行。電撃的に地上の3分の2を占領した。ブリティッシュ作戦最大の被災地
であるオーストラリアも豊富な地下資源確保のために、ジオン軍の侵攻を受けた。

 これに対し、コロニー落下の衝撃で壊滅的打撃を受けていたオーストラリアの連邦軍部隊は
なすすべもなかった。ジオン軍は主要な鉱山や採掘施設を占領し、連邦軍は戦略的価値の
ない地域を確保しているに過ぎなかった。ジオン軍は主要な鉱山を占領してからは、資源
確保の障害になるような戦闘は努めて避けるようにしていた。資源地帯を確保した以上、彼等
には連邦軍と戦闘を交えるメリットはなかったのである。連邦軍は連邦軍で、各地に分断され、
資源入手も容易でない状況下では、ジオン軍に対して積極的な攻勢をかけることは出来なかった。
こうしてオーストラリア大陸ではジオン軍と連邦軍との奇妙な安定状態が続く。

 開戦から11ヶ月。連邦軍はヨーロッパでの大攻作戦「オデッサ作戦」を発動し、これに勝利した。
地上でのミリタリーバランスは大きく連邦軍へと傾き始め、世界各地で次々と反攻作戦が開始
されていった。 そしてブリティッシュ作戦により壊滅的打撃を受けていたオーストラリアでも
ジオン軍に対する反攻作戦が開始されようとしていた。

 確かに連邦軍の兵力は「オデッサ作戦」以降増強されていた。しかし、短期間に出来ることには
限りがある。その為、連邦軍の兵力はジオン軍に対して、圧倒的多数と言い難い面があった。
不十分な戦力という条件下でジオン軍を駆逐し、オーストラリア大陸を奪還するためには、連邦
軍は機動力を生かした電撃戦を行う必要があったのである。同時多発的な連邦軍の侵攻により、
ジオン軍の指揮系統は混乱に陥る。その機を逃さず、相互支援できない敵軍を各個に撃破し、
大陸を奪還するのがその作戦趣旨であった。

 具体的に攻勢にでるのは3つの主力部隊である。

 第一の主力部隊「レッドボッサム」は大陸中央部に進出し、作戦の第一段階ではオーストラリア
大陸の交通の要衝、アリス・スプリングスを押さえることになっていた。ここは大陸内の主要な
鉄道網が終結する場所であり、ジオン軍の補給の大動脈でもある。ここを占領すれば、大陸
各地のジオン軍の補給と交通は大打撃を受けると同時に連邦軍は大陸のどの戦線にも自由に
補給を行うことができる。アリス・スプリングスの攻略こそ、連邦軍の反攻作戦の成否を握る鍵
なのであった。

 第二の主力部隊「グリーン・イキドナ」は大陸北部のダーウィンへ向かう部隊。

 第三の主力部隊「イエロー・クオッカ」は大陸南部の拠点アデレード奪還を目指していた。

 これら3つの主力部隊が作戦の第一段階を達成した時、オーストラリア大陸のジオン軍は
東西に分断できる。2つに分断されたジオン軍を包囲殲滅することは、オーストラリア大陸の
連邦軍兵力でも不可能ではない。そしてジオン軍の司令官が愚かでない限り、軍が分断された
段階で彼等は降伏するはずだった。

 オーストラリア大陸 地球連邦軍トリントン基地。
コロニー落としで壊滅したシドニーの北西に位置する内陸基地であったが、現在ではシドニー
湾の海沿いに位置していた・・・
 辺境の基地であるトリントンでも、反攻作戦の準備を整えていた。
だが、連邦ではジオンよりMS開発が遅れたために、そのパイロットの確保に後手に廻っていた。
ジオンにはエースと呼ばれたパイロットはシャア、ガトー、黒の三連星、ランバ=ラルを始めとして
数多くいるが、連邦には「白いMS」を抱えた第13独立艦隊以外には、MSのエースとなる人材は
数えるほどしかいなかった。

宇宙世紀0079、10月末。地球連邦はGMの大量生産に成功するも、そのパイロット育成が
急務となっていた・・・・。

第1シナリオ 「適正試験」

「次っ、アレクサンダー少尉。シミュレータへ!」

トリントン基地では、現時点での職種を問わず、基地職員全員にMSの適正試験を実施していた。
それこそ警備員から食堂のコックまで引っ張り出していた。
慣れないシミュレータに吐き気を催す者もいた。
機器の操作を覚えきれず、起動すらできない者もいた。

「次っ、ベック軍曹。シミュレータへ!」

1週間に渡るシミュレータの結果、18名のパイロット候補を選びだし、適正試験は第2段階へと進む。
時に宇宙世紀0079、11月初旬。オーストラリア大陸は夏を迎えようとしていた。

 トリントン基地、第2ミーティングルーム。連邦司令スタンリー大佐は集められた18名のパイロット
候補を前に、静かだが深みのある声で話しはじめた。

「諸君らに集まってもらったのは、他でもない。先日実施したMS適正試験で結果が良好だった事は
すでに通知済みだとおもう。そこで諸君らには次の段階の試験を受けてもらうことにする。このシミュ
レーションで、パイロット候補となるかを決める。我々は早急に反攻作戦を開始せねばならない。
本来ならば時間をかけて、パイロットの選別及び育成を行うべきなのだが、戦況がそれを許さない。
諸君には厳しい試練となるかもしれないが、朗報を期待している。」

 大型スクリーンの前で帽子をかぶり直す大佐・・・。

「本来ならば、3機で1小隊を組むのが規則である。が、現時点での君達のパイロットの技量を考慮
し、4人で1小隊を組むこととする。実戦、いや今作戦中に限っては、同じ4人で小隊を組むので、
チームとしての行動を常に考えて動いてもらいたい。現時点では敵の技量の方が我々を上回って
いるのは明白だ。しかし、それを補うだけのジムの機体性能があり、そしてチームワークがあれば、
いかなる状況も打破できるであろう。」

 大型スクリーンにオーストラリア大陸でも正式に採用されたジムとジムキャノンの詳細な性能図が
映し出された。この2日間でジオンのザク、グフのスペックを嫌というほど、叩き込まされた。身長
18m、重量60トン。このMSという概念の中では、従来の91式戦車やトリアーエズでは全くの
非力であった。

#まずはキャラ作成。
 後にも述べるが、ルールが分からない戦闘ゲームでキャラを作れという話ほど危険なものはない。
バランスは崩れるのが当たり前である。そこで、始めのミッションはルール把握のみに目的を限定
してしまう。
そこでキャラ作成も極力簡単にしてしまう。
悩む要素は、能力値と1レベルまでの技能。各技能も1レベルまでを数個という形で選択の幅を狭くする。機体データシートを用いて、時間短縮。結果として時間がかかったのは、キャラの名前作成という落とし穴だった(苦笑)

キャラ紹介

ジャック=アルゴビッチ(50)
退役軍人で元大尉。AKAI小隊の小隊長。
「我々AKAI小隊がジオン軍から、このオーストラリア大陸を開放するのだ」

ローダー=ビアホフ (22)軍曹
セイバーフィッシュのパイロットだったが、撃墜されてMSパイロットに転向。熱血の人である^^
「漢は黙って、バズーカなんだよっ」

ベリル=クラウド (18)少尉
後に「恐怖の代名詞」と呼ばれる。ビームライフルを主武器としているが、普段は間延びした、
保父さんのような口調で話す。
「これがジムですねぇ〜。やっぱり装甲といい、ジェネレータといい(以下延々)」

サード=プレミアム (20)曹長
通称、お嬢ちゃん←今回リプレイを作成するにあたって、GMが勝手に命名〜。口数が少ないが、
その実力は折り紙つき。最終シナリオで・・・・。
「・・・ヨロシク・・・」

「ちっ、隊長!グフ1、ザク1、その後方にマゼラン2!」

「分かっている、左に展開するっ、援護を!」

「・・・グフ、単機で突出してきます・・・」

火線がグフに集中するものの、距離が離れすぎており、致命的ダメージを与えるまではいかない。
ましてやグフには頑強なシールドが装備されていた。

「てこずりそうですねぇ。」

「いいさ、こっからが勝負なんだよっ!」

「(ぼそっ)どうでもいいけど、早くして・・・」

# 登場した敵 グフ 1、ザク 1、マゼラン 2。

開始1ターン、グフは単機で突出する。
グフとザクでは機動力が異なるために、配慮しないと各個撃破されてしまう。
今回はGM側が悪いお手本をみせるのが、目的でもある。
開始から4ターン後、順調にシミュレーションを終了する。

#ここではレベルアップのみの実施(1レベル→2レベル)
機体乗り換えまで一度に行ってしまうと、徐々に強くなっているという実感が沸かない。
これは今迄のマスター経験からの反映。
実際に軽く動かしてもらって、自分のキャラの方向性とかを見つけてもらう為のミッションなので、
ここでは軽く30分位で終了させる。
ルールの疑問点やキャラの動かし方について話しながら、昼食を摂る。
それから、キャラのレベルアップ。
ある意味、ここで真のPCが誕生したとも言える。

 

第2シナリオ「AKAI小隊」

 連邦の当面の攻略目標として、北のダーウィン、中央のアリス・スプリングス、南のアデレードの
3都市があった。この3都市がジオンの勢力内にあり、大陸の東西に戦力が分断された形となって
いた。連邦はこの3都市にイエロー・クォッカ、レッド・ポッサム、グリーン・エキドナの3部隊を派遣。
中でもアリス・スプリングスは大陸中央部に位置し、オーストラリア大陸鉄道網の基点である為に、
連邦の最重要攻略目標となっていた。
 中央アリス・スプリングスを陥落させた後、レッド・ポッサムの部隊を2分してダーウィン、アデレード
の攻略を支援する目算であった。この為、アリス・スプリングスの早期攻略が、今後の戦局に大きな
影響を与えるのは必死であり、連邦司令スタンリー大佐もレッド・ポッサムに戦力の大半を注ぎ
込んでいた。

トリントン基地、第2滑走路脇に臨時に設営されたテントの中に隊長以下4名が呼びだれていた。
テントの中には、やはり臨時の暗号解読装置(通称:冷蔵庫)と14インチのモニターのみが設置
されていた。数分間の調整が続くと、画面にはスタンリー大佐が映し出された。

「緊急指令である。諸君らにはアリス・スプリングス攻略の経路にある敵対地、対空施設の排除に
向かって欲しい。これらの施設はこの1週間で新たに設営されたものであり、明らかにレッド・
ポッサム侵攻に対応した動きと見られる。施設は現在3ヶ所での設営作業が確認されており、
諸君らにはもっとも我が陣営に近い施設に向かってもらう。初戦ということもあり、多くは期待
しない。無事に生還する事を第1に動いてもらいたい。諸君らの無事な帰還報告を期待する。」

 ここには冷蔵庫とモニターしか設置されていない。つまり、彼らには質問も発言の是非も許され
ない状況である。ここで映し出されたスタンリー大佐もリアルタイムではなく、録画であったのかも
しれない・・・・。
 反攻作戦が開始されてしまった今となっては、要となる司令部の激務はさらに激しくなっている
のであろう。大佐の顔色も声も1週間前のそれとは違ったものとなっていた。否応もなく、緊迫して
いく空気を破ったのは、1人の女性の声であった。

「初めまして、ホバートラック担当オペレータの小町(こまち)です。この度、隊長以下のMS小隊に
配属になりました。宜しくお願いいたします。」

登場する敵
第一小隊 グフ 1、ザクU 2
第二小隊 グフ 1、ザクU 2
長距離砲、各種対地砲台
or
第一小隊 グフ 2
第二小隊 ザクU 3
長距離砲、各種対地砲台

#今回はミッション前にどちらの敵を相手にするか選択してもらいました。
機動力が同クラスの機体で小隊を組まないと1機が突出する危険性をシミュレーション(第1シナ
リオ)で表現したつもりでした。つまり後者の編成の方が、MSをチームとして扱うのに慣れている
設定です。
 ザクが対地砲台の前から動かず、援護射撃を得ると共に、グフは側面や可能ならば背面に回り
込もうとします。PCは数の多い相手に対して、側面と正面から攻撃を受け、各個撃破もままならなく
なる予定でした。
 前者の編成では、折角のグフの機動力が生かしきれず、各個撃破されやすい行動をとるように
しています。PCは正面からの一方向防御のみに集中できるような闘い方が可能です。結果として
プレイヤーが選んだのは、前者との戦闘でした。

「こちら、レッドウィング。各MSへ伝達。本機は目標地点上空まで5分の領域に入った。各MSは
降下準備。ラスト1分でカウントダウンを開始する。」

暁の空の中、低空飛行を開始するミディア。
音もなく、3機のMSが放出されると、3つのパラシュートが華をひらいた。

「こちら、レッドウィング。AKAI小隊の健闘を祈る。GOOD LUCK!」

「こちら、小町。パッシブセンサー、敵MSの稼動音を確認。距離、2500。砲台の左方向に1小隊
が配置。グフ1機、ザクUが2機。砲台の右側にも1小隊。こちらも編成は同じで、グフ1機、ザクU
が2機です。事前の情報通りです。どうされます?」

「よし、MSを排除、後に砲台を狙う。全機、10分で片をつけるぞっ!」

「いよいよ、実戦ですねぇ。対地砲台に気をつけろと言われましたが、どうします、隊長?」

「そんなものは分かっている、クィック&クィック。相手が気づくよりも早く倒してしまえばどうという
事はないっ!」

「そうだな、『当たらなければ、どうということはない』という名言もあるし」

「・・・・誰、そんなこと言ったの?」

開始から数分後

「隊長、この方たちは連携がうまくいってませんねぇ」

「ん?・・・おっと、よそ見運転は危ないぜ」

突出したビアホフのジムに火線が集中し、何発が命中したようである。

「さすがにジムだな、装甲の厚さが違うぜっ」

「いえ、なんとなくですけどね。我々の奇襲が成功したと思いたいのですが・・・」

そう言いながらも、ベリルはライフルで適確にザクのシールドを吹き飛ばしていく。
すでに左翼の小隊は半壊、右翼も隊長機と思われるグフが残骸と化しており、ようやく砲台から
の援護射撃が始まっていた。

「・・・違和感を感じる?」

「ようやく回線を開いてくれたな、お嬢ちゃん。」

「ジオンといえども、全部が全部、歴戦のツワモノではないってことか。だが、まだ相手の方が
数の上でも有利だ。全機、気を引き締めて・・・なにっ?!」

その時、隊長の回線が途絶えた・・・・。

#戦況は隊長機に長距離砲が命中した時点で一変します。
GMのダイス目が極悪(3D6×2=32)だった為に、ほぼ1撃で撃墜。
これを“根性=判定の振り直し”を選択し、精神力が1D6だけ減少します。
で、GMが振り直した攻撃がクリティカル(命中率+D100で100以上)
クリティカル効果は「気絶チェック」。隊長はこれに失敗し、気絶します。またもやダメージ(3D6×
2=30)を適用で機体が撃墜されます。気絶状態では脱出チェックもできず、PCは死亡して
しまうので、最後の精神力をかけてもう一度“根性”を選択します。

結果は・・・・精神力がぴったり0に・・・・。
これがダイスの女神のきまぐれか・・・(苦笑)
敵味方識別不能の錯乱状態となった隊長機は、その後2機の敵MSを瞬殺!
この間に長距離砲を破壊に成功し、無事?にミッションは終了します。

 

第3シナリオ「暁のアデレード」

「あの〜〜〜」

「ぅう・・・・・・」

「こうした方が楽なのですか?」

204号室には、膝枕をしながら、隊長の髪をなでる看護婦の姿があった。
隊長の精神的ダメージは大きく、療養をかねて、AKAI小隊は古巣のトリントン基地に配属されて
いた。ふと顔を挙げた隊長の視界に、彼女の胸のネームプレートが入った(エイミーちゃんか・・・。)

「激戦・・・だったのですよね。」

「それは、もう」

答えたのは隊長ではなく、部屋に入ってきたベリル少尉であった。

「あれは、今思い出しても、ぞっとします。隊長に長距離砲の照準が向いていまして。気づいた時
には、既に爆炎に包まれてしまって・・・。いえ、爆炎の中から現れた隊長の機体は奇跡的に無傷
だったんですけどね。根性っていうのでしょうねぇ、紙一重でさけたみたいで」

ここでベリルは一息つく。

「ただ・・・トラウマですかねぇ?突然、無線からは呻き声が聞こえてきたかと思うと、ザク2機を瞬殺
ですからねぇ。ですが、正直なところ、私は隊長が恐かったですよ。まるで手負いの獣のような気を
発していましたから。近寄る者すべてを破壊し尽くすような・・・・」

「その辺にしときな。」

ビアホフとサードが病室をのぞきこむように入ってきた。彼らの訓練も終ったのであろう。

「あまり人の古傷を思い返すような事は言わない方がいい・・・ま、それは別としてだ。隊長さん、
もう大丈夫なんだろう?エイミーちゃんがかわいいからって、甘えすぎはよくないなぁ」

「そうですね。私もそれを注意しにきたのでした。もう起きていらっしゃるのでしょう、隊長?」

「・・・・隊長ってエロ爺なのね。」

 AKAI小隊が砲台を占拠した6時間後、レッドポッサム部隊は無事に通過をする。
初戦を無事にこなしたAKAI小隊は高く評価されていた。
適正試験で選出した他の小隊は戦死者こそ出さなかったものの、MSの損害は痛いものがあった。
その後、アリス・スプリングスの攻略にかかるも、強行偵察を行ったホワイトディンゴ小隊の手により、
あっけなくアリス・スプリングスは連邦の勢力下におかれた。だが、その裏にはジオン軍がアリス・
スプリングスの放棄・撤退を始めていた経緯があった。結果として、ジオン軍の戦力の大部分は
各地に散り、ゲリラ戦力として温存されていた。
 スタンリー大佐はこれを受けて、当初の予定通り、レッドポッサムを2分し、南のアデレード、北の
ダーウィンの攻略を本格化させていた。

「聞いたかよ、おい。あの噂を・・・」

「あぁ、徳○埋蔵金が、この基地のどっかに眠っているって噂だろ?」

「いや、俺は伝説のブルーオーブが安置されているって・・・」

「なんでも、どエライものがこの基地には隠されていて、それを護る為にAKAI小隊が戻ってきた
そうじゃないか」

「ん〜、この前の呑み会では、旧世紀の遺物、核兵器が眠っている話は少佐殿が自慢気に話して
いたけどねぇ」

「でもなぁ〜。隊長があれだぜ、あれ・・・・」

「あぁ、なんでもエイミーの尻に手をだしたって話だろう?」

「俺達のあこがれの看護婦様に手を出すたぁ、良い度胸だよなぁ」

整備員の間では詳細は知らされずに作戦が先行しており、日に日に噂は過激になっていきます。

「おらっ!ぼさっとしてんじゃねぇ。てめぇら、シドニー湾の魚のエサにしてほしいかっ!!とっとと
作業に取りかからねぇと、俺が海にたたっきこんでやるぞ!」

通称、白鬼の榊。「ツナギ」と呼ばれる白の作業服に身を包み、黒のサングラス。齢50を超え、
既に生きる伝説と化した連邦屈指の整備班班長である。最新型MS、陸戦型ジムと共に、
トリントン基地に配属されていた。そして、この新型MSの正式配備とともに、AKAI小隊には
「イエロー・クォッカ」の援護、つまりアデレード攻略支援の命が下されていた。

#機体のりかえ
キャラクターのレベルアップと共に、このゲームの醍醐味です。
今回の陸戦型ジムには特殊装備の欄が1つだけ用意されており、各PCの個性にあった武装を
選択できるようにしてあります。MSの動かし方に慣れたところなので、各プレイヤーの考えは
多種多様となり、いよいよキャラクターとして熟成してくる段階です。

「こちら、オペレータ小町です。今回の作戦は敵作戦司令部の攻略です。2時間程前から無線
使用の多い区画の攻略を開始しています。敵MSの配置はグフ3機の1小隊、ザク3機の1小隊を
確認。ただし、司令部が攻撃された事による援軍は予想されますので、各機注意は怠らないで
ください。」

「いいか。敵の作戦司令部の攻略を最優先とする。この陸戦型ならば、ザクやグフなぞ話に
ならないだけの機動力をもっている。各機、敵MSにかまわず、一気に攻め込むぞ」

「私は新配備された大型ビームライフルで援護しますよ。でも、これ、冷却期間が必要なんですよ
ねぇ」

#敵陣営
第1小隊 グフ 3機
第2小隊 ザクU 3機
援軍 アッガイ、ドム

既に瓦礫となったビルを飛び越え、隊長の陸戦型ジムが更に加速をつける。バーニア機動を
搭載した陸戦型の機動力は、この地上ではジムとは比較にならなかった。さすがに飛行する事は
かなわなかったが、短時間のジャンプ機動を可能にしている機体は、地上にいるザクを障害と
せず、一気に敵作戦司令部へと肉薄した。

「隊長、いつになく張り切ってますねぇ」

「おおかた、男としての意地があるのだろう?なぁ、お嬢ちゃん」

「エロ爺の汚名挽回?」

「ま、そういう事にしておいてやれや^^」

「こちら、小町。後方より高速で接近するMS有り。形式は・・・不明!新型機です」

「ベリルは後続のMSを牽制。ビアホフ、サードは護衛のグフとザクの牽制を。こっちは一気に
司令部を落とす。時間稼ぎだけしてくれればいいからな。」

#パイロットの技能で”移動”スキルが存在します。これを順調に成長させていた場合、移動距離に
+2マスまでの修正がつきます。ザクが2マス、陸戦型で3マスなので、隊長機は一度に5マスの
移動が可能ということです。もう少しで「通常の3倍のスピードで接近する」が可能になりますね。
 隊長の計画通り、仮設対地砲台すらも無視をして、司令部を攻撃。見事に司令部の破壊に成功
します。援軍に来たドムは、サード&ビアホフによって瞬殺。アッガイは司令部が破壊されたのを
みて、海へと逃走します。こうしてアデレードは連邦の勢力下におかれることになります。

 

第4シナリオ 「恐怖の代名詞」

オーストラリア北西部、とあるレーダー基地。

「海上よりアンノウン3。うち2はドダイを使用」

「っ!・・・・無人偵察機、破壊されました!高出力のビーム兵器っ!」

「映像、出せるか?」

「・・・・でます・・・・やはり、鹵獲したアプサラス1号機です。現在の進路はオーストラリア北部
・・・・スカイリー諸島の上空を通過中です」

「スタンリー大佐に緊急通信。至急MSの応援を。ヤツ1機に東南アジア方面軍がやられたのだ。
気を抜くんじゃないぞ。」

#最終シナリオ。
本当は「暁のアデレード」で終る予定でしたが、時間が余ったので、急遽作成。「暁の〜」を早々に
切り上げて、シナリオネタを探します。ラストはデカブツだろう(GMの偏見?)とガンダム世界で
検索をかけると・・・・・そういやアプサラスがあったか。時期的にはアプサラス3号機がコジマ大隊と
戦闘中。ちなみにGMはノリス大佐、激ラブです(意味不明)。
 それはおいといて、アプサラス1号機が爆破、乗り捨てられていたので、これの回収を連邦が
行って、補修作業をしていることに。3号機が暴れて、連邦の東南アジア戦線が壊滅している隙を
狙って、ジオンが逆に回収途中のアプサラスの奪還に成功。その後、奪還に成功した彼らは南下
してオーストラリア大陸のジオン勢力と合流を図っていることにします。

#敵MS
アプサラス1号機、グフ

 今回は浮遊しているので、地面からの攻撃では距離に修正をつけます。
移動の1歩を使えば(バーニア噴射を表現)、格闘攻撃が可能になるとします。
こういったルールは事前に考えておくより、その場の発想で思いつき、何事もなかった様に提案
する事が多いのは、きっと気のせいです^^

 連邦は南下するアプサラスに対して、十分な迎撃態勢を整える事ができなかった。ジオン軍は
南部アデレードが陥落した1週間後、大陸に放送を実施。「月の階段」と呼ばれた作戦名に
連邦軍は次のように予想した。北部に残ったジオン最後のHLV発射基地への集結と月(グラナダ)
への戦力退却だと。
 即座にHLV発射阻止に向けて全軍を集結させた連邦。エースパイロットを擁するホワイトディンゴ
小隊がHLV発射阻止に向かっている以上、アプサラスを止めれるだけの戦力は既にAKAI小隊しか
残されていなかった。

「やはり大きいですねぇ」

「確かにこれはやりづらいな・・・」

「これ1機でコジマ大隊がやられたって話だろう?ま、俺達しか止められねぇって訳だ^^」

「・・・・どこから来るのよ、その自信・・・・」

「今回は私に秘策があるんですよ^^ま、見ていてくださいね」

コックピット内部のアラームが鳴り響いた。

「アプサラスまで距離2000。相手の攻撃範囲に入ります。各機、散開してください」

「・・・これでどう?」

サードの狙いすました一撃は、装甲の剥げ落ちたジェネレータ部分にダメージを与えていた。
完成されたアプサラスではなく、既に放棄された機体の修復途中であった。装甲のいたるところに
キズがはいっており、またジェネレータ出力も不安定であった。

アプサラスのコックピットにアラームが鳴り響く。

「コンディションレッド、コンディションレッド・・・・」

だが、それを認識し、対処するはずのパイロットは既に気を失っていた。

#命中率+D100の合計が100を超えると、クリティカルヒットになります。この場合D36をして、
2次被害効果を決定します。ここではパイロットの気絶が適用され・・・・アプサラスは次ターンまで
パイロットの回避修正もなく、行動順も奪われてしまいます。
 ファーストアタックで気絶すると、次のPCの攻撃を気絶状態で受けるので、GMはちょっち計画が
狂ってしまいます^^

「・・・?。動きが止まった?」

ベリルは一瞬、自分の目を疑った。サードの初撃がアプサラスに命中した直後、アプサラスが
空中で静止したのである。噂では大型の拡散粒子砲を積んでいると聞いたことがあり、その発射
体勢か?と回避行動をとろうした・・・。だが・・・。

「これは私の出番ですね」

そう呟くとベリルは大型ビームライフルのエネルギーパックの開放スイッチに手を伸ばした。

「すごいな・・・」

 隊長は、そう呟くしかなかった。
 ベリルの大型ビームライフルからは、マシンガンのごとく攻撃が続いていた。確か出撃前の仕様
書をみた限りでは、60秒間だけ射撃可能で、次の60秒は強制的に冷却する機構になっていた
ハズである。だが、その60秒間にベリルは既に6回の攻撃を繰り出していた。そして、今も止まる
気配はない・・・。

「まるで光の雨だな」

だが、アプサラスも傷つきながらも、未だに浮遊を続けている。

「すごいな・・・・」

隊長は、その装甲の厚さ、耐久力にも、呟くしかなかった。

#ベリルは最後のレベルアップでビームライフル8レベルを取得。このスキル効果に「速射AP
(行動ポイント)1」があります。通常の単射がAP3。1ターンに使えるAPは3〜5+1D6=4〜11。
速射で命中率が9%低下しますが、気絶している相手なら十分な命中値が得られます。こうして、
GMも予測できなかった1ターンに10発の大型ビームライフルが斉射されることになります。
気絶さえしてなければ・・・・なぁ。

「おいおい、まだやるってぇのかよ」

既に動けるような様子ではない。だが・・・・動きは止めてはいなかった。

「お互いに・・・か」

ビアホフは不機嫌そうに呟くと照準を定めた。

「空が・・・・奇麗だな」

#これで最後です。アプサラスは撃沈。ラストミッションは終了です。

 後にベリル少尉は「恐怖の代名詞=Pronouns of the terror」と呼ばれるようになる。その口調、
身のこなしからは想像もつかなかったが。HLV発射阻止、アプサラス強襲と時を同じくして、ジオン
にも動きがあった。それは各地に散らばったゲリラ戦力の集結。しかし、それは北部HLV発射
基地ではなく、アリス・スプリングス周辺への集結であった。
 連邦はこの動きに対し、何の反応もできなかった。戦力の大部分を北部に向けており、頼みの
MS小隊も既に任務についていた。こうして、ジオン軍は抵抗らしい抵抗を受ける事もなく集結を
完了する。ここからガウ数機を用いて、西へと逃亡。そのまま海を越えて、彼らはアフリカ大陸へと
辿り着く。「月の階段」とは、集結に用いられた地点を指し示すものであった。はるかな開拓時代
、湖に映る月をたたえた地方の事を指していたのである。ただ一機だけ発射に成功したHLVも
そのまま軌道を変更し、再度大気圏に突入。追跡がロストした地点がアフリカ大陸であったのは、
偶然ではなかろう。こうして、オーストラリア方面のジオン軍は戦力のほとんどをアフリカ大陸へと
移す事に成功する。そして、ここから彼らの8年に渡る反抗活動が開始するのである…。

#長くなってしまいましたが、これにて終了です。
ラストはもう少し手を入れたかったのですが…。機会があれば、キチンと書き直します。
短めの説明。
ドリームキャストで外伝がでています。これがオーストラリア大陸の一年戦争を扱っており、文中に
出てくるホワイトディンゴ小隊です。この他にもうひとつエース小隊がある設定でしたので、こちらを
PCに担当してもらう事にしました。最後のアプサラスとかは完全にオリジナルですけどね。
この回は実際に文中にでてくるような会話はありません。全部GMの創作です。
基本的に戦闘シミュレーションゲームですので、RPGは寂しいものがあります。4人のプレイヤーを
コンベンションでは無理がでています。そうなので、行動だけから、いろいろと今回のリポートを
行うにあたって、脚色しています。実際の行動と食い違う点もでてきていますが、ご容赦ください。
プレイヤーの皆様。特にサードさんは完全につくっちゃってますね。イメージキャラを、あるキャラに
してみたら…。
では、次は別の回まで。
今回のラストは機会があれば、GMの感想詳細と共に書き直したいですね。

ネタばらし リプレイ時に参考にしたキャラクタ
隊長さん ある意味、シロー(MS08小隊)
ビアホフ どこにでもいる、熱血の人^^
ベリル 八戒(最遊記)
サード ルリ(ナデシコ)