SATRI−DRIVE 830Bシングルアンプ改良

 一応調整は終了してそれなりに動くようになったが、このアンプはDFが1以下と低いのが問題点の一つだ。インピーダンス補正をしていないスピーカでは低音が少し持ち上がり気味となる。そこでやはりNFを掛けDFと諸特性の向上を狙って改良してみた。

 SATRI−DRIVEは可変ゲインが基本なのでオーバーオールのNFは掛けにくいが、ゲインを固定にすればNFが掛けられる。

 回路図は改良版のアンプの概略図で、R1が入力抵抗、R2が出力抵抗、無帰還の場合はドライブ段のゲインはその比で決まる。つまりゲイン固定の場合はR4が無く、R2をVRにしている。
  帰還を掛ける場合にはそのままでは正相アンプなので出力側の極性を入替えR4でSATRI-IC入力端に電流帰還を掛ける。    C1,R3はゲインの積分補正で高域のピークを押さえる。

(830Bにカソードが付いているのはライブラリーに直熱管がなかったためです(^^;)

 この定数で帰還時のゲインは20.5dBとなったのでNF量は約7dB。これでDFは3.2になるのでまあこの辺がいい所だろう。

 周波数特性は40kHzで1dBほど持ち上がってしまっているが特にそのままとした。微分補正をかければフラットになるだろう。(追:どうも微分補正ではうまくいかない。当面このままとする)
  相変わらず10Wの(波形が崩れない)パワーバンドは20〜20kHzは確保できている。この辺はシングルアンプとしては驚異的でカットコアトランスとそのコアボリュームが効いているのだろう。下側のクリップは12W、上のクリップは15Wぐらいか。


ヒータのSW電源のノイズ対策はまだしていないので2.2mVと高い。まあ聴感上は感じないので後回し。 歪みはNFBで順当に半分ぐらいになり、8Wまで0.4%を切っていて優秀。


 

 10kHzの矩形波応答はやはりリンギングが出ているが無帰還よりはマシか。

試聴した感じは更にすっきりとした音で高域から低域までバランスが良くなった。LPのようなレトロなソースは無帰還のほうが合いそうだが、確かにこの方がオールマイティになっている。

 その後入力セレクタ追加でダイレクト入力、VR付き入力、SATRI-LINK入力対応とした。2008/7/17記