眠れる草
深淵は真空のごとひろびろとわれの墜ちゆく真夏青空
青磁冷ゆ水密の実の核あかく真昼に噛めばしじまはふかき
招揺さす西南西の空は銀に眠れる草につゆはみつらむか
草原の道のかわけば陽炎絶え汗をぬぐいぬ帰る家なく
知るひとのみな絶え果てしその日あらむふとうらさびし子らの午睡も
聴く風にこえさざめきぬ夏の川つつみを駈ける子のすがた見ず
荻の穂のあおめるわかき秋草に驟雨はすぎぬ絶えし言葉も
おもかげのふとさやけきをかなしみて空をみあぐることのかなわず
プールにわらうきみに未来の日のなくていのちの極みに絶えてゆく夏
ことばなきことふれの秋 野に遠きまちにも白くふる夏の雨
注 「招揺」北斗七星のいちばん先にある星の名です。 曹植「棄婦詩」に
「収涙長嘆息 何以負神霊」(なみだをおさめてちょうたんそくす なにをもってかしんれいにそむかんや)
のあとに招揺待霜露 (しょうようそうろをまつ)という一句がでてきます
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