こども幻想


 となりのトトロの歌の歌詞にこどものときにだけ訪れる不思議な出会いってあります。小さい頃この歌に母が、「私はもう会えないのね」と言ったのが印象的でした。こどもには、そんな不思議へのパスポートがある。それは、どんなものなのでしょう。

 小さい頃には、得体の知れない何かに出会うことができるのでしょうか。それは、妖怪だったり、おばけだったり。以前、陰陽師がブームになったときに、世界不思議発見で「安倍清明」の特集があったんです。穂実あゆこさんという方の漫画で読んで(もう古本屋さんでしか見かけなくなってしまいさみしい限りです)以前から割りと関心があったので見たのです。その中でミステリーハンターのお姉さんが最後に言った言葉にすごく共感してしまったんです。それは、「もしかしたら、妖怪や物の怪、鬼といったものを見る力を私たちがなくしてしまっただけで、昔の人にはあったのかもしれませんね。」といったものでした。この言葉があまりにもぴたりとはまって、しばらくぼ〜っとしてました。よく、妖怪がいるのかいないのかといったことが問題になりますが、問題は私たちのほうにもあるのかもしれません。

 昔はたぶん本当にいたんです。存在とかじゃなくて、人々は自然の中に何かを感じとることができたんじゃないかと思います。人々が信じていれば、その期間、“彼ら”は確かにいたんです。ドラえもんの映画の初期のものに「のびたと魔界大冒険」というものがあります。魔法を使ってみたくなったのびた君がもしもボックスで「もしも魔法の世界になったら」と言って魔法が存在する世界にしてしまい騒動がおきるお話です。のびた君は魔法の世界になっても魔法は使えなかったので、「もしも魔法が使えたら」と言えばいいのになぁと、子ども心に思ったものです(笑)そこで、ドラえもんが言うには、昔は魔法だって本当にあると信じられていた。つい何百年か前までは、研究だってされていた。でも、分れ道で機械、科学の方へ進んでしまったから…魔法は迷信となり機械、化学は真実になった。実際魔法の世界で、のびた君は「機械なんて迷信信じてるの?」って言われちゃいます。本当の世界なら逆の答えなのでしょうか?おかしいですよね。昔はどっちも真実だったのに。

 こども。それはまだ全てが真実な時間なのではないのでしょうか?信じれば何だって存在する世界。それが、トトロに会える資格。そんな気がします。となりのトトロのポスターのフレーズが途中で「この変な生き物は、たぶんもう日本にはいないんです」から「この変な生き物は、きっとまだ日本にいるんです」に変更されたというエピソードを聞いたことがあります。宮崎さんは何を私たちに伝えたかったのでしょう。

 ちょっと前の話になっちゃいますが、「千と千尋の神隠し」のCMで「これから10才になるあなたへ かつて10才だったあなたに」と盛んに流れていました。区切りの年をむかえ、「かつて10才だったあなた」に分類されてしまうことが、少しさみしい気もします。決して、あの頃に戻りたいという訳ではないのです。でも、戻れたらな と思うことはあります。こんなことを言うと、そんなのただのこども幻想だ!とおっしゃる方もいるかもしれません。でも、あの頃、確かに私たちは全ての夢につながっていた。それを忘れないで居たいと思うのは、過ぎ去った時間の幻想にとらわれているだけなのでしょうか。













あなたはこんな こども幻想 お嫌いですか?








ここに載せているセリフやフレーズはうろ覚えな面が多いので
違っていた場合、すみませんm(_ _)m