道祖神には、さまざまな呼び名があります。
・塞(さえ)の神、障(さえ)の神、幸(さい)の神、賽(さい)の神
・岐(くなど)の神、久那斗(くなと)の神、船戸(ふなと)の神
・衢(ちまた)の神、道俣(ちまた)の神
・八衢比古(やちまたひこ)・八衢比売(やちまたひめ)
・道祖神(どうそじん)
・道陸神(どうろくじん)、道六神(どうろくじん)
・道(みち)の神
・手向け(たむけ)の神
これだけ多くの呼び名があるということは、もともと別々の神だったものが、だんだんひとつに習合して「道祖神」になったのではないか、と思われるのです。
<さえの神>
塞(さえ)は、ふさぐ・ふせぐの意味ですから、「災厄の侵入を防ぐ神」だったのでしょう。現在でも、道祖神は「厄除け」に使われているようです。
古事記の物語をご存知でしょうか。天地の初めに、イザナギ(伊邪那岐)とイザナミ(伊邪那美)が日本の国土を生み、さまざまな神々を生みました。その途中でイザナミが死んでしまったので、夫のイザナギは悲しみ、妻に会うために冥界にゆくのです。
しかしイザナギは、冥界で妻のけがれた姿を見てしまったため、追いかけられて逃げ帰ります。そして冥界の入り口を大きな岩でふさいだのでした。この岩を名づけて「塞(さや)ります黄泉戸(よみど)の大神(おおかみ)」というのですが、これが塞の神だと言われています。ちなみに日本書紀には「泉門(よみど)の塞(さえ)の大神(おおかみ)」と書いてあります。
さえのかみに「障の神」「幸の神」などの字を当てることもあります。
岡谷市 柴宮。文字碑「幸之神」。
古事記が書かれたのは西暦712年、奈良時代です。少なくともそれより前から、「塞の神」という神が存在していたと考えてよいでしょう。