題目塔・経典読誦塔


浄土宗の「お念仏」に対して、日蓮宗では「お題目」を唱えます。お題目とは「南無妙法蓮華経」の七文字のことです。お経の中身は読まなくて良いから、タイトルの「妙法蓮華経」だけを、ひたすら唱えればよい、というのが、日蓮宗の基本的な教義です。

日蓮宗のお寺が近所にある地域では、念仏講ではなくて、妙法講(みょうほうこう)を作って集まり、お題目を唱えたのでしょう。(筆者自身は禅宗なので、お念仏もお題目も唱えたことがないです。ですから、説明が間違っていたらすみません。)


塩尻市。題目塔。日蓮上人の筆跡をまねて、ひげのような線が書かれている。俗に「ひげ文字」と呼ばれている。

お経を読んだ記念に建てる塔を、経典読誦塔(きょうてんどくじゅとう)というます。さまざまなものがありますが、ここでは例をいくつか挙げておきましょう。


辰野町 横川。大乗妙典一千部供養塔。

大乗妙典とは、妙法蓮華経のことです。妙法蓮華経、略して法華経(ほけきょう)は、日蓮宗だけでなく大乗仏教全体で読まれている経典ですから、この碑があるからといって、日蓮宗だと断定してはいけません。

次の例は、火炎を背景に剣を持っているので、不動明王でしょう。何だろうと良く見ると、「一石一字」と書いてあるのです。


左:辰野町 横川。
右:その拡大図。「一石一字」と読める。この石碑の下を掘ると、小石が出てくるのだろう。

実はこれは、お経を小石に一字ずつ書いて、埋めたという記念碑です。そうやって手間をかけて供養することで、ご利益があると信じられていたのでしょう。普通は、妙法蓮華経を書いて埋めることが多いのだそうです。