SATRI Ver11.4 アンプ

 BakoonBroducts社(以下BP)の新しい出力段Ver11.4を搭載したSHP-5516(プロト)アンプがかなり良かったので、それに相当するドライブ回路を搭載したアンプを製作してみました。

 回路基板はBPのSATRI汎用基板(KIT001)を利用して変更を加えたものを使用しています。全体の概略の回路構成は前段がSATRI-ICのSPV1.0による電圧増幅段(5.1付)で、その後段に今回のメインとなるV11.4の出力バッファ段が付くといった感じでDCサーボを除いて無帰還です。

 元になるVer11という回路はBPのホームページににも紹介されたようにプッシュプル出力段の上下を分離するように、各々ソース(エミッタ)側を定電流源で引き、バイアス電流の固定化を図った上で上下を合成するという面白い回路です。
 こうすると片側だけでも動作するので、シングルを合成したようなバランスドシングルのような動作とも考えられます。

 今回はそれに終段のダーリントンパイポーラの出力段のベースをそれぞれ接合型FETのプッシュプルでプリドライブする部分を付け加えています。
 この部分が今回の改良型の骨子で、これにより更に充全なドライブに近づくのではという目論見です。

 アンプ部のケースはTAKACHIの放熱器付きのケースを使用しました。サイズが小さめなこともあって電源は別のものを流用しています。電源部はU字トランス200VA程度のメイン用と50VA程度の電圧段用に2トランスを使用して、ぞれぞれショットキーダイオード整流で出川電源を組んでいます。

 電源電圧は25V強なので出力はクリップは25W前後、ゲインはフルVRで28dBですので入力1Vrmsでフルパワーになります。正面はリアルウッドの1枚板のパネルで左はセレクターの予定ですが今はダミーです。その右のVRはDALEのNS2Bを使った23接点ゲイン可変式になっています。

仕様

SATRI-V11.4 アンプ

入力   ステレオRCA1系統
出力   25Wx2(ネジ締め端子、バナナも可)
ゲイン  28dBmax 23接点ゲイン切替内蔵
電源   AC100V(別筐体)
その他  増設コンデンサ端子付き

 

特性
 (8Ω負荷、1kHz)

周波数特性
3Hz〜150KHz -3dB (VRmax)

ノイズ
Lch0.8mV Rch0.9mV(VRmax、入力ショート)

DF
 約 36

出力歪率(ノイズ込み)
 右図

10kHz矩形波応答
 上 入力波形
 下 出力波形(1V/div)

試聴

 SHPとは直接比べてはいませんが、なかなか良さそうです。このアンプは以前はV11のみの実装をして聞いていましたが、その時よりは全体に音が締まってきて、高域に寄り勝ちだった音色が低域にも強さが出て前回よりは音色的にかなりバランスが良くなったと思います。

 V11の特徴である解像度が高い状態を維持しながら、その割には音像が細身にならず、適度な太さが感じられます。それにもかかわらず音像のピントが合っているので定位がよく、安心して聞けます。

 つまりどこといって欠点が見当たりませんので、逆に言えば余りアンプを意識せずに使える様になったのかもしれませんね。

 なかなか良さそうなのでマルチ用にもう1,2台作りたいところです。

 

改造

 バイポーラダーリントンの出力段をsemelabのFETに交換、SATRI-ICをEXに交換。外付け電源コンデンサの増強、電流入出力抵抗をスケルトン201に交換等ブラッシュアップを行い、3Wayの高域用アンプとして復活させました。
以前より滑らかになり、高域用として中域のSATRI-ampと音色も合ってくると思います。      2014/7/28  追記

                                                           

2010/10/11  記
2014/7/28  追記