ここに挙げた60題は、「数字つき低音」といって、数字をヒントにして和声を組み立ててゆくものです。その昔、体系的な和声学がなかった時代には、みなこれで和声を学んだのだと思われます。かつての巨匠・大作曲家たちも、みなこの道を通ったのでありましょう。
たとえば次のような数字から、何の和音か知るには、どうしたらよいでしょうか。
・数字なし、あるいは奇数(5, 7, 9)だけのときは、バスそのものが根音。
・そのほかの場合、
6 があればバスの6度上の音が根音。
4 があればバスの4度上の音が根音。
2 があればバスの2度上の音が根音になります。
いま、黒い点で示したのが根音です。これで、何度の和音か判明するのです。
みなさんも五線ノートを用意して、自分の手で課題を解いてみてください。和声の正解はひとつではありません。禁則に反しない限り、どのように和声を書いても正解です。しかし、正しく書くだけでなく、美しく書くことが大事ですから、創意と工夫をいつでも忘れずに、取り組んでいただきたいと思います。
課題の番号は、本書の「第一部 和声の読み方」の譜例番号に対応しています。ですから、実施例を見たい人は、本書の第一部を見て下さい。
和声課題の実習は4声でおこなわれ、上からソプラノ、アルト、テノール、バス、と呼ばれます。
それぞれの声部は、おおむね次の音域から外れないように書いてください。
曲頭の数字は上三声の配置を示しており、たとえばハ長調(C:)で ならば、ソプラノに「ド」、アルトに「ソ」、テノールに「ミ」を配置する、という意味です。ふたつ目の音からは数字が付いていないので、前後のつながりで適切に配置してください。
さまざまな調による出題です。数字なしの臨時記号は 3 に付いていると思ってください。短調の導音を示していることが多いです。
六の和音を含む出題です。バスから数えて6度上の音が、根音になります。
四六の和音を含む出題です。バスから数えて4度上の音が、根音になります。
基本形・六の和音・四六の和音が適度に混じった出題です。
属七・属九を含む出題です。
五六の和音はバスから数えて6度上の音が根音、三四の和音はバスから数えて4度上の音が根音、二の和音はバスから数えて2度上の音が根音になります。
短調の属七は、導音を示すため、二の和音に #4 が、三四の和音に #6 が付きます。わずらわしいですが慣れてください。
導七・減七を含む出題です。
副七を含む出題です。
変質和音を含む出題です。変質音は臨時記号で示されています。
同主短調の借用を含む出題です。
反復進行を含む出題です。
ダブルドミナントを含む出題です。
借用ドミナント V を含む出題です。(難しいので、とばしても良いです)
借用ドミナント VII を含む出題です。(難しいので、とばしても良いです)
転調を含む出題です。
同音接続を含む出題です。