V → I を「強進行」、 IV → I を「変進行」と言います。次の図は、主和音 I を中心にして、和声が振り子のように揺れ動くありさまを示しています。
ただし、いつでも振り子のように揺れるだけでは退屈です。ときには IV から V に回って強進行するという“大振り”もあるのです。
例を見てみましょう。チクタクと振り子が揺れ、最後に大振りで締めくくる、という様子が分かると思います。
このときの I, IV, V の機能を、それぞれトニック(T)、サブドミナント(S)、ドミナント(D)と言います。和声とは、T を中心に振り子のように揺れ動いたり、大振りしたりするものだ、と言えるのです。
主要三和音ばかりでなく、たまには副三和音も使ってみたいわけです。VI はトニック、II はサブドミナント、VII はドミナントの機能になります。一覧表にして示しておきましょう。
III には T と D の機能があるのだが、古典和声ではあまり使わない。
VI には T と S の機能があるのだが、混乱をさけるため、ここでは T に分類しておく。
それでは例を見てみましょう。同じ機能が続く場合には「−」が書いてあります。
次の和声を読んで、さらに機能で分析してみて下さい。
18. F: I V I V | I II V | VI IV V I | IV V I
T D T D | T S D | T S D T | S D T