ツールド山陽・第6ステージ
2002年3月8日
神戸市垂水区〜大阪府泉佐野市
11:00 S成邸出発。
さて、ついに最終ステージ!
ここから家まで、だいたい100kmと踏んでいる。
おとといよりも、昨日よりも、短い距離だ。
それでついに、長かったこの旅も、いよいよ終わる!
S成くんは、当然もうすでに仕事に出ていた。
ぜんぜん起きれなかったなぁ...。
おばさんに2号線までの道を教えてもらい、出発!
いい天気だ。今日はずっと、晴れらしい!
よかった、雨はもうヤだからね!
でもね...。
体中が、...やっぱり痛い。。。
あんまり回復してないよ。
とくに、スタートしてしばらくは痛みがひどくて、まるでロボットのように動きがぎこちないのだ。
でも2号線まで出ると、追い風にも乗って、結構なスピードで飛ばせる。
30分ほどすると、もうだいぶん慣れてきた。
右側に、須磨海岸が見えてきた。
ああ、このへん、鹿屋の自転車部の後輩のK野が住んでるはず...。
まさか今俺がこんなことやってるなんて、思ってもいないだろうな。
まぁ思ったところで「そうなんすか〜」くらいなものだろうけどな。
信号待ちの時に、左のペダルのビンディングに違和感を感じる。
なかなか、ペダルから、足がはずれないのだ。
クリートが、うまくシューズに留まっていないような。
福山市内でも調子悪くなったけど...。おいおいまたかいな。
バイクから降りて、シューズを脱いで、状態を見ると...。
ネジが1本、落ちている。
クリートをシューズに固定する2本のネジのうち、1本がなくなっているのだ。
もう1本のネジも、けっこうゆるゆるだ。
こんな状態だと、クリートがペダルにはまったまま、シューズはペダルからとれないわけで。
つまり、もう、ずっと、シューズ、くっつきっぱなし。
シューズから足を抜かないと、地面に足をつけないのだ!
これはいかんと、緊急修理。
あ〜あ、最終日まできて、何やってるんだよほんと。。。
とにかくシューズからクリートをとらないと話にならないので、
つながっていた1本のネジを抜く。
すると、クリートは、ペダルに固定されたまま、シューズから離れた(写真の状態)。
ふうう。
ん。
ん?
んん?
んんん??
このクリート、どうやってペダルから取るんだ???
もしかして、取り返しのつかないことをやってしまった???
思うに、ペダルのシステムを分解しないと、取れないんじゃないかと...。
あああ、ってことは、このまま、シューズは、ペダルから離れたまんまかぁ。。。
この状態では、この先のクルマやトラックが飛び交う国道2号線や43号線を走るのは危険だ。。。
まして、この疲れ切って痛みが走る身体で...。
どうする?
どうする??
さぁ、どうする???
・・・。
考え抜いた末、引き返すことを決意。
明石港からフェリーで淡路島に向かい、
淡路島の津名港から出ている泉佐野港行きのフェリーに乗るのだ。
やれやれここまで来て...。しょぼん。
どっと疲れが出た感じだ。
12:10 明石港到着
戻ってきた...。
ついにバイクから降りる時が来たか...。
お金を払いチケットを買い、泣く泣くバイクを船に積む。
あああ、完走は成らなかったかぁ...。
窓から見える明石海峡大橋が、なんかうらめしい。
12:50 淡路島・岩屋港に到着
ここから25kmほど南に走ると、津名港だ。
トラブったものはしかたない、楽しんでいくとしますか!
痛む身体を、ふたたびバイクに乗せて、南へ最後のライド。
淡路島、思えば初上陸だ。
大阪湾を形成する一角の島なので、だいぶん環境は悪いんだろうなと思っていたけど。
ところが、かなりの景色の良さです。(相変わらず写真は撮ってない)
海は場所によってはかなり透明だし、自然がたくさん残ってて、けっこう田舎で、いい土地です。
やっぱり、実際行ってみないとだめだね、先入観だけじゃあよ。
またひとつ、勉強になったぜ。
でもやっぱり島なので、ところどころ細かいアップダウンが続く。
普段ならなんてことない坂なんだけど、この身体に加え、壊れたペダルでは、なかなか厳しい。
でもあとちょっとだ、がんばろ!
やがて、津名町突入。金の町らしい。金鉱があったのかな。
津名町といえば、ワールドカップでイングランドがくるところだ。
町のあちこちに、イングランドの白地に赤十字の国旗があって、それらしいムードが漂っている。いいね。
イングランドといえば、マイケル・オーウェンとデイビッド・ベッカムだね。
船に乗れば家から近いから、練習見に来るのもいいかな。
...なんて思いながら、ペダルを回す。
ところで、気になってたんだけど、前方に、なにやら背の高い、怪しい白い像が、ずっと見えてる。
(だから写真ないんだってば)
どこかの宗教のものなんだろうけど、なんか変なのだなぁ。
近くまでくると、ほんとにでかい。
な、なんじゃこりゃ!?
結局何なのか、分からずじまいだったけど、(ってか異様に思っただけであんまり興味なかった)、
ちょっと不安な気持ちになってしまったのは、たしかだ。
以前、鹿児島の佐多町の、涅槃城というところに行ったときのことを思いだした。
辺境の地の、建物の上に、金色の仏像が、寝てるんだよ。
しかもそれが、かなりでかい。
入口の門も、どことなく中国風で、すごくでかい。まさに城の入口みたいな。
一度行ったきりで、怖くて二度と行ってないんだけど...それと似たような威圧感があったな。
14:20 津名港到着
港の敷地はかなり広くて、というか鹿児島の志布志港もそうだし、
田舎の港は広いもので乗り場までかなり距離があるんだけど、
ようやく到着。
運良くすぐに船があって、すぐに乗れて、すぐに出航した。
これに乗れなかったら、2時間くらい待たなければならなかった。よかった、ほんと運がいい。
フェリーの中でバイクを眺めて、ため息をつく。
はああ。。。完走できなかったか。
このペダルが...。たったネジ1本のおかげで。。。
(先ほどのペダルとシューズの写真は、ここで撮った)
まぁ、こういうことが分かっただけでも貴重だし、楽しい旅だったじゃない!
もっと、よかったと、思わないと!
...と思いながら、窓からぼんやりと海を見てました。
日射しがまぶしかった。
関西国際空港を過ぎ、スカイゲートブリッジをくぐる。右にはりんくうゲートタワービル。
飛行機が着陸する。
ああ、見慣れた景色だ。
車輌甲板に下りて、荷物をキャリアに載せて、ロープを巻く。
この作業も、これで最後かぁ。
16:00 泉佐野港到着
ここから家までは、6kmくらいか...。もうすぐそこだ。
帰ってきたことを実感するように、かみしめながら、チンタラと行く。
国道481号線空連道に乗り、国道26号線を横切り、
行きつけのスーパー松源長滝店を過ぎ、...到着。
16:20 自宅到着
1週間半ぶりに帰ってきた。
無言のまま俺のクルマが出迎えてくれた。
ただいま、お待たせ! と声をかける。
ふうう...長かった。
ようやく...帰ってきた。
でも...楽しかったな。
よくやったと思うよ。
おつかれ、俺!
おつかれ、カルパョ!
(って、いいのかほんとにこの名前で!)
ううう、2階まで上がる階段がしんどい。。。
懐かしい部屋に戻り、ベッドにころがり、お世話になったみんなに「ただいまメール」を送る。
「懐かしい」って、ほんとにそんな感じだよ。
部屋にあるいろんなものが、ついに帰ってきたことを実感させる。
風呂に入る前に気づいたんだけど...お尻の皮が、みごとに剥けてました。
ちょうど、肛門と睾丸袋の中間あたりが...ごめんね下のほうのお話で。男なら、わかるよね。
バイクでふつうのポジションをとったときに、サドルと接する部分です。
着ていたものを全部脱いで裸になってみると、体じゅうの筋肉が張っていて、すごく硬い。
とくに足なんか、ボンキュッボンって感じで。(え?)
脂肪なんか削ぎ落とされて、無駄なく引き締まった、理想的な足ってやつ? にゃはは☆
なんか、マッチョになったみたいな感じだ(^-^)
しばらく、自分の身体に、みとれてた。
ってさぁ、別に変じゃないよ、筋肉が張ると、みんなそうでしょ? ね? 鉄くん??
風呂に入ってから、コンビニに弁当を買いに行く。
2つの弁当を、あっという間に食べてしまった。
食べたあとは、...次の日の昼まで爆睡。
いろいろあったなぁ...ほんと、やってよかった。また機会あったらやりたいな。
ちっこいベッドで疲れを癒しながら、旅でのことを思い出しながら、
ひとりで駆け抜けたツールド山陽は、静かに幕を閉じます。
この旅をサポートしてくれたみなさん。
ほんとにどうもありがとう!
感謝です。
なんとか、大きな事故もなく、無事に最後までゴールしました。
この旅は、これからの俺にとって、大きく貴重な経験になると思います。
そして、最後まで読んでくれたみなさん、ほんとにどうもありがとう。
こんどはいっしょに、バイク乗ってどこかツーリングしようね。
後日談は、のちのち、語っていきたいと思います。
(第6ステージ成績)
走行距離:42.0km
平均速度:21.7km/h
走行時間:1時間56分
所要時間:6時間20分
(通算成績)
走行距離:720.4km
走行時間:34時間30分
所要時間:48時間17分