◇トライアスロンとは◇
〜トライアスロンについて説明しているページです〜

トライアスロンは、水泳(スイム)・自転車(バイク)・ランニング(ラン)の3種目を組み合わせた複合種目です。
英語で書くと、"Triathlon"。「三種複合種目」という意味ですが、
「3」を意味する"Tri"(トリ・トライ)と、「運動種目」を意味する"Athlon"(アスロン)を組み合わせた造語です。
スイム、バイク、ランの3種目を、同一人物がこの順番で連続して行う競技です。


トライアスロンの分類
トライアスロンは、その総距離設定によって、
大きく以下の5〜6つに分類されます。

呼称 総距離 主なレース
ミニ 22.6km 指宿Bタイプなど
スプリント 25.75km 舞洲・道後山など
ショート 51.5km オリンピックをはじめ多くの大会
ミドル・ハーフ 113km〜 徳之島・珠洲・赤穂など
ロング 180km〜 宮古島・皆生・佐渡・アイアンマンなど


「ミニ」は、アイアンマンの1/10の距離であるスイム390m・バイク18km・ラン4.2kmの計22.6kmが基準。
「スプリント」は、「ショート」の半分のスイム750m・バイク20km・ラン5kmの計25.75km。
「ショート」は、スイム1500m・バイク40km・ラン10kmの計51.5kmが基準。
「ハーフ」は、アイアンマンの半分の距離にあたるスイム2000m・バイク90km・ラン21.1kmの計113kmが基準。
「ミドル」は、ハーフよりも長くロングより短いものがこう呼ばれています。
また、まれに「ショート」以上「ハーフ」以下の距離設定のレースにも用いられます。
「ロング」は、総距離がだいたい180kmを超えるものを指し、
スイム3.9km・バイク180km・ラン42.2kmの総距離約226kmの「アイアンマン」タイプを含みます。
「スプリント」「ショート」以外の距離構成は大会によってまちまちで明確な区分も曖昧ですが、
これらすべて、一般的に「トライアスロン」と呼ばれています。

「アイアンマン」とは
先ほどから「アイアンマン」という単語が出てきています。
これは、トライアスロンの競技発祥の背景をルーツに持つ、トライアスロンの象徴的なレースで、
世界各地で年間12〜15レースほど行われています。
日本でも1996年までびわこで開催され、また2001年に長崎五島で国内アイアンマンが復活しています。
世界各地で行われるアイアンマンは、それ自体が予選的な要素を含んでいます。
各地のアイアンマンで年代別に規定のスロット(予選通過枠)が設定されており、
これを通過したものだけが、アイアンマン・チャンピオンシップであるハワイ大会に出場できます。
ハワイはトライアスロン発祥の地のひとつといわれています。
そう、トライアスロンの聖地はハワイといっても過言ではありません。
ハワイの距離は、スイム3.9km・バイク180km・ラン42.2km。
この距離設定のルーツについては、のちほど改めて説明いたします。


レースの大部分はショートタイプ
国内外のほとんどのレースが、総距離51.5kmのショートタイプで行われています。
所要時間は、男子のエリートトップ選手で2時間を切るくらいです。
ITU(世界トライアスロン連合)が発足した当時、普及のための公式な距離を設定する際、
レースのバランスやマラソン競技を基準としたレース所要時間などさまざまな点を考慮した結果、
この距離設定が定められたといわれています。
トライアスロンは2000年シドニーオリンピックから五輪正式種目となりました。
オリンピックでもこの距離設定が用いられたため、現在では「オリンピックディスタンス」ともいわれています。
ITUはこの51.5kmの設定を「ザ・トライアスロン」と銘打ち、
厳密に言えば「トライアスロン」とはこの51.5kmタイプのものを指します。


トライアスロンのルーツ
トライアスロンは、競技として誕生してまだ二十余年の歴史の浅いスポーツです。
ルーツに関しては、ハワイ発祥説とサンディエゴ発祥説の二通りがありますが、
現在の直接のトライアスロンのルーツとなれば、ハワイのほうではないかと思います。
ハワイ発祥説には、次のような逸話が残っています...。

ある日、夜のハワイでアルコールを酌み交わしていたアメリカ海兵隊員たちがこんな話をしていた。
「このハワイには3つの耐久レースがある。
ワイキキラフウォータースイム、オアフ島一周自転車レース、ホノルルマラソンだ。
この3つで、いちばんハードなレースは、いったいどれだろうな?」
「そりゃあ3種目すべてやるのがいちばんハードさ!!」
そう答えたのは、ジョン・コリンズという隊員。
「じゃあ、やってみるか!?」
...そんな感じで、初のトライアスロンが始まったとされている。

なんともまぁ、無茶で無謀な展開。だれもがそう思った。
しかしそこは体力に自信のある血の気の多い海兵隊、ほとんど勢いだけで競技の開催と相成った。
時は1978年。参加者はわずか男性13人。観客には彼らが気違いじみて目に映ったという。
半日以上にもおよぶ超耐久レース。なんと全員完走してしまった。
観客は彼らを「クレイジー・アイアンマン」とたたえ、彼らは一躍英雄になった。
そしてその距離こそが、
スイム3.9km・バイク180km・ラン42.2kmであった。

...時は流れ、今2003年。
ハワイは世界中のトライアスリートたちの聖地となっている。
「アイアンマン」という競技名称もつけられ、その扱いは別格である。
酔いの勢いで始まったこの鉄人レースは、現在では世界中の多くの人を参加の欲望にかきたてている。
10月のハワイを目指して多くの老若男女トライアスリートが激しいトレーニングを積み、各地の予選へと足を運び、
そのわずかなスロットを狙ってアイアンマンをレースする。
今年で25回目を迎えるハワイ・アイアンマン。灼熱の溶岩台地に、今年も強者の鉄人たちが集う...。

...とまぁこんな具合です。
初のトライアスロンが行われてから数年後、世界トライアスロン連合(ITU)が組織され、
日本にも、日本トライアスロン連合(JTU)が生まれます。
日本で初めてトライアスロンが行われたのは1981年、鳥取県の皆生温泉周辺。
アイアンマンタイプの長い距離で行われ、現在も国内最古のトライアスロンレースとして続いています。
やがてITUによって、トライアスロン普及のための手軽な総距離51.5kmのレギュレーションが設定されます。

そして国内で初めて51.5kmタイプが行われたのは1984年、熊本県本渡市の天草国際トライアスロン。
今日までの普及に関する細かいいきさつは省略しますが、
現在日本国内では、エリートレースから一般レース、キッズレースまで、
100レース近いトライアスロンが全国で行われています。
日本学生トライアスロン連合(JUTU)も組織され、
十数年前から日本学生選手権(インカレ)が行われています。
日本選手権は、ジャパンカップと呼ばれる51.5kmのシリーズ戦が主で、年間7〜8レース行われます。
順位に応じてポイントが加算されていくシステムです。
世界的には、ワールドカップシリーズが行われています。
日本の競技力は、とくに女子は世界的にも高いほうです。
近い将来、オリンピックでメダルを首にぶら下げた日本人トライアスリートを
この目で見ることができるかもしれませんね。


三風神器・表紙へ

疾風怒濤・表紙へ