短調の和音を、長調で使うことがあります。おもに、第6度音(ハ短調でいうところのラ♭)を含むものが、好んで使われます。つまり II、IV、VI がよく使われるのです。
本書では、これらを「モル諸和音」と言います。モルはドイツ語で短調を表す moll のことです。本書では、和音記号に を付けて示します。「モルII度」「モルIV度」「モルVI度」と読めばよいでしょう。
第6度音を含むものとしては、次のものもあります。
次の和声を読んでみて下さい。
モル諸和音は、いったん使ったら使い続けるのが良いのです。途中で放棄すると、違和感を感じさせます。
なお、モル諸和音で臨時記号の付く音は、変質音ではなく、借用音です。したがって必ずしも進行規制音ではありません。混同しないようにしてください。