第一部 和声の読み方


本書では、ドイツ音名を使います。こんにちでは英語音名を使ったほうが便利だと思うのですが、ここでは従来の日本の伝統に逆らわずに、ドイツ音名を使うことにします。

ドイツ音名の特徴は、B と H があることです。昔はシの音を「柔らかいb音」と「硬いb音」に区別していました。それで硬いb音のほうは、「」のように書いたのです。これがいつしかナチュラルの記号「」になり、また「h」の形になったらしいのです。

それから、音程の数え方を知っておく必要があります。同じ音を1度と数え、あとは2度、3度、4度・・・、と数えてゆけばよいのです。

さらに、長音程・短音程・増音程・減音程・完全音程という区別もありますが、今すぐには知る必要はないでしょう。それから、オクターブ以内のものを単音程、オクターブを超えるものを複音程と言いますが、それも今は知らなくてよいと思います。

ある音から、次の音へ進むことを「進行」といい、音程を使って数えます。このうち2度上行・2度下行を、特に「順次進行」と呼びます。