1.概要
13cmPARCウッドコーンのDCU-F131W使用したバスレフタイプのスピーカです。
特徴1 約16cm径のボイド管を使用した円筒エンクロージャの両端に、機械結合したスピーカを対向配置し、振動打消した構造。
特徴2 定電流アンプと低域補償LCRによるドライブ。
特徴3 近接の床置き使用で前方空間に立体音像を再現するという設置方法。
2.対向配置
ユニットのコーン紙振動の反作用を打消すには本来はぞれぞれ同相の2つのユニットを対向させるのが理想ですが、ユニット数がステレオで4個と増えてしまいます。そこで簡易的に低域では同相信号の多い左右を対向させることで振動打消しを図っています。これでも結構効果はあり、フレームの振動がほとんど出ません。
内部構造は2重円筒のような形で入れ子になっています。
右の写真は組み立て途中の固定方法の細部です。
左右のユニットは3本の通しネジで、フレーム両脇は引っ張り、中央ではマグネット押して、固定されています。
上の写真の左右の円筒は外側の円筒との間にすき間があり、スリットバスレフポートを形成しています。
中央の円盤は左右のエンクロージャの仕切り板になり、左右のユニット間の干渉を防いでいます。
組み立てではこの空間に吸音材を入れています。
容積は左右約7Lでポート共振は65Hz程度です。理想的には容積は10L強あると更にこのユニットの低域特性を充分に発揮させられるのですが、これ以上は大きくしたくなかったため妥協しています。
3.3D−sysytem
設置方法ですが、床置きは低域増強の面もありますが、手前床面に写真の様なスピーカ配置をすると楽器が前方に並ぶという3D−systemという手法をTOMさんという方がブログで提唱されています。http://hauto.exblog.jp/m2016-01-01/
今回はユニットは内向きではないのですが、これに似た方法でスピーカを手前の床置きとして、音像定位を正面に出す方法でデモしてみたいと思います。
4.使用機器
当然ながら外向きユニットの床置きではリスニングポイントからみて指向性の関係で高域が不足します。そこで今回はLM3886というパワーICを使用した帰還形定電流アンプでドライブしています。
定電流アンプはインピーダンスに応じた出力となるので高域はうまく補償されますが、低域も持ち上がってしまうので、こちらはインピーダンス補正を入れ低域コントロールをしています。
5.諸特性
左のグラフが低域のインピーダンス特性で、一番上が素の特性でこのままでは90Hzあたりがボンつきます。
これにLCR共振回路をパラに入れ、落としたのが真ん中と下のグラフで、中央場合は少しバスブーストになります。
この時周波数特性は下の図のようになっています。マイク位置は高さ1m、距離1mの室内です。(スピーカは床置き)
低域の3本はインピーダンス補正の3つに対応しています。小音量の場合は少しバスブーストしたほうが聞きやすいでしょう。
ただし、まだ中低域が薄いので、実際には更に2〜4dBのバッフルステップ補償を入れています。
上の図は歪み率特性で再生音圧として85dBはかなり大きな音です。
低域は流石に歪みは増えてしまいますが、100Hz以上ではどの帯域でも3次歪み(紫)は0.3%以下とかなり優れているといえます。
この辺がスッキリとした出音の特徴になっているのではないでしょうか。
サイズ 16cmφ x 95cm
重量 約4.7kg 以上