第1番 


冒頭に、いきなり第3音重複・導音重複があるように見ますが、これはピアノで弾くときに、白い音符の音を保って弾くように、という指示だと思えばよいでしょう。細かく I I V V と分析してもよいのですが、ここは大きく I ─ V ─ と分析してみました。


ここまでの伴奏は、右手でメロディーをなぞるような書き方になっています。第2小節の x は VII の導音省略、第4小節の x は V の導音省略、と分析することもできますが、短い音符ですので、外音としておくのが妥当でしょう。

次に中間部ですが、左手は保続音、右手はメロディーをなぞるのをやめ、和音を弾いています。


第9小節の冒頭は、第3音欠如になっています。和声学では明らかに禁則にひっかかりますが、実際の作曲では、属七の導音欠如は、わりと普通に見られるものです。

次は再現部です。最初の部分に比べると、第21小節から少し旋律や和声が変化しています。


曲のおもな部分を A と呼び、中間部を B と呼ぶことが多いのです。そこで、この第1番は A B A' の三部形式と分析するのが良いでしょう。