いちょうのこびん


校庭の片隅にたっている
大きないちょうの木
静かに校庭を見下ろしてきた


初夏の陽射しの中で
風のささやきに 若葉をゆらしていた
眩しいような光のカケラを放つその姿に
心追いかける かすかなる憧れ

その幹は いつも陣取りの陣地となり
たくさんの 手と手を繋げ

たくさんの笑い声を
やさしく その木陰に包んできた


出会って6度目の夏
私の憧れは 一枚の絵となり
その木陰から 別れを告げた

今も変わらず 校庭を見下ろす
大きな いちょうの木

これからも ずっと