9) 連結原理


「連結原理」とは、和音と和音が、どのようにつながるかを説明したものです。さきの「機能理論」とともに、和声のしくみを読み解く鍵です。

 【原理1】主和音からは、いかなる和音へも進むことができる。
 【原理2】主和音へは、強進行か変進行で到達しなければならない。
 【原理3】根音の動きは、4度上行・2度上行・3度下行が優れている。
 【原理4】終止構造を作らなければならない。

順に見てゆきましょう。

【原理1】主和音からは、いかなる和音へも進むことができる。

【原理2】主和音へは、強進行か変進行で到達しなければならない。

【原理3】根音の動きは、4度上行・2度上行・3度下行が優れている。

 これらの逆、たとえば次のような動きは、あまり使われないのです。進行感が弱いので「弱進行」とも呼ばれます。

 また、強進行と変進行を比べたとき、強進行は4度上行、変進行は4度下行です。したがって、強進行のほうが優位であると言えるのです。

【原理4】終止構造を作らなければならない。

 「終止」とは、もともとは曲の最後の部分のことを指す言葉なのですが、和声では、曲の途中の節々にも「終止」が現れます。音の動きが、いくぶん緩やかになった場所が、終止になります。次の4種類に大別できます。

 (1)全終止: V → I による終止。代わりに VII → I も用いられる。
 (2)半終止: V による終止。
 (3)偽終止: V → VI による終止。
 (4)変終止: IV → I による終止。アーメン終止とも呼ばれる。

次の和声を読んで、さらに終止を分析してみて下さい。

全終止で、V も I も基本形で、最高声部が主音で終わるものを、特に「完全終止」といい、曲の最後に好んで使われます。それ以外の全終止を「不完全終止」と呼んで区別することもあります。


解答
19. cis: I IV I [変] | V I V [半] | I I II V | I [全] IV | I [変]
20. G: I IV V [半] | I V VI [偽]  | IV II V I | IV V I [全]