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『平将門』、『海と風と虹と』:NHK大河ドラマ原作

原作・海音寺潮五郎

原作・海音寺潮五郎として放映されたNHK大河ドラマは過去2作品ありますが、実はその原作は3作品からなっているという、少しおかしな状態にあります。一つは昭和44年の「天と地と」でこれは文字通り『天と地と』が原作、昨年(2007年)放送されていた「風林火山」と同じ時代・舞台を題材としたものです。
もう一つが昭和51年の「風と雲と虹と」ですが、こちらは『平将門』『海と風と虹と』の2作品を原作としています。当然ご存じの方も多いと思いますが、『風と雲と虹と』という名前の海音寺潮五郎さんの作品はありません。

平将門が祭神の国王神社

茨城県板東市(旧岩井市)に、平将門を祭神とする国王神社があります。本尊の木造は将門の娘が出家後に作成したものとの言い伝えがあるところです。
境内にはNHK大河ドラマ「風と雲と虹と」の放送を記念して建てられた碑もあり、この時期に国王神社についての見直し機運が高まったことを想像させます。

名前が似ているのでややこしいですし、「風と雲と虹と」という大河ドラマを覚えている人も多くはないと思いますが、このドラマは『海と風と虹と』よりも、どちらかと言えば『平将門』の方を主たる原作として作成されたもののようです。
ご多分に漏れず、という表現は少し残念なのですが、『海と風と虹と』も絶版で今では簡単には入手できません。私の地元では図書館にすら蔵書がなく、作品の存在は知っていながら、久しく読む機会に恵まれませんでした。
一方の「風と雲と虹と」(本当にややこしいネーミングですね。誰が付けたんだ?)の方は、ドラマ総集編という形式でNHKソフトウェアというところからDVDが販売されていたのに続き、つい先頃、ドラマの完全版(全52回分の放送を収録)が発売されました。興味がある方は簡単に入手できる状態にあります。

最近になって、原作である『海と風と虹と』を読み、総集編の方の「風と雲と虹と」を見ることができました。総集編は、何しろ1年間掛けて放送されたボリュームある内容を約3時間に圧縮したものですので、原作を全く知らずに見るのは少し難しい部分があるかもしれませんが、この時代(10世紀半ば、ちなみに過去のNHK大河ドラマで扱った最も古い時代だそうです)と舞台設定に多少なりとも興味と知識がある人なら何とか理解出るでしょう。
昭和51年放送という古い作品ですので、どんな映像なのかと心配しましたが、思った以上に画質はクリアですし、名優をそろえた役者陣も若き日の姿で活躍しており、物語の内容とは違った次元での楽しみもあります。

平将門と藤原純友の志

ドラマはメインの主人公が平将門、サブの主人公(主人公なのにサブというのも変ですが)が藤原純友で、二人とも海音寺潮五郎さんの『悪人列伝(古代篇)』に収録されてる人物です。特に藤原純友については、『悪人列伝』収録の「藤原純友」が先にあって、それを執筆しているうちに、作者である海音寺潮五郎さんの中で
 「藤原純友の事績を小説化したい」
という思いが募り、それを具現化する形で書かれたのが『海と風と虹と』であるという関係になっています。

これは海音寺潮五郎さん自身が述べていることですが、平将門と藤原純友、そして海音寺潮五郎さんが生涯をかけてその史伝を完成させようとしていた西郷隆盛について、



うっかりした話ですが、この頃ぼくは三人が三人とも叛逆者であったことに気づき、おどろいている次第です。
(『海と風と虹と』「あとがき」より)

と、その共通点を挙げています。もちろん、「叛逆者」といっても、そこからイメージされる反社会的行動を賛美して作品を書いたわけでは決してなく、



西郷の志は、今日では大方の人が知っていますが、将門と純友の志は知っている人が至って少ない。近頃の歴史学者は、二人を単なる無道の叛逆者とは見ず、王朝の貴族政治の暴悪非違にたいする革命的人物と見るようになっていますが、普通の人は王朝の中央貴族らが負わせた大逆無道の賊臣としか見ていません。ぼくは二人の志をあわれむのです。
(『海と風と虹と』「あとがき」より)

と心情を吐露しています。そして、平将門と藤原純友の志を明らかにするために書かれた作品が『平将門』『海と風と虹と』であり、それをもとに作成されたのがドラマ「風と雲と虹と」であるという最初に説明した関係に戻るのですが、さて映像化されたこの「風と雲と虹と」で平将門と藤原純友の志はどこまで表現できているでしょうか。



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