◇2003年トライアスロン珠洲◇
(レース:2003/8/24・執筆日:2003/8/28)
※画像を追加しています。

久々の更新です。
日曜日(8/24)に出場したレースの疲れと、そのあとの風邪で、ちょっとぐったりしてました。
今もまだ、喉を痛めたまま回復中です。

というわけで、レースの報告を。長いです。

この前の日曜日、トライアスロン珠洲に出場してきました。
スイム2.5km、バイク99.4km、ラン23.3km、トータル125.2kmのミドルのレースです。

レース当日は、曇りのち晴。
スイム会場の海は、昨年同様すばらしい透明度。きれいでした。
でも潮の流れは激しく波は高く、厳しいコンディション。
300m沖に出たあと90度右折、潮上に向かって950m行って折り返し。
行きはいくら泳いでもまるで進んでいないかのような感覚。
なかなか目標の折り返しのブイにたどり着けない。
加えて左から横波があり、ヘッドアップするたびに水の壁が視界を遮る。
でも逆にうまく波の峰に乗ることでスピードが得られる。
最終第6ウェーブでのスタートだった俺は、先のウェーブの選手を次々とパスしていく。はっきりいって邪魔だ。
スイムが苦手な俺ではあるけど、一般エイジグループに入ると普通以上の泳力がある。
苦戦しながら折り返し、復路は強烈な潮の流れに乗りあっという間に残り300m、左へ折れる。

ホントに苦しかったのはこのラスト300mで、普通に泳いでると右側のコースロープに顔と体を引き寄せられていく。
2回ほど右の体をコースロープにこすられてから、推進方向を左斜め45度くらいまで変え、思い切って体をひねる。
潮の流れに流されないように、かなりの強度で最大限に近いスイム。海の底を見ていると、前方への推進力は波頼りのようだ。
スタート時より潮の流れがきつくなっている。
やがてクロールのかく腕が底の砂浜に触れる。
2.5kmのスイムを1時間01分01秒でフィニッシュ。昨年より12分も遅い。

バイクへトランジット。
ショートのレースと違って体の負担を最小限に減らすことが大事なミドル以上のレースでは、
バイクパンツや靴下をはくし、グローブ(手袋)もつける。
ウェットスーツの下にあらかじめバイクパンツをはいていたので、
あとは靴下をはき、グローブをつけて、バイクスタート。
3分半ほどでトランジット。

バイクは49.7kmコースを2周回する99.4km。でも実際は100.8kmほどあったかな...。
途中に10〜12%の峠が3つ。2周回だから全部で6つ。もっともきつい大谷峠の最大起伏が250m。

(←すばらしいショット! M守A子お父さん提供、感謝!)
(←たぶん2周目だと思う...けっこう表情険しくなってます)

1周目を快調に飛ばす。木ノ浦峠の下りで最高速度74.5km/hを記録。レースでの自己最高スピード更新だ。
といっても2周目とランに備えてMaxまで飛ばすことはしない。
クランクの回転にモノをいわせ、7割くらいの力で走る。だんだん日射しがでてきた。
西に向かうときの向かい風がきつい。DHポジションのままインナーに落とし、クランク回転数90をキープしていく。
最難関の大谷峠も余裕を持ってクリア。だんだんと疲れがきているものの、まだまだ元気。

45km過ぎで、いっしょに参加している彼女を抜く。
彼女はスイム出身なのでおそらくスイムで10分ほどの差がついているはず。(実際彼女はスイムを52分21秒で上がっている)
そして第3ウェーブスタートなので初めからプラス15分の差がある。
スイムでついた25分の差を、バイク45kmで追いついた。
結局1周目は、誰にも抜かれることなく、先のウェーブの選手を抜きまくった。

2周目にはいる。かなり暑くなってきた。
60km地点過ぎ、2周目のひとつめの峠で、急に体ががくんと来る。
全身に力が入らない。考える力が落ちている。まったく踏み込めない。
これは...ハンガーノックか!?

峠の頂上をなんとかぎりぎりで越えてから、携帯していた補給食と水をありったけ体内に流し込む。
ハンガーノックとは、筋グリコーゲンが枯渇してしまう(=ゼロになる)現象で、
血糖値が下がり、筋収縮が異常をきたし、運動そのものに多大な悪影響を与えてしまう。
少しの補給で行けた去年。今年もパワージェル2つ、たいして補給を取っていなかった。
今年も行けると踏んでいたものの...甘かった。
スイムで予想以上に体力を消耗していて、それに気づいていなかったのだ。気づいたときには遅かった。
去年より12分も遅れたのを確認した時点で、そのことを考えるべきだった。
昨年の経験が、皮肉にも今年の判断を誤らせた。

ハンガーノックは、そう簡単に回復するものではない。
摂取したブドウ糖やグルコースは、吸収まで最低でも15〜20分を要する。
倦怠感と体力が戻るまで、休む。
コースからはずれ、バイクから降り、木陰で座って、休む。屈辱。
一瞬意識が遠のくときがある...レースでハンガーノックをきたしたのは初めてだ。

どれくらいの時間、ここで座っていただろう...10分か、15分か....。
ここまで抜いてきた、どれほどの人たちにここで抜き返されただろうか...。
気を取り直せるだけの精神力が回復した時点で、再出発。
幸いにもコースは下りだったので、リスタートは容易だ。

ここから先は、無理できない。というより、無理する体力がない。
大谷峠はふらついてしまい、あえなく降車。20mほど押して登る。まだ回復していない。
ようやくトランジットへ。

ランに入っても、なかなか回復しない。
当たり前だ、摂取したエネルギーが体に吸収された瞬間に消費してしまうのだから。
最初の6kmほどは、ほとんど走ることができかった。
エイドステーションで水と食べ物をもらい、ひたすら詰め込みながら、歩く。
時々走り出すけど、次のエイドステーションでまたすぐ歩く。
こんな繰り返しが8km地点まで続いた。
8km地点くらいで、ようやく回復したのだ。

歩いたりジョグしたりをくり返しているうちに、たくさんの人に抜き返された。
ウェーブスタートなので順位は分からないけど、バイク終了時よりも順位を下げていることは確実だろう。
それにしても、暑い。水や氷を、頻繁に頭からかぶる。

折り返し。あと半分。
このあたりでは、気持ちにも余裕が生まれ、体もずっとジョグし続けることができるくらいまで回復していた。
ここから挽回...とは行かないけれど、順位の降下を少しでも抑えることができるだろう。
エイドステーションが待ち遠しかった。

ゴール。6時間48分26秒、62位。
昨年よりタイムも順位も大幅に下げた。(昨年は6時間08分08秒、36位)
でもなんとか完走できただけで、今はよかった。
そして、次のレースのことも、考えたくなかった。

(←ゴール! 下向いちゃった。)

レース前からお互いライバル視していた九大出身のAつしは43位。13分ほどの差をつけられて負けてしまった。
バイクランのトランジットまでは勝っていたので、ハンガーノックを起こさなければあるいは...とは思ったが、
トライアスロンに「もしも」や「たら・れば」はあり得ない、言語道断ウルトラクイズ。
ロングのレースでは奴のほうが経験値が上。次のレースでのリベンジを誓った。
彼女は年代別1位。元ユニバ選手の貫禄をみせる。

今回、うちの部員で珠洲出身のAっこの実家に、俺の彼女ともどもすっかりお世話になった。ありがとう。
Aっこは自身二度目のレースでBタイプ女子3位入賞、北信越優勝も果たしていた。
これからも、大いに期待。というか、本人も家族も、皆びっくり。

今年のレースは非常にサバイバルだった。
出場515人で、完走できたのは381人。完走率は74%。リタイアとタイムオーバーを含めて134人がDNF。
やはりスイムと、バイクランでの気温の高さが原因だったのかな。
失敗レースだったけど、価値ある完走、ということに、しておこう。

1日ゆっくり休んで、次の日の昼過ぎ、帰路につきました。

♪T-SQUARE/"CHASER"
!帰りの道中は福井で集中豪雨に遭遇。視界が効かない川のような高速道路と、ときおり襲うハニーフラッシュ!! 怖。
☆レース。スイム/2.5km・1時間01分01秒の112位。
☆バイク/100.8km・3時間32分05秒の51位。スプリット49位。
☆ラン/23.3km・2時間15分20秒の117位。総合6時間48分26秒の62位。


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