おるごーるのこびん(あとがき)


 この詩は、大学の講義で「遠い日の歌」が出てきたことがきっかけで作りました。なつかしいなぁと思いながら、「遠い日の歌」が本当に遠い日の歌になっちゃったなぁ…と妙にせつなかったんです。そう考えると、たくさんの遠い日の歌があるなぁと思って作りました。


 くすんだ金のオルゴールは、小さい頃あったオルゴールなんです。「エリーゼのために」でした。金属の鍵盤をはじく音が好きでした。その鍵盤をはじくための突起がなくなっているとこがあって、音の欠けたメロディーでしたが…なぜか不思議に記憶に残ってるんです。


 卒業式の歌はいくつかありますが、1番印象に残っているのは中学の卒業式です。涙でほとんど歌えなかったんです。本人達は感動してるんですけど、泣いてるのは女子が多いので、男性パートだけしか聞こえず、聞いている人にはなんだかよくわからない歌だったそうです(笑)


 記憶を呼び覚ます歌ってたくさんありますよね。でも、特に合唱なんかは言えるんですけど、昔の思い出の歌って、その時限りですよね。同じ想いで、同じ状況で聞くなんて、もうありえませんよね。なんとなく、ねじが壊れた一回限りのオルゴールみたいだな…って思ってしまいました。


戻りたい訳じゃないけど、もう一度だけねじを巻いて
あの日の歌を聞けたらな…。