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さかみちのこびん


午後の陽射しを受けて
ゆっくりと登る坂道
その分かれ道で
だんだん近づいてくる
駆け下りてくる足音と
ランドセルの鈴の音


笑いあいながら
私の両隣を駆け抜けて


耳に残るのは
小気味よい駆け足と
それに合わせた鈴の音
通り過ぎた 風

「また後でね」
そんな一言で
別の方向へ去っていく2人
そんな声と音と陽射しを
背中に感じながら
はたと立ち止まり
振り返ることが出来ない


同じ言葉をいつか放った
同じ音をいつか隣で聞いた
同じように走って
同じように坂を駆け下りて
あなたと約束した
「また後でね」って


小鳥のさえずりにはっとして
次第に遠ざかっていく
足音と鈴の音を
遠く 遠く 背中に聞きながら

振り返ることなく
次第に遠ざかっていく時間を
どこか見送りながら
ゆっくりと登る坂道

少しだけ傾いた陽を
そっと背中にあびながら