1.悲しき黒髪
私の髪は黒い、真っ黒だ。
いまどきの若者の髪はみんな茶髪で、軽快そうに見える。
小さいときは明るい茶色でクリクリしていたのに、気がつけば真っ黒のくせっ毛。
しゃれっけの出る中学の頃からこのくせっ毛はホントに悩みの種なのだ。
高校では雨の日にドライヤーは必需品だったし、今も会社には置きドライヤーまでしている。
そんな黒髪の私だが、ひそかに茶髪に憧れている。
ブリーチよりもヘア カラーの方が髪のためにいいと聞き、挑戦してみたのだが・・・。

はじめに美容院で染めた。
できあがった髪を見て、あまり変わったように見えなかった。
鏡に映ったのは紛れもなく黒髪の私・・・でも美容師さんは「少し時間が経てば色味が出ます」
と言ったので、1週間ほど待ってみた。
しかし相変わらずほとんど黒髪の私がいる。
思いきって美容院に電話をしてみた。
私「あの〜、一週間前に染めてもらったんですけど、全然色が変わらないんですけど」
美容師「そうですかぁ、じゃ、染め直しますので、また来て下さい」
やりなおしてくれるというので、また行ってみた。(もちろん¥0ただです)
今度は一番明るい色で、結構時間もかけて頑張った(らしい)。
できあがった私の髪は・・・すこ〜しだけ茶色っぽいかな・・・ってくらい。
美容師さんの言うのには、「髪が健康すぎるんです、痛んだ髪の方が染まりやすいんです」だって。

以来自分で染めるようにしている・・・だって美容院だと技術料が¥お高いので。
あれだけの金額を払ってもあれしか変わらない(変われない)なら、自分でやった方がいいじゃん!
美容院の染料とドラッグストアで売っている染料とでは、やっぱり強さが違うって人は言うけど。
確かにそうかもしれない、「つけはじめから25分放置します」って書いてあったから、
1時間くらい放置してみたんだけど、できあがりの色は大したことなかった。
ちなみに、買い求めたのは棚に陳列してあった中で一番黄色っぽいヤンキー色だったのに。

あるとき、またいつものドラッグストアで買った染料で染めてみた。
説明書には「整髪料などがついていると染まりにくいことがあります」と書いてある。
私の髪はワックスのような整髪料がついていたのでそれを洗い落とし、
「乾いた髪につけろ」と書いてあったので、ドライヤーで髪を乾かした。
これで万事OK!のはずである。
A液とB液を混ぜ、いつものように髪につけ始めた。
ツッキ〜ン!!!と頭皮にしみる染料液。
どうやら直前に洗髪してしまったのが裏目に出たようだ。
しかし憧れの茶髪になるにはここであきらめてはいけないっ。
時間とともに強くなるズキズキする痛みと戦いながら、そのまま頭全体に染料液をつけ、
放置時間も、今日ばかりは説明書のとおり、つけはじめから25分、そこまでは我慢した。
部屋の隅で膝を抱えてプルプル震えながら我慢した。
やっと悪夢のような25分が経過し、再び洗髪、そしてドライヤー。

まだヒリヒリズキズキする頭皮にふと手をやると、何か固いものが。
そっと爪でとると、黄色っぽい。
所々頭皮に小さい傷ができて、そこからリンパ液がしみ出して固まっていたようだった。
血ではなかったことにほっとしながらも、それからまさに「腫れ物に触る」毎日が始まった。

1週間も経つと傷も癒え、ほとんど頭皮の痛みはなくなったのだが、
その後鏡を通して私が目にしたものは、実在するのを拒みたくなるような大きなフケだった。
つまり、頭皮が生え替わったのだ。
そのことを友達に話した。彼女曰く「いや〜ん痛そう、でもそれはフケじゃなーい!!」

そんなことがあってからも私は自分で髪を染めているが、染める前に洗髪はしないようにしている。
美容師さん曰く「染める前は洗わなくていいんですよ」・・・早く言ってよ、もう!
そして最近はブリーチをも射程距離に入れている・・・それほど私の髪は黒いのだ。

ああ、私が憧れの茶髪になれるのは一体いつ???

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