〜はじめに〜

#以降はGMとしての感想となっていますので、
読み飛ばしていただいても結構です。

 宇宙世紀0079年1月、スペースコロニー「サイド3」はジオン公国を名乗り、地球連邦
政府に対し独立戦争を仕掛けてきた。ジオン軍は開戦と同時にスペースコロニーを地球に
降下させる「ブリティッシュ作戦」を決行。その目標は連邦軍の本拠地、南米ジャブローで
あった。しかし、コロニーは大気圏突入後、アラビア上空で崩壊。もっとも大きなコロニー
先端部がオーストラリア、シドニーを直撃。町を巨大な湾へと変貌させた。

 スペースコロニー国家であるジオン公国は長期戦に耐えるだけの資源を持たなかった。
ブリティッシュ作戦の失敗により戦いの長期化を予想したジオン軍はただちに資源確保の為
地球効果作戦を決行。電撃的に地上の3分の2を占領した。

 開戦から11ヶ月。連邦軍はヨーロッパでの大攻作戦「オデッサ作戦」を発動し、これに
勝利した。地上でのミリタリーバランスは大きく連邦軍へと傾き始め、世界各地で次々と
反攻作戦が開始されていった。

 だが、連邦ではジオンよりMS開発が遅れたために、そのパイロットの確保に後手に
廻っていた。ジオンにはエースと呼ばれたパイロットはシャア、ガトー、黒の三連星、
ランバ=ラルを始めとして数多くいるが、連邦には「白いMS」を抱えた第13独立艦隊
以外には、MSのエースとなる人材は数えるほどしかいなかった。
宇宙世紀0079、10月末。地球連邦はGMの大量生産に成功するも、そのパイロット
育成が急務となっていた・・・・。

もし車で東部をめざすなら、
ハイウェイを使うのが一番さ。
私だったらそうするよ。
そうルート88なら、御機嫌な旅になるはずさ。

ロスアンゼルスからニューヨークまで
2000マイル以上曲がりくねった
道が続くけれども。
それでもルート88なら、ご機嫌な旅になるはずさ。
         〜ルート88より〜

第1シナリオ 「定員は5名まで。」

「なんだと?!パイロット希望者が殺到しているだと?」

北米大陸、エリア77基地の人事担当官は思わず席を立ちあがっていた。連邦はジムの
量産化に成功したものの、パイロットの育成が急務となっていた。この為、基地近辺に
パイロット募集の広告をうったのだが、戦争中である。多くは望めないのが、実状であった。

「はい、書類審査をとおしただけですが、既に7名。いずれも一次試験は優秀な成績で
通過しております。」

「そうか、広告(=GM紹介)の出来が格別に良かったとも思えないが・・・」

「実績ではないでしょうか?どなたにも好かれる連邦をめざした我々の努力が実ったの
ではないかと。」

「そう信じたいものだな。」

「ですが、MSの手配が・・・・。現時点では5台の運用が限界かと。」

「仕方が無い。今回は涙を呑んで、お断りをいたそう。」

#はいな、ありがとうございます。
今回は卓希望者がGMが思ったよりも多くて、お断りをする場面がありました。“継続は
力なり”とはいいますが、これもプレイヤーの皆様の協力、楽しいプレイがあっての評価だと
思います。最適人数が4人なのは分かっていたのですが、5人位ならと開始しました。
時間オーバーになったのはミスとして厳格に受け止めますが、楽しんで頂けたというお言葉が
何よりの励みになりました。
さて、キャラ紹介といきませう。

#キャラ作成
 思ったより時間がかかりました。
 やはり5人というのが、1つの原因だったと思います。
 説明の事前練習を怠ったのも、悪かったです。
 もう5回目だからって、手を抜いた部分が後から反省してみると色々と出ています。
 次回から練習を再開・・・ですね。

○ユウ・キリュウ
 今回の隊長さん。ビームサーベルを主武器とするが、その扱いは多種にわたる。
○メイシア
○シン・タカムラ
○ヴァネッサ  兄にくっついて試験を受けたら自分だけ合格してしまって・・・。
○リタ  マシンガンシスター。実弾兵器をこよなく愛する聖女?


#ミッション開始から5ターン目
 特にこれといったイベントもなく。無事に終了。
 ダイス目は上にも下にも暴れなかったので、GMはちょっち驚いてましたけど^^
 意外とバルカンを使うシーンが多くありました。
 APが1点であるので、最後に余ったAPを使い切る場合に便利なのです。


第2シナリオ 「はじめてのおつかい」

 既に北米大陸では、連邦とジオンの戦争は終っていたのかもしれない。キャリフォルニア
ベースからジオンが撤退した時点で、連邦の勢力は自然と勢いづいていた。これもひとえに、
量産化に成功したジムの活躍あってこそである。
 開戦当初の地上主力兵器の61式戦車。これはMSという概念の前では、兵器と呼べる
ものではなかった。後に、物量という面をおしだして、連邦も反撃を開始するが、やはり個々の
ポテンシャルを埋めるまではいかなかった。
 MSの量産化に成功した今、地上でのヨーロッパのオデッサ作戦、北米大陸のカリフォルニア
ベース奪還が現実的な話となったのである。

 オーガスタより西に30キロ程離れた、エリア08基地。
 ここは国道88号と国道324号が交差し、またダイクロリバーの船付き場がある交通の要所
である。そのエリア08基地は、クリスマスの準備が始まっている所であった。
 宇宙世紀0079、12月18日。
 既に北米大陸では、戦争という闇から抜け出そうとしてた。


「クリスマスカレンダーはこっち、こっち」

「郵便がとどいたぞ〜」

「ボギィ!新型が明日にでも搬送されるそうだ、準備を怠るなよっ!」

「えぇ、準備はできていますとも、チェックリスト、後で確認をお願いいたしますっ」

 第3MSデッキでは既にクリスマスの飾り付けが始まらんとしている処であった。
先日のキャリフォルニアベース陥落以来、出撃らしい出撃がなかったのが、彼らの心をより
一層軽いものにしていた。そんな中に、MSキャリアが1台運び込まれてきた。

「トーラス?あれ、納入は明日ではなかったのか?」

キャリアの運転手なのだろう、トーラスと呼ばれた男は周りの喧騒に負けない程の大声で
答えた。

「あぁ、こいつは別物だってよ。なんでもジオンの新型MSらしい。例の学者サンたちに
みせるんだってよ!」

 ジオンの新型と聞いて、MSデッキの整備員たちの眼が光った。
 連邦もようやくMSジムの量産に成功したとはいえ、MS開発といった面ではジオンに大きく
差をつけられていた。整備員たちの技術者魂というのであろうか、好奇心がうずくのである。
ジオンはこの状況下で次々と新型MSの実戦投入を行っていたのである。
トーラスはその眼に気づいたのであろう、あわてて弁明をした。

「トラップなんだってよ。トラップ!さすがにジオンといえども、トラップは仕掛けた
らしい。下手にハッチを開こうとすると、“どっか〜ん”だ。あんまり、弄くらないで
くれよ・・・・・・頼むから」

 それを聞いた整備員たちは、悔しそうな眼をしながら、作業に戻っていった。

 ミーティングルームには、新設されたアルマゲドン小隊のメンバーと基地司令である
ハリス大佐が集まっていた。

ハリス「諸君らに集まってもらったのは、他でもない。この先のキャンバレル坑道で、
ジオンの新型MSが無傷で捕獲されたという話は聞いているだろう。上層部ではこの
機体の解析をオーガスタ研究所に依頼するつもりだ。そこで、我々に、この新型MSを
オーガスタまで護衛する任務がくだった。明朝8:00に基地を出発。各機、ジムでの
初戦になる。十分な準備をおこなっておくように。」

シン「こんな“新品、未組み立て”が無傷で入るなんてな。本当にトラップなのかも」

 シン・タカムラ。多少口は悪いが、その実力は折り紙つき。実は日記をつけるのが、
趣味である・・・・。

メイシア「あぁ、トロイの木馬ね」

リタ「そういえば、木馬・・・でしたっけ。白いMSが配属されているのは。」

シスターでありながらも、パイロットに依願したリタが答える。彼女が使う武器はマシンガン・・・・。
どっかで見たような光景である(苦笑)

ユウ「一度だけ、見た事がある・・・。ジオンのザクとは比べ物にならない性能だったがな」

ヴァネッサ「ジムもその量産型なのでしょう?」

ヴァネッサ。兄がパイロット試験を受けにきたので、ついてきてしまったのだが・・・・兄は
適性がないと判断され、ヴァネッサだけが合格してしまった・・・のである。

メイシア「あれはパイロットも別格よ、きっと。ほら、噂にあったでしょう、ニュータイプって
やつ」

ヴァネッサ「ニュータイプ?」

シン「聞いた事ないか?戦闘の時に化け物みたいになるらしい。人間の革新とか言って
いる奴もいるみたいだが。この戦時下じゃ、単なるエースパイロットさ。」

ユウ「で、どういう事なんですか?我々にこれを見せて?」

隊長に決まったユウが、基地司令に問い掛けた。あまり無駄な話をしていると、司令の
機嫌を損ねる事をここ数日の訓練で悟っていた。まぁ体力トレーニングが追加になるだけで
あったが。

ハリス「諸君らには、アッガイの護衛を行ってもらいたい」

シン「護衛、ですか?いまさら?」

ユウは無遠慮な口を聞いたシンの方を少しだけ睨みながらも、司令にかわって答えていた。

ユウ「おそらくジオンの残党が狙っているのであろう。新型MSの機密漏洩阻止と戦力
増強の意味をかねてな。そして我々は・・・」

メイシア「それを餌に、ジオンの残党を叩く・・・・」

途中から答えたメイシアの方を向きながら、基地司令は口を開いた。

ハリス「うむ・・・・。新型を移送するという話は、既に外部に漏れていると見てよかろう。
諸君たちも既に敵MSを捕獲したという話は聞いておっただろう?大体の事情は今、
諸君らが答えてくれた通りだ。おそらくエリア77基地周辺にはジオンの残党も大した
戦力は残っていまい。もう一度繰り返す。明朝8:00に当基地を出発。なお、この移動に
関しては特に秘密裏に行動する必要はない。また装備については、諸君らの申請は
おおよそ受理する。十分な武装をもって、臨んでくれ給え。何か質問は?」

ユウ「ただ、それにしても新型MSは無事にオーガスタに届けねばならないと。それで
あれば、ダミー部隊の配置を進言いたします。この配置により、敵戦力の分散、そして
各個撃破が可能になります。」

ハリス「う〜む、基地の守りが手薄になるが・・・。もう1小隊の錬度がな、問題なのだよ。
ま、よかろう。第3小隊にはダミーを受け持ってもらう。それでいいかな?」

ユウ「はっ!アルマゲドン小隊は明朝8:00に当基地を出発。ジオン新型MSを
オーガスタ研究所まで護衛する任務につきます!」

ハリス「よし、解散!」

メイシア「隊長、この辺りはまだ森林が残っているようですね」

開戦当時のコロニー落しは、アメリカ大陸にも大きな傷痕を残していた。
ニューヤークが壊滅しただけでなく、小さな破片でも大きなクレーターを残し、山火事と
なったが十分な消火も行えぬまま燃えつきてしまった森も少なくない。今、目の前にしている
ような針葉樹林は半減したとも言われている。

シン「あぁ。だが、こういった場所はMSを隠すのにも、待ち伏せをするにも、もってこいの
場所だな。各機、全周囲の警戒を怠るな!おそらく、ジオンはここで仕掛けてくるぞ。」

ヴァネッサ「?! 西側斜面に機影を確認・・・・・ドップと確認」

ユウ「各機、キャリアを中心に円陣を組むぞ。」

メイシア「メイシア機、キャリア前方の確保の為、先行します!」

#今回の仕掛け、その壱
今回のシナリオは各ミッションで凝った戦闘を行うのが、ひとつのウリでした。
このミッションでは森に隠蔽をしたジオンのMSを知覚力チェックで焙り出しながら進む
シナリオでした。判定方法は、「知覚力の修正値+2D6」が1マス先の目標値が1、2マス
先の目標値が1+2=3、3マス先が3+3、4マス先が更に+4、5マス先が更に+5という
方法でした。
さらに陽動部隊として、ドップが西側斜面から攻撃をしかけ、MSをキャリアから引き離す
予定だったのですが、どうなることやら^^

リタ「いました!ザクが1。戦闘に入ります!」

シン「こちらもドップと戦闘を開始!」

メイシア「こっちはグフを発見!数は1、火線の援護を!」

ヘッドフォンからは次々と戦闘に突入したとの報告が入っていた。
そんな中、ヴァネッサは背後に何かを感じた。

ヴァネッサ「振りむきざまにバズーカッ!」

#今回の名台詞、その壱。「振りむきざまにバズーカッ!」
いやぁ、知覚チェックで15とか振られてしまいましてねぇ。
で、マスを数えると、ちょうど背面にザクが^^
APがぜんぜん無かった彼女ですが、「旋回(AP1)+バズーカ(AP3)」でピッタリ。
勝ち誇ったように宣言するプレイヤー。
GM、意味も無く、ちょっと悔しかったりします。
今回は、行動宣言の時に、みんな嬉しそうに宣言するのが、印象的でした。
「移動して・・・・バルカン!」とか^^

#今回の名台詞、その弐。「移動して、バルカン」
正式には「移動して、背後に廻りこんで、バルカン(移動2レベルにより、AP消費無)」
このシステム、通常は移動に必要なAPが4点。
この為、“普通”のプレイヤーは接敵をした場合、移動せずに攻撃の行動を選択します。
が、ここに移動3レベルを所有しているプレイヤーが^^
移動3レベルの効果は「移動に必要なAP−1、移動に伴いバルカンAP−1、歩数+1」
これの全てを使用して、3マス移動を行い、相手の背面をとり、バルカン。
命中率は、現時点で最高の+24+10=+34(背面効果)
2次被害狙いのれっきとした“戦術”でした。
まさか、バルカンを主武器とするプレイヤーが現れるとは、GMも想像していませんでした^^


第3シナリオ 「空から落ちし者」

いつもいつも同じこと言わせるんじゃぁねぇ!もたもたしてるやつぁ、海に叩っきこむぞ。」

「オーライ、オーライ、オーライ」

 MSデッキには基地中のパイロット、整備兵が集まっているようであった。

「満員御礼だなぁ。よぉーし、シート外して、電源ぶち込めぇ。すぐに初期設定はじめるぞ」

 キャリアが立ち上げられ、MSがデッキアップされる。
 シートが外され、その姿を現した。
 白を基調としたガンダムを彷彿させるフォルム。5台の中の1台は確かに2本のアンテナが
装備されていた。

ユウ「陸戦型・・・・ガンダム?」

リタ「なんだかゴテゴテしていますね」

メイシア「オプション装備は大型ビームライフルに180mmキャノン。新開発の連射型ビーム
ガンに、のスRX−78のデータを反映させたという新型のビームサーベル。十分にすごい
んじゃないかしら、シター?」

ヴァネッサ「本当にそこまで必要なんですかね?」

シン「あって邪魔にはならん!」

俺の名前はシン・タカムラ。
宇宙世紀0079、12月23日。
先の戦闘の分析結果から、ジオンの残党拠点が判明していた。
国道88号沿いに設営された対地砲台である。
一旦は廃棄された施設ではあったが、その廃棄された経歴を隠れみのに拠点として運営
されていたらしい。ここにアルマゲドン小隊を派遣する事が決定された。
今回、アルマゲドン小隊には新型の陸戦型ジムが配備されていた。
この事陸戦型ジムの実戦データを収集するのが主な目的だというのが、真実とも虚構とも
いえない処が実気であった。まぁ、命令が下ったのは事実だ。戦力比は圧倒的にこちらが
有利。さくっと終らせて、持ちよくクリスマスを迎える・・・・そんなハズであった。

#今回の仕掛け、その弐
ジオンは対地砲台に占拠している設定でした。
でも、単なる動かない的だと、MS相手では何の役にも立ちません。
そこで。
塹壕に設営されているという設定を用いて、命中はするけれども、シールド代わりに
塹壕を使う事にします。60点の耐久力をもっており、シールドチェックは「残り耐久力の
10の位」以下を1D6で要求する。塹壕が削られれば、削られるほど、使いにくくなる
設定でした。
プレイヤー側に大型ビームライフル、180mmキャノンなど、遠距離でも命中する
大ダメージ兵器に対抗しての案だったのですが、結果として、プレイ時間の大幅な
延長を招く事になります。
ギミックは1ミッションにひとつ。
これがコンベンションでの限界なのかもしれません。


確かに、今回の任務は楽な仕事であった。
ジオンのMSの数は多かったが、こちらも最新型の陸戦型ジムである。
さらに180mmキャノン、大型ビームライフルなどもある。
だが、どこからか歯車が壊れていた。
多分、あの時だ。
空からアッガイが降ってきた時だ。

もともと可笑しいとは思っていたんだ。
ジオンの機体なのに、発振ビーコンは連邦仕様。
それもオーガスタ研究所所属だ。
まぁ、カラーリングは確かに連邦仕様だったがな、胸の部分が赤で、後は白をベースに。
もちろん、俺の趣味ではない。

奴は、砲台相手に苦戦しやがって・・・。
しかも、その後、俺に向かって攻撃してきやがった。
後で分かったんだがよ、ウィルスって奴に起動OSが感染していたらしい。
そうそう、アッガイのパイロットは泣きそうだったぜ。
なんせ、ヴァネッサなんかは無線で「大丈夫ですか」とか言いながら、事情を聞く前に、
しっかりとバルカンでアッガイの脚部を破壊していたからな。
言ってる事とやってる事が違うだろ、それは(苦笑)

#今回の仕掛け、その参
オーガスタ研究所に送り届けたアッガイが連邦仕様となって、PC達の援護にきます。
ですが・・・既にウィルスに感染しているアッガイは、ジオンの砲台を破壊しつくした後に、
パイロットの制御も効かずに、PC達に襲い掛かる・・・・予定でした。ですが、対地砲台
(回避値40)相手に空振りを3回・・・・(D100の出目が12、03、08)オープンダイス
なので、意地になって暴走するターンを遅らせてしまいました。これも、今回のタイム
オーバーの一因でしたね。GMは個人的勝利を狙ってはいけません^^
結果、暴走したアッガイは、無線連絡で操縦が効かない事をPC達に伝えたのですが、
バルカンの一斉射の前に、右脚を破壊されて、移動不能になります。


どうやら、連邦が捕獲したジオンのMSは、同じようにウィルスに感染されているらしい。
キャリフォルニアベースが陥落してから数週間。
この数週間に捕獲したMSが一斉に稼動を始め、あるポイントを目指して集結しつつある。

5大湖周辺、旧世紀の遺物である原子力発電所。
これをオーバーロードさせれば、北米大陸の10分の1が今後100年間まさしく死の大地となる。
そして、そのポイントに一番近いMS小隊であったのが、我々アルマゲドン小隊だった。
アルマゲドンが、アルマゲドンを止める為に闘う。
なんとも皮肉な話じゃないか。
・・・・・でも、俺は思ったんだ。
俺達は厄介ごとを解決しようとしただけなんだ
なのに終わってみれば、いつも厄介ごとが増えていやがる。


第4シナリオ 「暴走」

 その地は騒音と瓦礫と活気に満ちていた。
 一年戦争初期のジオン公国によるコロニー落としにより、被災した町。
 だが、今では新しい連邦の基地として生まれ変わろうとしていた。
 もともとルート88に沿って発展した町であり、地の利は良い。
 鉄道とハイウェイが交差する町である。
 だが、コロニーの破片は、そういった人間の事情は汲んではくれなかったようだ。
 これだから、無差別ってのは困る・・・。
 コントロールされない力がどれだけ危険なのか、あいつらは分かっていない。
 ま、これから高い授業料を払って、勉強してもらうしかないだろう。
             〜ルーエンスの独白より〜


宇宙世紀0079、12月24日。

「MSキャリアを回せ〜!整備は移動と同時にやるんだよっ!」

戦場であった敵砲台跡に数台のMSキャリアが運び込まれていた。
ザクが頓挫し、脚のもがれたアッガイからは駆動油が吹き出したままである。
いまだに爆煙が立ち込める中、整備班長が全員を集め、簡易ミーティングを開いていた。

「いいか、給弾作業からかかれ。整備は応急処置でいい。まずは動かせるようにするんだ」

整備員たちの間に緊張の糸が走る。
煤と油にまみれた作業服の中には、ジオンのものも混じっていた。

「これは時間との勝負だ。諸君らも分かっているだろうが、ジオンも連邦も関係ない。この
ミッションに敗をすれば、我々だけでなく、この北米大陸の1割が死の大地と化すだろう。
何の関係の無い人たち巻き込んでな。これ以上の犠牲は出すべきではない。現地に
着くまでの2時間が我々の勝負だと思え。その後は、アルマゲドン小隊に託す!
パイロットに整備の優先順位をつけさせるんだっ」

「班長、これがパイロットからのチェックリストです」

「お〜し、とりかかるぞ。まずは・・・・・・・」

連邦、ジオンの整備員全員の視線が集まる中、班長の声が森林の中を木霊する・・・。

「・・・・バルカンの装填だぁ?」 

・・・後に彼等は知る事になる。
連邦が誇る最新型MS、陸戦型ジムの真の性能を。
試験的に導入された大型ビームライフル。
連射性能のみを追求されたビームガン。
ガンダムの実戦データを元に再構築されたビームサーベル。
そして、ベテランのパイロットこそが愛用するとされた伝説の兵器、
バルカンの真の恐ろしさを(^^)


#今回の仕掛け そのよん。
 雑魚がたくさん、がコンセプト。およそ30機。
 ウィルスに侵されたMSなので、あるルーチン下におかれています。
@最後に撃墜された機体の地点に近づくように移動する
A4マス以内にMSがいれば、攻撃をする
 プレイヤーはGMの予想通り、囮作戦を敢行する。
 ユウとシンが狙撃役、リタとヴァネッサとメイシアが囮。
 ルーチンに気がつけば、囮作戦にも弾みがつくのだが・・・。


メイシア「こうも数がおおいとな・・・」

リタ「マシンガンの弾丸切れ?」

ヴァネッサ「180mmキャノンをここに置きますから・・・」

リタ「ちょっと待って。えぇと・・・」

ユウ「ザクが2機接近中・・・」

お肌のふれあい回線で会話をする。こうなると無線でも傍受の危険性があった。

シン「まずいですね。ここからだと炉まで距離がありすぎる。ここで見つかる訳には・・・・」

ユウ「MSのジェネレータを一時停止。やり過ごすぞ。」

リタ「ウィルスの行動パターンが読めました。最後に撃墜されたポイント、ここに向かって
集結しています。ですから・・・・」

メイシア「隊長たちから一番遠い場所で戦闘をしろって事・・・・。右翼から潰すわよ」

ヴァネッサ「ザクの小隊が更に接近!・・・・おにいちゃん、私を見ていてねっ」

スコープの中に、炉の冷却装置を捉える。原子炉を暴走する前に冷却装置を破壊して
しまえば、炉の最終安全装置が働くはずであった。
炉の前に陣取ったゲルググには動きは見られない。

「?」

ウィンドウにノイズが走る・・・。

「Now Loading・・・・」

「MSのOSにアクセスしている?!ちっ!!」

「隊長、時間がないっ」

「これで終わりにしてやるよっ」

一条のビームが冷却装置へと吸い込まれていった。

時に宇宙世紀0079、12月24日。
今回の首謀者、ドクター=ルーエンスは愛機ゲルググと共に大西洋へと消える。
アルマゲドン小隊の機体は作戦終了後、OSのハッキングを受け、行動を停止。
既に弾薬、推進剤が尽きていた機体は2時間後の回収部隊到着を待つことになる。

ヴァネッサ「雪・・・・降ってきましたね、シスター」

メイシア「ホワイトクリスマスですか」

リタ「天使の翼・・・・プラチナ・スノー。昔、こんな歌があったの。


世界中に 舞い降りる

白い天使の羽根が
雪になって 舞い降りる
プラチナ・スノウの魔法

いつもよりも まばゆい朝の光で
目覚めた窓の向こうは 銀世界

夢の続き見てるみたい 幸せな
まどろみの中でそっと祈ったの

届けて お願い わたしの想いを
遠くでがんばる あの人を支えて

世界中に 舞い降りる
白い天使の羽根が
雪になって 舞い降りる
プラチナ・スノウの魔法

世界中の恋人を
祝う天使の愛は
雪のように 溶けないの
プラチナ・スノウの魔法

永遠の愛の魔法 


      〜プラチナ・スノウより〜



#おおいなるネタばらし。「こうして第9回はシナリオが練られた」

前回のネタがアレである・・・・・知っていらっしゃる方もいるとは思いますが、
中国期待の新鋭機、その名も「先行者」
これは確かにウケました^^GMが思っていた以上に好評でした。
ですが、これが思わぬプレッシャーになります。「先行者」を越えるネタとなると・・・・
タイムリーなネタは7月時点ではありませんでした。とりあえず、今までにオーストラリア、
アフリカ、中国とプレイしたので、次はアメリカ大陸かなぁと。4つ目のAって考え方で、
シナリオを作り始めます。
舞台がきまると、0079での時期設定。
カリフォルニアベースが陥落するまでは、セガサターンの外伝ネタがありました。
ブルーディスティニーですね。これをそのまま、シナリオ化するのも考えましたが、やはり
オリジナルで外伝みたくしたいというGMの欲望があり、即座に却下。というわけで、陥落後の
お話にしようと。時期が時期なので、そろそろウルトラクイズだなぁ(古い世代にはわかって
いただけるかと)と思いつつ、ルート88を舞台にニューヨーク被を目指すシナリオを設定。
と、ここまでが9月頭に決めて、最後はニューヨーク(コロニー落としの災で壊滅状態ですが)を
舞台に、ジオンの撤退戦が始まるってシナリオで一度は完成します。

・・・が、ここで9月14日。あの世界貿易センターのニュースが入ります。
「マジかよ、これ・・・」
これがら正直な感想でした。というか、2機も突っ込んだのが、信じられませんでした。
1機なら事故で見れるかも(不謹慎な)しれませんが、2機は計画しないとありえないでしょうから。
「・・・・ん、ニューヨーク?」
ここからも、悩みの日々が続きます。ネタとしてはタイムリーです。ガウが特攻をかけてくる
シナリオ^^誰がす思いつきそうです。ラスボスとしても耐久力はあるし、MSだって搭載できる。
撤退する友軍を援護るために、単独で重要施設に特攻をかけるガウとMSのパイロットたち。
「・・・・まずい、このネタは危険すぎる^^」
そのままだと優、ちょっとGMとしては安直ですし、何より色々と問題を抱えていそうです。
ちなみに私は柔不断派です。
で、次に思いついたのは、テロから連想ネタです。
パトレイバーの映画版。
知っている方は知っている「ホバ エイイチ」作の無人レイバーのウィルスが侵食していく・・・。
これなら、「戦闘AIの癖を読み取る」と「陽動部隊、潜行部隊」の2種類が戦闘シナリオネタと
して使えるし、「初めの1機が暴走する」シーンも演じられる。時間が余ったときには、プレイ
ヤーの機体暴走も厳しめにチェックすれば、「暴走した仲間の機体をとめる隊長機」ってのも
できるかも^^な〜〜〜〜んて考えてました。
で、急遽作り直して、バランスを組み替えたのが、今回のシナリオです。
第2シナリオから、単なる戦闘ミッションではないってのが、今回のウリでした。しかもオチなしで。
シリアスのみで作らないと第8回の「先行者」には勝てないと思ったので。
ただ、反省にもあげましたが、こうした細々とした小細工が、時間延長への拍車をかけたのは
事実です。プレイヤーが5人の時点で、シナリオの軽量化を図るべきでしたね。


#おおいなるネタばらし?番外編
「こうしてバランスはつくられる」
実はテストプレイを行っています。大体2〜4回くらいです。今回は2回。上記のようにシナリオに
修正が入ってからという意味では1回だけですけど。一度プレイするとどこを直せばよいかは
大体分かりますし、あとは当日のダイス目次第で大きく変わってしまいます。
過去、GMをした回数は実は200を余裕で超えます。まあ舞台は0079だけでなく、Z、ZZ、
逆襲の時代のころですけど。そうなので、ある意味、体でバランスを覚えています^^シナリオ
記録で200なので、プレイヤー込みでは・・・考えたくないですね。慣れたメンバーで1ミッションが
30分から1時間になります。
で、戦闘的なバランスはテストプレイとほぼ同じです。慣れた面子でテストするので、若干の
修正をいれますが、雑魚機を1機削るくらいです。チェックするのは、GMの回避値に重点を
置いています。感覚的バに3回に1回くらいが当たる感じで設定しています。ダメージについては、
機体データで従来からのランスがとられていますので・・・。
時間のほうは、1シナリオにつき、テストプレイ+30分でみています。これはコンベンションでの
経験回数が増えたことからも精度自体は上がってきています。だいたい30分(1小隊)+レベル
アップ20分という計算です。2小隊だせば、1時間20分ということですね。ラストシナリオになるに
つれ、プレイヤーの錬度が上がってきますので、5分くらいずつ引いていくのが実際の傾向ですが、
計画通りにいかないことがありますので、シナリオ製作時にはそのまま計算値を使用します。


#はい、ここからはGMの反省です。
かなり見苦しいところがありますので、読んで気分を悪くなさらないでください。

かなりの時間延長になってしまいました。
STCPのスタッフの皆様、プレイヤーの皆様、本当に申し訳ない。
ここに深く反省いたします。

まずは原因。
プレイヤー人数が5人であったことを反映しなかった。
当初の計画では、3人ならばRPGパートの充実、4〜5人であれば戦闘オンリーで進める
つもりでした。ですが、実際にプレイしてみるとシナリオ数を3〜4から、3へ減らさないと駄目
でした。テストプレイは長い間4人で行っており、また前回までのSTCPも4名であったことが
挙げられます。GMがうまく立ち回っても、やはり時間がかかってしまうことをシナリオ作成時に
考慮するべきでした。

個々のシナリオの反省点。
第1シナリオ、第2シナリオ。シナリオとしての反省点は特になし。
ただ各キャラのスキルについては、もっと助言したほうが良かったかも。特に格闘系のPCに
「移動」スキルが必要である事を強調するべきでした。これが後々に効いてますねぇ。
第3シナリオ。アッガイが活躍するハズのシナリオでした。ですが、GMの出目がボロボロで、
固定砲台相手に、攻撃を命中させることすらできません(涙)このあたりで3ターンも使って
しまったのが、後に効いてきます。さくっと終わらせるシナリオ(転のシナリオ)は、さくっと終わらせ
ないとね。

第4シナリオ。既に閉会式が終わってからの開始。この時点で、GMは早期解決の為のアイ
ディアを練るべきであった。ラストシナリオは実は移動力、機動力が必要なシナリオである。
その為の陸戦型ジムであり、陸戦型ガンダムである。だが早期解決を図る為、あるプレイヤーに
活躍させることになるが、追加ホバーユニットなり、カーゴバード(パワードールズ参照)なりを
登場させるべきであった。まぁ、反省会で思いついたのだが。
もちろん、「こんなこともあろうかと・・・・」の名言つきで登場させねばなるまい^^
アイディアを練れば、すぐに思いついたのだが、それよりも早くシナリオを再開させることしか
考えなかったのである。何事も余裕は大事ってことですね。

恐らく上記のアイディアをすべて盛り込んで、ぎりぎり閉会式に間に合っただろうというタイム
スケジュール。やはり5人の壁は大きいってことですね。今回は戦闘だけでなく、小細工も
いろいろと凝ってみた。ですが、時間に追われて、ああいう形で終わってしまったのでは、元も
子もありません。自己評価では過去最低の60点ぐらいで、本当にプレイヤーの方には、申し訳
ない気持ちでいっぱいです。
初めて、卓成立時に6人以上の方からのお声がけを頂きながら(^^)、皆様のご期待に100%
応えることができませんでした。
ラストの歌とか、色々なところで、BGMから引っ張ってます。冒頭の文も・・・・。自作の箇所が
ほとんどなかったり(苦笑)
これからもSTCPが続く限り、ガンダム センCHIネルを続けていきますので、またのご参加を
よろしくお願いいたします。

文責:CHI

 

 

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