さまざまな書体


装飾的な文字で書かれた文字碑もあります。装飾文字、俗に「花文字」といいます。次の例は、まるでアラビア文字のような、美しい曲線で描かれていて、異文化の香りさえします。


伊那市 高遠 塩供。文字碑「道祖神」。

いっぽう、次の例は直線的で幾何学的で、古代アステカの絵文字のような感じさえします。


伊那市 高遠 荊口。文字碑「道祖神」。

次の例は、篆書(てんしょ)だと思います。篆書は、秦の始皇帝の時代に、正式な文書の書体と定められたものですが、やがて隷書や楷書に取って代わられました。現在では、印鑑に見ることができます。


安曇野市 豊科 飯田。文字碑「道祖神」。

「道」は、左側がしんにょう、右側が「首」を表しています。「祖」は、上側が「示」、下側が四角2つと横棒で「且」なのだと思います。「神」のつくりは、前に述べた「E|ヨ」の形の変形だと思います。

次のものも篆書だと思います。「首」や「且」が左にきています。このように、篆書では文字を分解・再構成したような書き方をすることがあるのでしょう。


佐久市根々井。文字碑「道祖神」。

神代文字碑という、たいへん珍しい例があります。これは神代文字の中でも「あひる文字」といって、ハングルに酷似しており、朝鮮語を学んだことのある人なら、容易に解読できると思います。


安曇野市 豊科 本村。「やちまたひこのかみ・やちまたひめのかみ・くなどのかみ」と書いてある。わざと一般人が読めない文字で書くことで、神秘性を表そうとしたのだろうか。現在は、貴重な史料としてガラスケースに安置されている。