A級1chipFETシングルアンプ
2012/8/18
お寺課題の半導体駆動アウトプットトランス付きアンプを試作してみました。MOSFET1石のみで部品点数も少なくなるべくシンプルにして作成しました。
MOSFETは入力容量が約2000PFと大きいので、今回の様に反転増幅器とするとそのままだと入力抵抗により高域が数kHzから落ちてしまいます。そこをNFを14dBほどかけてフラットな領域を伸ばし、歪を低減させていますが、総合ゲインとの兼ね合いで今の所20kHz-3dBあたりが良い所でしょうか。
正相増幅としてソースに帰還をかければその点は改善されると思いますが、入力をVRレスにしないと同じ様な事になりますし、ソース抵抗値を上げないと帰還がうまくかけられないなど別の問題点もありますね。
最終的にゲインは17dBほど、歪みは1.7%/1W1kHz、周波数特性は30〜20kHz(−3dB)と古典管並ですね。歪は2次が主体で3次以降は-10dBづつ減っているようです。
テスト用の電源はOTLアンプを流用しましたが、音は結構聞けます。
A級2chip(2段増幅)FETシングルアンプ
2012/10/9
前回のアンプがあまり特性的には満足できるレベルでは無かったので、もう1石増やして2段増幅として特性改善を図ってみました。
下の基板の右側が新回路です。
結果特性は
周波数特性 15〜55kHz(−3dB)
出力 6Wx2(8Ω負荷、クリップ)
ゲイン 20dB
歪率 0.26%(1W,1kHz)
残留ノイズ 0.4mV
DF 75
クロストーク -90dB以下(50kHz以下)
となりました。
歪率の詳細は左のグラフの様にオープンループゲインを上げNFB量を増やしたので1/3〜1/5と大幅に改善されました。NFBの量については下記の「高帰還の掛け方」を参照してください。
1kHzでのNF量は32dBもありますが、補償がうまくいっているので 10kHzの矩形は応答もかなりきれいになっています。(上が出力波形、下が入力波形)
回路は下記の様になっています。R10のVRで初段の電源電圧を可変し、終段のバイアス値を設定します。
現在は終段のバイアス値はOPTの最大許容値の約80mAに設定しています。
高帰還の掛け方
左のグラフで紫の線がほぼ裸のオープンループに近い特性です。ただしこのままだと帰還を掛けた時のゲイン20dBあたりでの位相余裕が少ないのでもう少しDG帰還を増やします。
高域の安定度を上げるためにDG帰還容量を20PFに増やしたのが緑色の特性で、ゲイン20dBあたりでもー6dB/octの傾きになっていて位相余裕が取れています。
クローズドゲイン20dBで帰還を掛けると100KHzあたりの位相余裕がまだ充分でないため1.5dBほど高域がもち上がります。
そこで帰還抵抗の100kΩにパラに22PFの微分補償のコンデンサを入れ最終的に青と特性としました。
1kHz当たりでは30dB以上の帰還がかかっていますが、安定に動作します。
微分補償の22PFを調整すれば高域の周波数特性は100KHzぐらいまで伸ばせますが、そこまでの必要はないでしょう。
4
(厳密に言うとこの回路ではVR位置で帰還量が変わってしまいます。中頃で5dBぐらい増えるかな?バッファを入れるのも面倒で、安定度もそれほど悪くはなっていないのでそのままです。測定はVRmaxです。)