念仏塔・名号塔


浄土宗・浄土真宗などの仏教では、お念仏を唱えます。

お念仏とは「南無阿弥陀仏」の六文字のことです。阿弥陀(あみだ)さまの名前を呼べば、誰でも極楽浄土へ行くことができる、というのが、浄土系仏教の基本的な教義ですから、この南無阿弥陀仏を、繰り返し繰り返し唱えることが、大事なのだとされています。

それで「念仏講」という講を作って、声をそろえてお念仏を唱えたのです。もちろん「極楽浄土に行きたい」という信仰心もあったでしょうけれど、何よりも講で集まって、声を合わせることが楽しかったのではないか、と思うのです。現代でいうところの、ママさんコーラスに近い活動だったと言ったら、ばちが当たるでしょうか。

(筆者も母親コーラスの指導を何年もやってきましたが、家事を離れ、声を出し合い、雑談するのが、お母さんたちにとって実に楽しいことのようです。だから昔も、念仏講の日を心待ちにして、阿弥陀堂にお母さんたちが集まったに違いありません)


左:諏訪市。念佛供養塔。
右:諏訪市。月念佛。村中・女人と書かれているので、女人だけの講であったと思われる。


左:伊那市 高遠。寒念佛塔。寒念仏は、寒の入りからの一ヶ月間に行われたらしい。
右:富士見町 立沢。百萬遍供養。お念仏を百万回となえた記念に建てたものであろう。ちゃんと何回となえたか数えているらしい。

念仏講の主尊は、もちろん阿弥陀如来です。阿弥陀さまの名前、つまり「阿弥陀仏」や「南無阿弥陀仏」を彫った碑を、名号(みょうごう)塔といいます。


左:箕輪町。名号塔。
右:塩尻市。徳本名号塔。徳本上人というお坊様の筆跡によるもので、独特の曲線を帯びた「南無阿弥陀仏」が彫られている。

阿弥陀如来そのものを彫った石仏は、あまり多くないように思います。阿弥陀信仰は、像を礼拝することよりも、名を呼ぶことのほうに重点が置かれたのかも知れません。


下諏訪町。万治(まんじ)の石仏。指の形から、阿弥陀如来であることが分かる。異様な威容をほこる石仏として、全国的に有名。