<笏・扇>
男神が笏(しゃく)を、女神が扇(おうぎ)を持つ姿は、かつての貴族の正装を表しているのだと思います。数は多くありませんが、ときどき見かけます。

松本市 大手。円形中区。駅前と松本城を結ぶこの通りには、新しい道祖神が20基以上つらなっており、観光目的のものと思われる。その多くが、実は中国製だと聞く。
<剣・槍>
剣を持った像は、東御市に集中して何体も見られます。男神が下座、女神が上座という、ふつうとは反対の並び方が特徴的です。なぜ反対かといえば、おそらくは男神の右手に剣を持つという構図の都合上、こう描くしかなかったのだと思います。

左:東御市 片羽。円形中区。
右:東御市 常田。安政四年(1857)。円形中区。
男女のあいだにヤリを持つものもあります。この図を見ていると、古事記でイザナギとイザナミが、矛(ほこ)を手にして海をかき回す「国産み」の場面を思い出します。

左:東御市 東上田。文化十三年(1816)。千鳥破風。
右:松本市 西耕地。明治四十五年(1912)。円形中区。古代風の衣装を着ており、イザナギ・イザナミをほうふつとさせる。
<繭玉>
繭玉(まゆだま)は、辰野町および松本市に多く見られるもので、養蚕・生糸産業が盛んだったことを物語っています。小正月に行われる道祖神の火祭り(どんどやき)のとき、繭玉の形の団子を作り、枝に刺して食べる地方もあります。

松本市 荒町。円形中区。男神が手にしているのが繭玉。
<巻物>
辰野町と箕輪町、それに安曇野市豊科に、合計7体だけが確認されている珍しい姿です。同一の石工か、その影響を受けた者による作品と思われます。

辰野町 赤羽。円形中区。