おわりに


ふつうの和声学書は、課題を解きながら読み進むようになっていますが、しかし解いた課題が合っているか間違っているか、見てくれる指導者が近くにいないと、ひとりで読み進むのは難しいと思います。

そこで本書は、近くに指導者がいなくても、ひとりで読み進むことができるように願って、書いてみました。和声を読むことに重点を置き、コンコーネの作品で理論と実際の違いを体験できるようにし、禁則についてはあまり細かく触れず、和声課題は思い切って巻末の付録にしてしまいました。記述はできるだけ簡潔で、必要充分なものとなるよう配慮したつもりです。どうかご活用ください。

さて、和声学とは、学びあうものだと思っています。生徒は指導者に学び、指導者は生徒の解答に学びます。教え方が良いか悪いか、生徒の解答に表れるからです。できることなら、和声を学びたいというみなさんには、筆者のところに来てもらって、直接お教えできればよいのですが、あるいは筆者自身が出向いて行ってもよいのですが、なかなかそれは難しく、今はこうやって本書をみなさんにお届けするのが精一杯なのであります。