USB Recorder
ElectroArtさんから購入したのUSB Recorderがようやく完成しました。4chDSDモードを備えたA/D,D/Aシステムで機能的にもかなり盛りだくさんの内容になっています。詳しい仕様はElectroArtさんの所を見ていただくとして主に変更点を挙げておきます。
入力部
プリアンプのゲインは基準入力レベルで2Vrmsに設定しています。更に背面のSWで±10dBのゲイン切替ができるようにしました。端子は穴あけが簡単なのでホーンタイプで済ませています。RCAへは変換端子で、片側ショートでアンバラへの変換も兼ねています。
モニター表示
録音時のレベルモニターは右写真のように3色LEDにして、録再の切替は右端のロッカースイッチでおこなっています。このスイッチに連動して分かり易く録音時は赤、再生時は緑のモード表示LEDが点灯します。
この モードの切替に連動してメイン基板からの出力をDACに送るか、表示モニターに送るかをラインセレクタICで切り替えるようにしています。ついでに録音時はDACが遊んでいるので、外部からダイレクトにシリアル入力が出来るように入力も切り替えています。(ちょっと実験的にDSDをダイレクト出力させることもやってみたいと思っていますが)。また再生時は表示LEDが消えるようにドライバーICは止めています。
出力部
写真が背面のコネクタ端子類です。右からバランス入力端子はホーンタイプで、ゲイン切替は1,2chと3,4ch毎に中点ストップのトグルスイッチを使い、でNFもしくは入力抵抗に抵抗をパラって±10dBのゲイン切替をしています。3Pバランスコネクタは予備で、現在はアンバラの入出力用に利用。左側はアンバラのRCA出力とRJ24のダイレクト入力端子および電源コネクタになっています。
内部配置
内部はケースを持ち運びを考えて小さ目にしたので25x18x6cmとぎりぎりで、アナログ入力基板は2階建て、メイン基板とは一部重なっています(写真はまだアナログ基板は1枚のみ実装)。右手前がDAC基板で、右奥はI-Vと信号切替回路基板。レベル表示基板はスモークアクリルを重ねて天板に付けました。
左手前にはアナログ基板の電源部基板が立ててありますが、A/Dには入力電圧範囲の制限があるのでフロントの電源電圧は+6.5V,-1.2Vにして電源電圧でリミットを掛けています。
DACの基準水晶はNDKの低位相ノイズの物に交換してあります。
電源
別ケースに小型トロイダルトランスの2系統別巻き線で出川式整流。その後3端子レギュレータによる安定化で±12V,+5Vを供給しています。
特性
DSDは初めてだったので最初はノイズが多いのに一寸ピックり。ただし、成分は20kHz以上なので実質的にはちゃんとS/Nは取れています(20kHz以上をカットすれば1mV以下)。DACは他のでも結構高域ノイズが多いのでこんなものでも充分かもしれません。まあ一応fc40kHzの2段CRのポストフィルターを追加してあります以下無信号時ノイズ出力(0dBでは1.9V出力)
追加フィルターあり
DSD64 22mV
DSD128 4.5mV
PCM192kHzfs 0.7mV
PCM96kHzfs 0.06mV
PCM44.1kHzfs 0.18mV
周波数特性はフィルターありでも20kHzで約-1dB程度とほぼ問題なし。
専用ソフトTips
USBの接続がブロック転送のためか、このレコーダは通常のUSBの様に随意に接続してもうまくリンクしてくれません。必ずPCを先に立ち上げ、後からUSB側の電源を入れる必要があります。この手順を守れば至極安定してつながります。
あと専用ソフトでの録音では実施に録音を始めないとモニターのS/PDIFに信号が出ないようです。生録などでは録音ポーズでの待機やマイクセッティングでのモニターが必要になるので、一旦録音を始め停止してもこのモニターは(LED表示を含め)継続して動作している事を利用し、一度録音を開始してから停止してマイクセッティングやレベル監視をすると良いと思います。
試聴
最初はデジタルリップのデータのデジタルの再生。それとLPからの再生を各モードで録音保存したのものをデジタルとアナログで再生し比較してみました。主に比較はFireface400(トランス電源、ルビ・ワードシンク)+SamplitudeV11。どちらもPCはThinkPadX31(1.7GHz)WINXPにeSATA外付けHDD。
CDのUSB再生でもFF400の空気感を重視した柔らかめの音とは違い、USBRecorderではかなり密度の高いかっちりした音がします。その分エネルギーは少し中高域よりですが、音の芯がはっきりしていて切れがよく好感が持てる音だと思います。FF400の方がむしろ低域は押し出しが強い感じもしますがソースに対しどちらが正しいのか分からないので各々の特徴と見るべきでしょう。
アナログの録音再生ではまずA/D側とD/A側を分けてA/Dの評価としてデジタル出力再生で比較してみました。A/D側の興味は何といってもDSDとPCMの違いですが、第一印象としては思ったほどの差は無い様に感じます。もちろんDSDの特徴はあるのですがKORGのMR-1000程は個性的なDSD色は感じられずにPCMに近い印象。それでも確かにDSDの音のほぐれ方がPCMとは違い、音場は確かに広いように感じられますが、空気感は比較的少ないかな。
それとやはりDSDのアタックは柔らかく、PCMのようなガツンという感じにはならないのですが、実際元のソースと比べるとこちらの方が近いように思います。PCMはメリハリがあり、派手目な音に聞こえ、小音量などでも聞き栄えがする音になるようです。
これにアナログ出力のDACが加わるとDSD1794の少し中高域が張った感じが各モードの差を大きく聞こえさせるようです。DSDの空気感が更に少なくなり、よりPCMに近くなる感じかな。DSD64と128の差もより広がるようで、64は128と比べると少し高域がざらつき音場も狭くなるようです。それでも同等のPCM88.2kHzfsあたりと比べるとまだ音のほぐれ方は良いのですが。
なのでデータ容量を気にしなければやはりDSD128の方がぐっと良い感じの音になると思います。ただし必要なストレージ容量はDSD128では192kHz32bitとほぼ同じくらい。ただ動作的にはいずれのモードでも安定していたので最後はやはりHDD容量のみを考えて選べば良さそうです。
デジタル録再のみでもこのUSBRecorderの音色の特徴が聞こえますが、そのせいかDSDの癖が少なく全体にすっきりとしてバランスは良いようです。もう少し柔らかさも欲しいくらいですが、まだまだ出来立てだし、今後のエージングと調整で変わるかもしれないのでまあ中々良い感じ。心配したほどノイズも気にしなくても良さそうなので安心してオーディオインターフェースとしても録音機としても使えると思います。