29) 主題と模倣


主題や模倣といえばフーガなどが思い浮かびますが、和声では、おおむね次のような部分に分けて考えればよいと思います。

・反復模倣
・階梯模倣
・転回模倣
・終止形
・再現

主題や模倣を使った和声では、四つの声部が飛び回るので、離隔や交叉がかなり自由に用いられます。また、休符もよく使われます。

<反復模倣>
 反復模倣とは、その名のとおり、反復進行に現れる模倣です。ひとつの主題を、二つの声部でかみ合わせて反復することが多いです。

 七の和音で反復模倣をする場合は、主題も模倣も、第7音に割り当てられることが多いです。

<階梯模倣>
 階梯(かいてい)模倣は、ひとつの主題を順に重ねてゆく模倣です。5度関係あるいは4度関係で、重ねてゆくことが多いです。

 下の声部から順に、あるいは上の声部から順に重ねてゆくことが多いのですが、しかし曲の途中では、自由な順番で重ねてゆくこともあります。

<転回模倣>
 転回模倣は、別名「組み合わせ模倣」とも呼ばれ、二つの主題を上下転回して組み合わせるものです。たとえば次のバスは、AとBの主題と見なすことができます。

 このAとBは、上下転回して組み合わせることができます。

 そのまま組み合わせるのではなく、V調に移調して組み合わせる場合もあります。

<終止形>
 反復模倣も階梯模倣も転回模倣も、いつまでも永遠に続けるわけにはいかないので、「終止形」によって収束させるのが普通です。普通の「S→D→T」の終止形が多く、さらに変終止(S→T)が付くこともあり、保続音が現れることもあります。

<再現>
 再現とは、曲の最初の主題を、曲の終わり付近で再び鳴らすことです。

それでは次の和声を読んでみて下さい。和音記号を書き、外音に x を付けて、どんな模倣が使われているか、読み取るのです。





上の例の最後は、五声になっています。響きを補うために、このように一時的に声部を増やすことは、まれに見られます。


解答