ハルシオンの夢

            そして木々は憎しみの葉をしげらせるそれを見あげる少年の日は
            夭逝の少女のままに向日葵の茎 金の雨 昏くなる朝
            丘の上に とどこおっていた 霧すべてが甦るそして記憶の 痛み
            触れられて 錆びてゆく風 でも違う 水の匂い きみがそこにいて


きさらぎの淡いみどりのかげろうがいま髪にふれ風に散ったよ
捨てられた人形の眼がひらいてゆく わたしのどこかにいった真昼に
いま水はあかるいみどり午後の陽にわたしのまわりの泡もわらって


            木々の下の翠はゆれてやわらかくきみの解けてゆく水のなか


もうみえなくなった目も鼻も口もみなまるくて白いボールになった


            ひどく痩せた子猫が眠るきみのそばに傾いてゆく午後のひかりに


父も兄も男たちはさかな腐ってゆく わたしの水に午後から午後へ
獣たちも淡い金色…熱のある病気の匂い 疲れた目をして

        
           断たれてゆく幾つもの線いま死に迫る祈り「ぼくは動く」


いま死が融けていった 触れたとき 遠いところでなにかが流れた


           日々はやがて荒れ果ててゆく そのさきに ただひろびろとひろがる荒野


風にうくわたしのからだ空にむかって墜ち続けて…夕陽をあびて
いま自分を消そう石の中に でも そしてそのとき みな救われる

           
           過ぎてゆく光 つかのま 雲の夢も きみにみせたいものがまだある







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