Kampfgruppe ZBV FACTORY
 Command=02= 履帯に永遠の愛を捧ぐの巻
*キャノンボール、ガンドリルに永遠の愛を誓おう*
 この項では主に足回り、更に言えばガンドリルやキャノンボールの様な履帯系レッグパーツを、如何にそれらしく仕上げていくか、またその為にどういった事を抑えていくべきかを、私見とか独断とか偏った性癖とかに基づきながら解説していきます。
 足回りはもっとも機敏に動作する部位です。どこがどのように作用し、どう動くか。またその為にどういうギミックが必要になってくるかを考えれば、自ずとリアルな外観が浮かび上がってくるというものです。 只、そういう事を常日頃考えている人間は往々にして
変態です。

*足回りを制する者は全てを制するかもしれないけど程々に*


▲ドイツ大好きトーションバーサスペンション
 c21ではシンプルに描かれている履帯系パーツのモールドですが、実際の機械ではどういったパーツで構成されているのでしょうか。

 この項で挙げている画像に目を通して頂くと、まず目に付くのは、
履帯、転輪、起動輪、誘導輪、サスペンションあたりでしょうか。(用語はググってくだちい☆)
 例えばサスペンション一つをとっても、様々な方式が開発され、それぞれに利点欠点を含んでいます。接地安定性が良かったり、速度を出せたり、製造コストが安かったり、etc・・・・
 パッと外側を眺めただけでも、実に様々な種類のパーツがそれぞれに作用しあって、左の映像にあるような燃える挙動に繋がっている訳で。

 燃料を燃やしてエンジンが回り、シャフトを伝わってクラッチに。変速機から操向ギアを経て起動輪を回し、力強く履帯を回して前進する。誘導輪が履帯を円滑に送り、転輪が履帯の接地を助けて数十トンの巨体を滑らかに走らせるのです。
 その用途を想像、連想できるテクスチャを張り込んだ時、その他の部位もそれにあわせてディテールが決まっていき、その結果ロボ全体が存在感と説得力に包まれていくのだと、私はそう考えながら日々をおくっている訳です。大仰ですが。
 とはいえ、実例の知識がなければ何も想像のしようがないので、私個人が盲腸ぶっくら返すほど好きな第二次世界大戦時のドイツ軍を中心に実例を列挙しながら、どういったものが主に使われていたかを検証していきましょう。
A・X号戦車パンターF型の御尊顔
 このイカした鋼鉄の芸術品は、ドイツ機甲師団の中核を担った主力戦車であったパンターシリーズの最後期型、パンターF型です。これは殆ど実戦に参加した記録が残っていない試作中の試作戦車で、当時としては最強バランスの戦闘力を誇っていました。この項には関係ないですが、特筆すべき特徴として「ステレオ式測距儀」を搭載、実に3000mオーバーの超アウトレンジ射撃を可能にしていました。
 今回はこの戦車に採用されている足回りをひいきに、ネチネチうんちくを垂れていきます。

B・転輪が重なる方式
 この戦車の転輪のイカした見た目はズバリ、この重なった転輪の存在感からくるものでしょう。これは俗に
千鳥足転輪と呼ばれるものです。二枚重ねの転輪を交互に重ね、地面への接地面積を稼いでいる訳です。
 トーションバーサス(次の項目で詳しく触れます)との組み合わせで、
非常に良好な安定性を得、接地圧分散にも寄与していますが、一方で非常にメインテナンスが面倒だという欠点もはらんでいました。仮に奧の転輪が破損したとして、それを交換するために一体何枚の転輪を外すことになるのでしょう・・・。ドイツ的勤勉さは時として、合理性追求の為に非合理を許容するという矛盾を生み出すのです。シビレルーーー!!

C・ダブルトーションバーサスペンション
  パンターシリーズは、はドイツ的根性を以て
ダブルトーションバーサスペンションを懸架装置に採用していました。これは、転輪一軸あたり二本の棒バネを用いたもので、シングル式よりも格段にストロークが大きいのが特徴でした。そのため凹凸の多い不整地でも高速で機動することが出来ました
 しかしその構造上、棒バネをシャシの下部分で貫通させなければいけなかった為、他の方式よりも車高が高くなるという欠点がありました。また、生産や保守にも手間が掛かり、そういった意味でもドイツ的なシロモノでした。

D・起動輪のアップ
 履帯にもっと近づいてみると、この様になっています。
赤部が起動輪黄色部が履帯のガイドプレートです。二枚重ねの転輪で黄色部分のガイドプレートをはさみ、履帯を保持する訳です。余談ですがこの履帯一斤を見ても非常にドイツ的精巧さで出来ており、やはりメインテナンスに手間が掛かったようです。

E・V号戦車G型の足回りは・・・
 一気に時代を遡ってV号戦車G型を紹介。大戦が始まる前の設計ですので、パンターに比べるとどうしても旧式の感は否めませんが、主力戦車不足の大戦中期以降も、主力の穴埋めとして終戦まで使われました。
 特徴がないのが特徴のような戦車なのですが、逆に言うと
実に堅実な造りをしており、実用性は折り紙付きでした。
 足回りも例に漏れず凡庸ですが堅実で、パンターのような凝った物ではなく、
リーフスプリングとボギーを用いたオーソドックスな転輪を使用しています。
 この小さい多数の転輪は、高速走行には向かないものの、
射撃時の安定性は非常に良好であったようで、また見ての通り保守作業も容易でありました。
 さらに外見的な特徴として、履帯上部の補助転輪も抑えておきたいところです。小さな転輪とセットで、グッとそれらしく見せることが出来るのでは。ちょっとアナクロな雰囲気を出したい方にお薦めです。

F・変わり種の快速戦車
 最後に紹介するのはソヴィエト製の経戦車、BT-5快速戦車です。
 
クリスティー型と呼ばれる足回りを採用しており、どちらかと言えば車のサスに近い構造をしています
 というのもこの戦車のオツな点は、
履帯を外してまるで車のように走行できるというもの。前方の第一点輪が操舵輪となっており、路上の走行速度は最大70km/hに達したそうです。
 前述の通り車に似たシンプルな構造のお陰で製造も簡単であり、精密な工作の行えない工場でも製造が出来るという利点がありました(ソヴィエト製は往々にしてそうですが)。
 しかし、その構造が災いして軽い戦車にしか採用することが出来ず、時代の波に乗れなかったクリスティー型はやがて廃れていきました。
 広義でいえば、BT-5経戦車の子孫にあたるT-34等もクリスティ型と言えるでしょうが、やはり装輪装軌走行は省かれていました。


▲A.千鳥足転輪を採用したパンターF型

▲B.ダブルトーションバーサスを採用し、良好な接地安定性

▲C.高性能な反面、ドイツ的複雑さでコストが高くなり・・・

▲D.スプロケット部アップ。ギミックの再現がリアリティに


▲E.V号戦車G型。オーソドックスな懸架装置で高信頼


▲F.BT-5快速戦車。履帯を外して車のように走行できる

*限られたテクスチャサイズと色数の中に渦巻くリアリティへの欲*
 以上のようなことで、興味のない方には足しにもならないことを書き連ねてきました。まあ、あくまで一例ということで。この先に興味を持たれた方は、是非ご自分でお調べ下さい。貴方の知らないバラ色の世界が広がっています。本当に広がっていたら、それは幻想です。
 さて、上記のうんちく妄想をC21の世界に適用するにあたり、最大の障害となるのは「
テクスチャのサイズ」と「使える色数」です。これらのハードルを上手く超えることが出来なければ、いくら構想を練ろうともそれを完全に再現することは難しいでしょう。
 これに関してはもう、ひたすら現物を観察しつつドット絵におこす作業を繰り返すしか無いのではないでしょうか。スキンエディットのコツ等については、絞り出せば出てくるのかもしれませんが、このコンテンツのテーマから少し離れてしまいますので割愛させて頂きます。
 一言言うなれば、努力と根性・・・。共に切磋琢磨しましょう、スキナー諸氏の健闘を祈ります。

*オマケ*
 オマケとして、愛用の汗達磨派に適用しているガンドリルLGの作業中テクスチャを公開してみます。履帯系LGのスキンエディットをする際の参考になれば、達磨も本望でしょう。

▲BEFORE まだ出会ったばかりの貴女(履帯)と私。

▲AFTER 一夜の契りで俺色に染まった俺とお前(履帯)。