「コンコーネ五十番練習曲・中声用」を分析してゆきます。と言っても、十曲程度を分析すれば、充分な勉強になるでしょうから、五十曲すべての掲載はしません。
楽譜を買ってきて、自分の手で分析してから、本書を“答え合わせ”に使っても良いですし、逆に本書を一読してから、自分の手で分析しなおしてみるのも良いでしょう。一番大切なのは、「和声学と実際の曲の違いを、分析によって体験的に学ぶこと」だと思います。そもそも分析というものは、人によって結果が異なる場合が多いものですから、とりあえず自分の信じるとおりに分析してみることが、勉強のはじまりなのです。
さて、これまで見てきた和声の例とは違い、コンコーネ練習曲は「メロディー + 伴奏」というスタイルで書かれています。伴奏には、さまざまな形がありますが、次のように大別して考えるとよいでしょう。
○のばし
和音を伸ばして弾くことです。白玉弾きとも呼ばれます。右手の白玉音符に対して、左手は黒玉音符で刻むことも多いです。
○きざみ
和音でリズムを刻むことです。休符を伴うこともあります。
○ばらし
和音をばらして弾くことです。いわゆる分散和音、アルペジオのことです。実にさまざまなばらし方があり、休符を伴うこともあります。
きざみとばらしが一緒になった形もあります。「分散刻み」とでも呼ぶことにしましょう。
○なぞり
メロディーをなぞるように弾くことです。ただなぞるだけでなく、分散刻みの中でメロディーをなぞることもあります。