9.原宿視察
国立代々木体育館へアイススケートに行って来た。
アイススケートの営業は1月5日〜2月8日という短い間であるが、
東京近辺では一番安いし、原宿駅からすぐなので行き易い。

駅から体育館までの間に、すごいものを見た!

それは日曜日の昼過ぎ。
原宿駅の真上にあたる広場のようなところ(実際は参道なのだろう)で、
大勢の天使と悪魔がたむろしていた。

どういう人種なのか、流行なのか、詳しいことはわからないが、
とにかくみんな、同じような服装をし、同じようなメイクをし、
何をするでもなく、ただボーっと座っていたり、仲間としゃべっている。

まずは天使・・・白いフリフリのコスチュームに身を包み、
明らかに「天使」だとわかる理由は、背中に羽根をしょっているのである。
厚みのある、ふわふわしたような立派な羽根を。
多分ここへ来てから装着したものと思われる。
電車のなかであの羽根を背負っていては、羽根の形成が危ういだけでなく
他の人からの視線が痛いはずである。

そして悪魔・・・いでたちはお約束の黒装束。特徴はメイク。
目の周りを黒く縁取って、口唇には黒っぽい口紅。
昔流行ったキョンシーのような顔になる。

どういう感覚であのようなメイクをする気になるのだろうか?
それも圧倒的に女の子が多いのだ。
もう廃れてだいぶたつが、やまんばメイクが流行ったときもそう思った。
私の頃は、「より綺麗に、より可愛く」するためにメイクしたものだが。

大勢の天使や悪魔の間を縫うようにして、体育館へと向かった。
好奇心旺盛な小僧たちを連れているので、気が気ではない。
「あの人、**な顔だよ!」なんて大きい声で言われたら、
親として何とフォローしたらよいものか・・・。
私は小僧たちに「今は何もしゃべっちゃダメ!ママがいいって言うまでダメ!」
とだけ言って、ぐいぐいと手を引いて歩いたのだった。

さて、スケートを終えて少しくたびれながら、また駅に向かって歩いた。
「お腹がすいた!」と小僧たちがうるさいので、駅とは逆の方向に階段を下りて
代々木公園の入り口にある屋台で足を止めた。
フランクフルトを買って(考えていたよりも倍の値段だった)、
そこにあったテーブルについた。

ほどなくしてすぐ近くに輪になっていた革ジャンの男衆のあたりから
大きな音がはじけた。
ストリートミュージシャンかと思えば、ただ音楽をアンプでならしているだけ。
そして革ジャン男たちは音楽に合わせてロックンロールを踊りだしたのである!

をを!今でもいたのか、こういう人たちが!!
よく見ると、革ジャンの男たちの頭は昔懐かしいリーゼントだ。
それもかなり大きいひさしに作り上げてある。
中には剃り込みを入れているのか単に後退しているのかよくわからない人もいる。
そんな人も、踊っているのだ。
みんなで輪になって踊り、ときには誰か1人のソロの踊りが入り、
それなりに盛り上がっているようだ。

ああ、昔を懐かしんでいるのかなあ〜・・・

そういう目で見ていた私に、小僧がボソッと言った。
「ママ、うるさいよ!」